OKR(Objectives and Key Results/目標と主要な結果)は、米インテル社が生み出した目標管理手法です。Google、Facebook、Uber、Twitterといったシリコンバレー発の有名企業のほか、国内でもメルカリ、サイバーエージェント、Sansanといった企業が導入しています。
OKRは、Objectives(目標)とKey Results(主要な結果)という2つの要素で構成されており、まず自社のビジョンやミッションを踏まえて組織全体のObjectivesを設定したうえで、それをブレークダウンする形で部門や個人といった単位のObjectivesとKey Resultsを設定していきます。
Objectivesは、組織全体、部門、あるいは個人が目指すべき目標のことです。各メンバー、ひいては組織全体のモチベーションにつながるような定性的な目標を設定します。そのため、達成率が60~70%程度になるようなチャレンジングな目標を設定するのが一般的です。
Objectivesを達成するうえで、特に重要となる成果をKey Resultsとして設定します。Objectivesとは異なり、Key Resultsは定量的な数値で設定する必要があります。1つのObjectivesに対して2~5個程度のKey Resultsを設定するのが一般的です。
前述の通り、OKRでは達成率が60~70%程度となるようなObjectivesを設定します。そして、達成率が60%以上となった場合に「目標を達成した」と判断するのが一般的です。
裏を返すと、取り組む前から確実に達成できるような目標ではなく、頑張れば手の届くところに目標を設定することが前提になるということです。
OKRは、組織を構成する各メンバーが同じベクトルを向いて最適な行動を取れるようにすることを目的とした目標管理手法です。そのため、各メンバーのObjectivesやKey Resultsの達成度合いは、あくまでも組織全体のObjectives達成に向けた各プロセスの進捗状況を確認する意味合いとしての利用に留めて、それぞれの人事評価とは切り離して考えることが求められます。
逆に、人事評価と紐づけた場合、100%に近い達成率となるような無難なObjectivesやKey Resultsばかり設定されるようになってしまうことは容易に想像いただけるでしょう。
OKRには、自信度という指標が存在します。自信度は、各Key Resultsを達成できる自信がどの程度あるのかを0から10の11段階で示した指標です。
自信度が10になるようなKey Resultsは、チャレンジングな目標とは言えません。一般的には、自信度が5程度になるようなKey Resultsを設定することが望ましいとされています。
OKR導入後は、1ヶ月~四半期といった短期間でレビューを行います。レビューでは、前の期間に設定したObjectivesとKey Resultsの達成度合いを評価したうえで、次の期間のObjectivesとKey Resultsを設定します。
目標管理の一般的な手法としては、KPI設定がよく知られています。KPIは、KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)を達成するためのマイルストーンであり、KGI達成に向けた成果が着実に創出されているのかを定量的な数値で確認することが目的です。
※コールセンターにおけるKPI設定についてさらに詳しく知りたいという方は、下記のコラムをご覧ください。
一方で、OKRでは定性的な最終目標(Objectives)を達成するためのプロセス(Key Results)を可視化したうえで、それを組織全体あるいは各部門内で共有します。そのため、その主な目的は全社的なコミュニケーションを促進して生産性向上につなげることです。
その他、OKRとKPIとの間には下表のような違いがあります。
OKRは、企業のビジョンやミッションに沿った組織全体のObjectivesからブレークダウンする形で部門や個人のObjectivesとKey Resultsを設定します。そのため、定期的なレビューは、各メンバーが「自分自身は自社のビジョンやミッションに対して、今自分はどの程度貢献できているのか」を客観的に把握する機会を提供することにもつながります。
また、OKR導入後は週に1回程度、Winセッションを実施するのが良いとされています。Winセッションとは、週次でObjectivesやKey Resultsの達成度合いを振り返りつつ、少しでも良い部分を見出して互いに褒めあうというものです。
このように、OKRを導入するとビジョン・ミッションを確認したり、メンバー間でポジティブなコミュニケーションを図る機会が増えるのでモチベーションの向上につながります。
以下のコラムでも解説しているように、オペレーターの早期離職はコールセンター業界全体の大きな課題となっています。
前述の通り、OKRを導入すると月次あるいは四半期単位でのレビューや、週次でのWinセッションなど、部門内でコミュニケーションを図る機会が多くなります。そのため、部門内でのコミュニケーションが活性化して風通しの良い働きやすい職場を実現できます。また、管理者とオペレーターの間でのコミュニケーション頻度が多くなるので離職を考えているオペレーターを素早く発見して早めに手を打てるようになります。
このように、OKRの導入は離職リスクの軽減・早期発見、ひいては離職率改善という面でも有効な手段です。
今なお、多くのコールセンターは目標管理手法としてKPI管理を採用しています。皆さんが所属しているコールセンターでも、様々なKPIを設定して目標管理を行っているのではないでしょうか?
KPI管理が主流の今、OKR導入で実際にモチベーション向上や離職率改善を実現し、「社員満足度90%以上」「1年以内の離職率10%以下」といったことをアピールできるようになれば、人材採用での大きな武器となります。導入しているコールセンターが少ない今だからこそ、OKRは人材不足を解消する切り札となり得るのです。
OKRを導入している企業のコールセンター部門では、例えば下に挙げたようなObjectivesとKey Resultsを設定することができるでしょう。
前述の通り、Objectivesは定性的かつモチベーション向上につながる内容にする必要があるので、「お客様が『電話して良かった』と思えるコールセンター」といった内容が考えられます。そのうえで、それを実現するためのプロセスを後処理時間や通話時間といった定量的な数値に基づいてKey Resultsとして設定していきます。
また、前述の通りOKR導入後は短期間でレビューを繰り返すことが重要です。設定して終わりではなく、必ずレビューを行うようにしましょう。頻繁なレビューはモチベーション向上や離職率改善といった観点からも非常に重要です。
繰り返しになりますが、OKR導入後にはレビューやWinセッションといった時間を設ける必要があります。そのため、「問い合わせ対応で手一杯の状況ではそんな時間を確保できないから、うちではOKRを導入できない…」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような方は、OKR導入に向けてまずは問い合わせ件数を削減することを目指してみてはいかがでしょうか?たとえば、最近ではお客様自身による自己解決率を向上させることで問い合わせ件数の削減を目指しているコールセンターが少なくありません。具体的には、FAQサイトのコンテンツを拡充したり、サイト内検索の精度を改善したりすることで自己解決率を向上させることができます。
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また、毎月カスタマーサポート担当者が貴社のFAQサイトを分析して目標設定から達成までの改善策をご提案致します。「導入して終わり」ではなく、継続的な改善によって問い合わせ件数のさらなる削減を実現します。
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