FAQを見直す前に、まずは現状のコンテンツがどのように作られたのかを考えてみましょう。FAQコンテンツの制作方法は各社さまざまですが、大きく以下の2種類に分類されます。
同じFAQでも、制作方法によって大きな違いが表れるものです。
ユーザーマニュアルから制作したFAQは、基本的にはマニュアルの目次構成に沿って作られるため、幅広い要素を網羅し、情報としては充実している傾向にあります。
しかし、マニュアルで使っている専門的な用語でそのまま解説していたり、「補足」や「備考」、「こんなときは?」といった本題から逸れる情報も盛り込み、冗長になってしまいます。
また、マニュアルの構成をそのまま活かして制作しようと考えた結果、やや強引な「Q(質問)」を設定してしまうなどの問題もあります。
一方、ユーザーの問い合わせからFAQを制作する場合、ユーザの声に直接答える内容になるため、ひとつひとつの問答は一定のニーズに対して的確に応える実用的なものになるでしょう。
しかし、場当たり的な制作方法のため、FAQの制作プロジェクト全体としてのゴールを設定しづらかったり、基本となる説明が欠けていたり、問い合わせが多い事柄に対して似たような内容のFAQを量産してしまうなど、やはりデメリットもはらんでいるのです。
FAQサービスが当初どのように制作されたかを把握し、マニュアルから制作されていた場合は、ユーザーの声を構成や内容に反映させると良いでしょう。
逆にユーザーの問い合わせから制作されていた場合は、マニュアルの構成を参考にして基本的な用語や機能に対する答えを用意するということが、FAQを見直すうえで重要なポイントです。
最初から完璧なFAQをつくることはなかなか難しいため、製品やサービスのリリース後も定期的にFAQの見直しを行い、更新することが重要です。FAQの更新を行うタイミングで改めて考えて欲しいのが、FAQを読む「ペルソナ」を再確認するということ。
「何を今さら……」と思う人もいるかもしれません。確かに、製品やサービスを生み出す際は市場調査を行い、典型的なユーザー像を設定するということは多くの企業がやっています。
しかしながら、そのようにして誕生した製品やサービスであっても、FAQを制作するときにペルソナを意識している担当者は少ないでしょう。
まずは製品やサービスの制作段階において設定されたペルソナを確認する必要があります。
ペルソナの性別(男女比)や年齢層に合わせ、FAQの各コンテンツの文字数や文体、「Q(質問)」の切り口などを見直していくと良いでしょう。
FAQは“付録”ではありません。製品やサービスを補い、リリース後もユーザーとの関係性を繋ぐ“商品の一部”と考えて制作することで、ユーザーの満足度も向上します。それと同時に、FAQ制作担当者のモチベーションも上がるのではないでしょうか。