FAQとは、「Frequently Asked Questions」の頭文字を取った言葉で、直訳すると「よくある質問と回答」となります。FAQページは、企業に頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめたページのことです。
一般的には、頻度の高い質問と回答をデータベース化し、検索機能を使って顧客自身が解決できるようにしたシステムのことを指します。
FAQページを通して顧客自身が疑問や課題を自己解決できれば、問い合わせ件数の削減による業務負担の軽減や対応品質の向上につながります。そのため、顧客が求める回答をいち早く見つけられるように、FAQページには高い操作性や分かりやすいデザインが必要です。
企業のWebサイトにFAQページを設けることで
といったメリットが期待できます。それぞれについて解説します。
FAQサイトを取り入れることで、顧客の自己解決を促せるため、問い合わせ件数の削減が見込めます。企業に寄せられる問い合わせは類似した内容が多く見られます。頻度の高い質問と回答を分かりやすくまとめることで、顧客は窓口に問い合わせずに疑問を解消することが可能です。
また、カスタマーサポート側は、問い合わせ分析、商品やサービスのセールスといった本来の業務に集中できるようになり、業績向上にもつながります。
近年、カスタマーサポートセンターやコールセンターの人材確保に頭を悩ませている企業が多く見られます。
問い合わせ件数が多いと1人あたりの対応数が増え、オペレーターが捌ききれない状況が発生する可能性があります。また、顧客対応に追われてスタッフが疲弊してしまい、新人育成のリソースを確保できず、全体的な対応品質の低下を招くリスクも出てくるでしょう。
FAQサイトの導入により問い合わせ件数を削減できれば、少ないスタッフで対応できるため、人員削減が可能です。また、新人育成の時間が確保できることにより対応品質の向上にもつながるでしょう。
さらに、社内FAQサイトを構築すればナレッジ共有が効率化され、問い合わせ応対時間の短縮やサービスの均一化に役立ちます。
FAQサイトにより、顧客自身が疑問を簡単に解決できる仕組みを提供することで、ユーザビリティが向上します。顧客が直接窓口に問い合わせる必要がなくなり、連絡する手間や待ち時間が解消されます。
また、問い合わせ件数が少なくなれば、1件1件の問い合わせに余裕を持って対応することが可能です。サービスの品質が向上することで顧客満足度や信頼感が高まり、企業のイメージアップにもつながります。
FAQページ設置のメリットを得るためには、顧客にとって使いやすいFAQページをデザインすることが大切です。ここでは、問い合わせ件数の削減に役立つFAQページのデザインルールやポイントについて解説します。
FAQページに掲載する質問と回答は、カテゴリ別に分けましょう。膨大な量のFAQがカテゴリ分けされていないと求める回答になかなか辿り着けず、ページ離脱することから直接の問い合わせにつながってしまいます。
質問や回答を掲載する時には、ユーザーが目的の回答を素早く見つけられるように、カテゴリ別に分けてまとめます。製品別や利用目的別といった大カテゴリの下に、「商品の使い方」「料金」「配送」「修理」などのFAQが並ぶような導線設計も有用です。
ただし、カテゴリが多過ぎると使い勝手が悪くなるため、見やすい分類や階層の量を意識しましょう。
多くの企業のFAQページには、検索機能が搭載されています。
質問を直接検索できる機能を設置することで、顧客は求める回答を瞬時に見つけることが可能です。特にFAQの量が膨大な場合には、カテゴリ分けよりも回答への到達スピードが速い可能性があります。
ただし、検索結果が0件だと自己解決にはつながらないため対策が必要です。ちょっとした表現の違いやタイプミスがあっても、関連する検索結果が表示されるような仕様が望ましいでしょう。絞り込みやサジェスト表示なども含めて、検索機能の設置方法を検討することが大切です。
FAQで出てきた用語に関連する記事リンクを貼る方法も有用です。
関連記事へページを遷移できるようにしておけば、リンク先で用語説明や詳しい解説などを閲覧でき、より理解度や満足度が高まります。また、FAQ内の文字数が多くなることを避け、読みやすいFAQページのデザインを維持できます。
表示された回答と一緒によく見られているページや関連記事を、関連リンク集として置くことでも、利便性の向上につながるでしょう。
FAQページの中でも、特に表示される回数の多い質問は多くのユーザーが知りたい質問だと言えます。よく見られている質問をFAQページの上部に集約することで、ユーザーが知りたい情報をすぐに見つけられるため、満足度の向上につながります。
また、閲覧数の多い質問と回答をランキング形式で表示する方法や、注目キーワードとしてタグを設定してサイドバーにまとめる方法も有用です。システムによっては、表示回数データの統計分析機能を用いて、ランキングや注目キーワードのタグを自動更新できます。
FAQページは、あらゆる属性の人が閲覧することを考慮し、誰でも分かりやすい言葉で回答を作成する必要があります。FAQページは、前提知識のない見込み客からリピーターまでさまざまな人が利用します。
前提知識のレベルや情報量は人によって異なるため、専門用語は極力避け、シンプルで読みやすい回答を心がけましょう。また、必要に応じてイラストや動画を挿入することで、文章だけでは伝わりにくい情報も効果的に説明できます。
ユーザビリティの高いFAQページの参考例として、「くらしのマーケット」のFAQページを紹介します。
トップページの最上部には検索バーがあり、キーワード検索によってすぐに求める回答を見つけることが可能です。その下に、閲覧数の多い質問一覧、検索数の多いキーワードリストが続き、多くのユーザーが知りたいであろう情報がまとまっています。
該当する質問をクリックすると、詳しい回答が表示されます。また、サイドバーには関連する質問と関連リンクが表示され、さらに詳しい情報を知りたい場合にスムーズに遷移できるよう配慮されています。
FAQサイトでは求める回答をいち早く得られるよう、ユーザビリティの高いデザインやレイアウトを用いることが重要です。
検索機能やカテゴリ分類、関連リンクなどの配置を顧客目線で考え、利便性の高いFAQページを構築することで、問い合わせ件数の削減につながります。
FAQページを作成する際には、自社の目的や活用シーンに合ったFAQシステムを選ぶことが重要です。コールセンター編集部が提供する「コールセンタージャパン白書2020」によると、75%のユーザーが企業のFAQページだけでは疑問を解決できていないというデータがあります。
主な要因として、言い換えやスペルミス、曖昧な表現などにより、ページにそのワードがないとヒットしない「0件ヒット」が挙げられます。
FAQページを充実させても、検索ヒット率が低いとユーザーの自己解決にはつながりません。ヒット率を高める方法は様々ありますが、検索ヒット率の高い性能を持つFAQシステムを利用することでも解決できます。