【イベントレポート】キャリアアップできるカスタマーサポートはなにを大事にしているのか?【CSキャリア論】

 

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カスタマーサポートにおけるキャリアアップの道とは?

2020年6月12日、Nota Inc.の主催によりオンラインイベントを開催。CS領域の最前線で活躍する豪華ゲストをお招きし、これまでの経験を振り返りながらキャリアアップについて語っていただきました。

今回は同イベントのレポートをお届けします。当時の動画はこちらからご覧下さい。また、後日談の動画も配信しておりますので、合わせてご覧ください。

登壇者

  • SYN, Inc. 小川直樹(モデレーター)
  • GMOペパボ株式会社 宇賀神卓馬
  • eureka, Inc. 西村高史
  • Nota CEO 洛西一周

飲食・ミュージシャン・エンジニア。多種多様な職業からカスタマーサポート職を始めた理由

小川「最初に自己紹介を兼ねて、みなさんがCS職に就いたきっかけなどをお聞きしていこうと思います。まずは私から。

新卒でスターバックスに入社をして7年ほど店舗に立ち、Web業界に興味をもったタイミングで株式会社ロコンドに転職して、そこでCSのキャリアをスタートしました。

オペレーターからスタートしてマネージャーを経験し、2015年にメルカリに転職。当時からメルカリはCSにすごく力を入れていて、全社員約100名の中でその半分がCSという規模感でした。

このとき、業界全体を盛り上げることを目的に『CS JAM』というカスタマーサポートに特化したコミュニティイベントを企画し、マンスリーで開催するように。毎回ゲストを迎えてディスカッションやLT(ライトニングトーク)を行いながら知識を蓄積して人脈を広げ、私にとってCSキャリアのターニングポイントになりました。

その後、DMMグループでネット配信のCSを立ち上げたり、株式会社Azit(アジット)ではドライブシェアアプリ『CREW』でHelpfeelなどの先進的なツールの導入を進めたりと、スタートアップのインハウスでCSの立ち上げや改善を経験。現在は、SYN, Inc.で『Chompy(チョンピー)』というフードデリバリーサービスを運営し、CSを担当しています」

宇賀神「私はもともとミュージシャンをやっていて、20歳でメジャーデビューを経験しました。

メジャー落ちしたときにアルバイトを探すなか、ミュージシャンのバイト先としてお馴染みだったコンビニスタッフや現場作業に加え、コールセンターという選択肢が増え始めた時期で、私も派遣社員としてオペレーターの仕事を始めました。

時給もよく、服装も髪型も自由なので、ミュージシャンや役者と親和性が高い仕事だと思います。そこからアウトソーサーとして15年ほど働くなかで、オペレーターからSVに昇格することもポツポツ出始め、34歳の時にGMOペパボ株式会社に入社しました。

最初はカラーミーショップのカスタマーサポートに携わり、現在はカスタマーサクセスチームの立ち上げなどに取り組んでいます。また、『カスタマーサポート大学』というYoutubeチャンネルを開設してCSのナレッジシェアにも力を入れています」

小川「『カスタマーサポート大学』、ライトに聞けるけどナレッジが詰まっていて、とても勉強になりますね。西村さんはどのようにCSのキャリアをスタートしましたか?」

西村「私はもともとエンジニアをやっていました。7年ほどエンジニアとして働くなかで、モノと向き合いながらそれを使うお客さんの声を聞くようになり、最後の1年間は客先に出向いてサポートもするという、エンジニアとCSを両方担っているような状態でした。

30歳を目前に自分のキャリアを見直し、転職してCSにジョブチェンジしました。それまでは自分自身、あまり人と話すことが得意ではなく、開発に没頭することが性に合っていると思っていましたが、実際に働いてみると楽しくて、天職だなと感じましたね。

最初はソフトバンクでISPのサポートからスタートし、ハードウェアやソフトウェアを提供する企業でジョブホップしながら自分のスキルを高めていきました」

データドリブンがCSキャリアアップの鍵。「分析」と「ホスピタリティ」が顧客満足度向上の両輪に

小川「私がCREWで『Helpfeel』を導入したように、お客様に優れたUXを提供するためには、いろいろなツールを使っていく必要があると思います。ツールに関する使いこなすスキルはCSのキャリアの意味でも大きな武器になりますよね」

宇賀神「そうですね。ツール使いこなし力が人材の市場価値に大きく影響することは、数年前から明確な兆候として見えてきた気がします」

小川「そのなかでも分析のスキルはキャリアアップする際のキーワードになると思います。西村さんはかなり前から注目されてきましたよね?CSにおけるデータ分析についてどのように捉えていますか?」

西村「自分はエンジニア出身ということもあるので、働き手の行動をコストとして捉え、何をしてどれくらい効果が出たのか、事細かく数値化するという発想が根底にあります。

決められた納期のなかでどれだけクオリティの高いものを出すか考えた時、数値の管理は絶対的に欠かせません。データに執着する考え方はAmazonのCSでチームマネージャーを経験している時にさらにしっかり身についたと思います」

小川「確かにAmazonはあらゆるデータを重要視していて、分刻みでオペレーターのパフォーマンスのログをとるなど、有名ですよね」

西村「そうですね。感覚だけでは喋れないっていう」

宇賀神「データドリブンでギチギチに管理してしまうとホスピタリティが落ちがちなイメージあるんですけど、AmazonのCSってそういう印象がなく、満足度はとても高いと思います。その辺りはどう捉えていましたか?」

西村「基本的に『ホスピタリティはあって当たり前』という考え方でしたね。ホスピタリティを前提に、顧客満足度を高めるために数値化を徹底しているという。最初にホスピタリティがあり、その上でデータドリブンが重要と捉えていました。

これからの時代、CSでキャリアアップしていくために、分析やツールを使いこなすことは必要不可欠なスキルだと思います」

 

大企業とベンチャーのCSの違い。VOCによるUX改善の考え方

小川「チャットで質問がきています。『ベンチャーと大企業のCSの違いとは?』。Amazonやスペースマーケットなど、両方を経験された西村さん、いかがですか?」

西村「一番大きな違いは、ベンチャーのCSは『なんでもできる』ということでしょうか。CS個人が判断してお客様のためになると思ったことは基本的に実行できます。大企業になるとブランディングだったり、CSの中でのルールがあったり、ある程度枠組みの中で判断していくイメージです」

小川「Helpfeelは大企業からベンチャーまで幅広い企業が導入していると聞いています。洛西さんはツールを提供する側の立場として、両者の課題の違いを感じることはありますか?」

洛西「導入する理由に明確な違いを感じますね。大企業の場合、コールセンターの規模も大きいので『問い合わせを減らしたい・対応を効率化したい』という課題感が強いです。一方ベンチャーの場合は『UXをよくしたい・顧客体験をよくしてサービスを成長させたい』と、マーケティングに投資する考えに近いと思います」

小川「もうひとつ質問がきています。『VOC(Voice Of Customer)をデータ化して他部門に届ける際に工夫されていることはありますか?』とのこと。

CSに届くお客様の声を可視化したり、改善案として社内で共有したりするときに意識していることがあれば教えてください」

宇賀神「私の場合、自分のなかでいくつかのコツを持っています。そのひとつが『他人が思い通りに動いてくれなかったら自分が変わるべき』という考え方。例えばエンジニアさんに要望を出しても叶えてもらえない場合、自分でももう少しデータベースの構造を理解しようと勉強します。お客様の声をそのまま伝えるのではなく、それを形にする相手の立場に立つということは大切ですよね。

もうひとつ『数』だけで判断しないように注意しています。リクエストが多い改善要望だったとしても、ターゲット外のお客様からの声であれば“重み”を変えて判断します。ペルソナを明確にしてVOCを捉えることが重要だと思います

西村「宇賀神さんに近い考え方ですが、私はVOCをあまり意識し過ぎないようにしていて。そもそもVOCって問い合わせの中でもかなりパイが小さかったりします。数人のためにUIやサービスを変えることが正しいことなのか、慎重に判断しないといけません。

必要なVOCをUIやサービスに反映させる際は、それによって何がどう変わるかを数値化し、ストーリーを考えてから社内に共有していきます」

スペシャリストにもゼネラリストにもなり得る。カスタマーサポートのキャリアの可能性

小川「それでは最後に、CSのキャリアビジョンについて、みなさんの考えをお聞かせいただけますか?」

西村「CSは突き詰めていくと、結局『何にでもなれる』と思っているんですよね。ユーザーとのタッチポイントになるうえで、顧客対応のスキルを身につけ、加えてデータ分析などの付加価値があれば、PRにもマーケターにも転身できるでしょう。

『CSしかない』というネガティブな発想ではなく、むしろCSはさまざまなキャリアのスタートになり得る仕事だと思います」

宇賀神「CSという職種が一般化してそれほど長くありません。私がインハウスでカスタマーサポートを始めたとき、CSでマネージャーや課長というポジションはまだまだ少なかったと思います。

しかし最近では、CS出身で執行役員や管理職になる人もいます。一方、業務の幅も広がったので、西村さんがお話したようにどこかを尖らせてその道のプロを目指すこともできますし。特に昨今はデータアナリティクストの需要が急激に高まっているので、そこを磨けばCSキャリアの市場価値はさらに高まっていくと思います」

洛西「みなさんが今回お話されたように、CSにおけるツールの力は今後ますます重要になっていくと思います。Helpfeelは必要な知識に確実にたどり着くことができて、どんな疑問でも解消できるFAQシステムとして、CSを盛り上げていきたいです」

著者
Helpfeel
どんな質問にも答えられる本当に役に立つFAQシステム「Helpfeel(ヘルプフィール)」。お客様の質問になんでも答え、CS担当者やコールセンターの負担を削減します。