働き方改革とは?厚生労働省が推進する背景や今企業に求められていること

働き方改革とは?厚生労働省が推進する背景や今企業に求められていること

生産性の維持と個人のワークライフバランスを両立する働き方改革は、今日の企業にとって重要な経営課題の1つとなっています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークの必要性が高まったことで、これまで以上に働き方改革に取り組むことが重要になりました。

そこで本コラムでは、働き方改革の概要や提言されるようになった背景、働き方改革が企業に求めていることについて解説します。

働き方改革とは

働き方改革とは、政府や厚生労働省が推進している改革の1つです。社会環境や個人のライフステージに応じた就労機会を提供し、すべての労働者にとって働きやすい柔軟な働き方、公平な待遇での労働を実現させることが目的です。そのために、様々な法律の改正が進められています。

働き方改革が提言されるようになった背景

働き方改革が提言されるようになった最大の理由は、日本の生産年齢人口の減少にあります。

国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、1995年には8,726万人だった生産年齢人口(15〜64歳)は、2060年には4,418万人まで減少すると見られています。このままでは、日本の生産力は衰退の一途をたどることが想定されます。そこで政府は、2016年9月に当時の総理大臣である安倍 晋三氏を議長とし「働き方改革実現会議」を設置しました。

出典: 国立社会保障・人口問題研究所

企業が取り組むべき、働き方改革の2つの方向性

生産年齢人口が減少していることに加えて、ライフスタイルの多様化も進んでいます。

日本国内では、共働き世帯の増加や、在宅介護家庭の増加などにより、従来の長時間労働を求められると就業が難しいケースが増えています。

さらに、男女問わず育児と仕事の両立ができる環境を求める声も増えていることから、これまでとは異なる、柔軟な働き方のニーズが高まりつつあります。企業側は、労働者が多様な働き方を選択できる環境をつくることで、従来は就労機会に恵まれなかった方に機会を提供することが必要です。

このような理由から、日本の労働人口を増やすには「働きやすさの確保」と「労働生産性の向上」が求められるのです。

働きやすさを確保する必要性

育児や介護をおこなう方には、フルタイムワークは困難です。リモートワークの導入や非正規社員の労働待遇改善が進み、育児や介護をしながらでも働ける環境が整えば、働き手の増加につながります。

労働生産性向上の必要性

労働人口の減少を乗り切り、かつ柔軟な働き方を実現するためには、労働生産性の向上が必須です。働き手が減っていくなかでも生産力を保つには、業務効率化によって個人の労働生産性を向上させなければなりません。

そのためには、リモートワークによる通勤時間の削減や、裁量労働制の導入など、個々人がより高いパフォーマンスを発揮できる労働環境の整備が求められます。

働き方改革を推進する「働き方改革関連法」とは

働き方改革関連法とは、労働基準法や労働安全衛生法における「労働時間の見直し」や「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」などが主旨となる法律です。正式名称は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」です。

働き方改革関連法の施行はすでに開始されていますが、企業の規模によって実施開始日が異なります。実施内容の項目ごとに、大企業であれば2019年4月から、中小企業であれば2020年4月から順次適用となっていますので、詳しくは厚生労働省の「働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)」をご確認ください。

なお、大企業と中小企業の定義は以下をご参考ください。

【中小企業の定義】

中小企業は、①②のいずれかが当てはまる、あるいは両方当てはまる企業です。

①資本金の額または出資金の総額

  • 小売業:5,000万円以下
  • サービス業:5,000万円以下
  • 卸売業:1億円以下
  • それ以外:3億円以下

②常時使用する労働者数

  • 小売業:50人以下
  • サービス業:100人以下
  • 卸売業:100人以下
  • それ以外:300人以下

【大企業の定義】

上記に当てはまらない企業が、大企業に該当します。

出典:働き方改革関連法の主な内容と施行時期(厚生労働省)

労働時間の見直し

働き方改革関連法の主旨の一つである「労働時間の見直し」のために、年次有給休暇の時季指定、そして、時間外労働に上限を設けることが方針として盛り込まれています。

年次有給休暇の時季指定

年次有給休暇の時季指定とは、使用者(上司やマネージャーといった監督・管理者)が指定する日にちで、労働者に休暇を与えることです。休暇日数は、年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日分となっています。

これまで有給休暇の取得方法は、原則として労働者自身が取得時季を指定する形でした。しかしこの方法は、労働者が職場の都合に配慮してしまうといった理由から、取得率が低いことが課題でした。そこで、使用者側からの取得時季の指定を義務とすることで、労働者の有給休暇の取得率を向上させようという狙いがあります。

なお、使用者による時季指定は一方的なものではなく、あくまでも労働者の意見を尊重しなければなりません。また、すでに5日取得済みの場合は、それ以降の有給休暇について使用者による時季指定は不要です。

時間外労働の上限規制

時間外労働の上限規制とは、「月45時間」「年360時間」を超える残業を規制するものです。働き方改革による労働基準法改正前は、残業時間の上限に規制がありませんでした。しかし、改正後は特別な事情がない限り、定められた上限を超えた残業はできません。また、特別な事情があって労使が合意した場合でも、残業時間は年720時間以内、2〜6ヶ月平均80時間以内、月100時間未満に抑える必要があります。

また、月45時間を超える残業ができるのは年6ヵ月までが限度とされており、これに違反した場合は罰則を科される恐れがあるため注意してください。

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

働き方改革関連法のもう一つの主旨となる「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」は、同一企業内における正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇の差を解消し、労働者が柔軟な働き方を選択できるようにすることを指しています。

大企業では2020年4月から、中小企業には2021年4月から「パートタイム・有期雇用労働法」として施行されました。主に非正規雇用(パートタイマー・アルバイト・契約社員・派遣社員)の待遇改善を目的としており、そこでポイントとなるのが、次に解説する「同一労働同一賃金」のガイドラインです。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、同一企業内で雇用形態を理由に、不合理な待遇差を設けることを禁止するというものです。

非正規雇用労働者の職務内容が正規雇用労働者と同じであった場合は、正規雇用労働者と同等の待遇としなければなりません。例えば、派遣社員であるという理由で正社員より基本給を低くしたり、賞与を与えなかったりすることは禁止となります。また、非正規雇用労働者に正規雇用労働者との待遇差について説明を求められた場合には、事業者からの説明が義務化されました。

【2022年最新】働き方改革で企業に求められていること

必要な労働力を確保しつつ生産性を高めていくには、企業自らが積極的に働き方改革に乗り出さなければなりません。そこで重要となるのが「リモートワークの浸透」と「業務プロセスの見直しとシステム再構築」です。

リモートワークの浸透

コロナ禍の影響で、感染予防のために、リモートワークを導入する企業が急増しました。しかし、リモートワークの利点は、感染症対策のみではありません。労働者・企業それぞれに大きなメリットをもたらします。

労働者にとっては、就労の可能性を広げるきっかけになります。通勤が不要となるため、子育てや介護のために就労が難しかった人にも、働く環境を提供できる可能性が高まります。また企業にとっても、労働者の働き方に対する満足度の向上や、オフィス賃料を削減できるといったメリットがあります。この先、今以上に労働力の確保が難しくなっていくなかで、リモートワークによる柔軟な働き方ができる環境を作ることは、労働者を確保するに当たって必要不可欠な取り組みといえます。

業務プロセスの見直しとシステム再構築

少ない労働力を最大限活用するには、業務効率化が求められます。効率化を促すためには、自社の業務を棚卸しして、人がやるべきこととそうでないことを仕分けし、後者はシステム化することが重要です。

システムは、一度導入すれば終わりではありません。システム自体のサポート期間の終了、データ量の増大によるシステムの老朽化によって、既存のシステムを使い続けることが、逆に非効率になってしまうケースも少なくないからです。

また、技術の発展に伴って、新たな種類のシステムが次々とリリースされています。これらを活用することで、既存の業務プロセスを劇的に向上させるケースも多々あります。業務プロセスの設計に関わる方は、これらをしっかりキャッチアップをしておくことが重要です。

既存の業務体制やシステムの運用に満足することなく、定期的に業務プロセスと連携するシステムを再検討するようにしましょう。

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貴重な労働力や優秀な人材を確保するには、働きやすい環境の整備が求められます。ただし、人事労務などのバックオフィス担当者は、出社しなければ対応できない業務があったり、従業員からの質問対応のため出社を求められるケースがあり、なかなかリモートワークが浸透していないのが現状です。

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著者
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