社内の業務や困りごとに関する窓口となる社内ヘルプデスク、製品やサービスのユーザーや契約者からの問い合わせに答えるコールセンター、それぞれの現場では対応する相手は異なるものの、共通の課題を抱えています。
中小企業基盤整備機構が1,000社以上の企業に対して実施した平成29年の調査によると、7割以上の中小企業が「人手不足」を感じているという結果が出ています。
少子高齢化によりどの業界でも人手不足が叫ばれるなか、社内ヘルプデスクやコールセンターも例外ではありません。人手不足は今後もますます深刻化していくと予想されています。
さらにコールセンターでは顧客のクレーム対応も行うため、オペレーターの精神的な負担も大きく、離職率が高いということも関連する課題のひとつです。
AIやICT、クラウド化、仮想化技術の発達など、デジタル技術の進化により、製品などの機能性やサービスの守備範囲が拡大し、同時にユーザーの困りごとも多様化しています。また、社内の仕事においても複数のシステムを活用するケースがほとんどです。
社内ヘルプデスク、コールセンターどちらにおいても、オペレーターはこれまで以上に様々な質問に対応できる幅広い専門知識が必要になっているのです。
人手は減り、問い合わせの内容も多様化しているなかで、オペレーター一人一人の負荷が増えているのが社内ヘルプデスクやコールセンターの現状であり、問い合わせ削減は急務です。
対策として、「人手不足」はルーティンワークを自動化すること、「問い合わせ内容の多様化」は、対応時の効率を上げることや、ユーザーの情報を蓄積して分析する仕組みをつくることが求められます。
そこで有効なのが「FAQシステム」です。FAQシステムは、「よくある質問」と「その回答」をまとめたものです。多様化する問い合わせに対しても、傾向を分析してコンテンツを準備することで、スムーズに回答へ誘導し、個別の問い合わせ削減につながります。
さまざまな企業がFAQシステムを提供していますが、主な機能やサービス内容は以下の通りです。
FAQシステムの根幹となるのが「検索機能」です。
FAQページでキーワードを入れて検索することで、登録されているFAQコンテンツの中からキーワードを含むコンテンツがヒットし、疑問に対する答えを得ることができます。コンテンツはブログ形式でページごとに作成できるシステムが一般的です。
FAQシステムを提供する多くの企業は、導入時のサポートとして、コンテンツの作成支援を行っています。コールセンターに蓄積されたデータを分析して多い質問を洗い出し、優先度の高いコンテンツから作成していきます。
システムの導入後、FAQの利用率をさまざまな指標で分析できるものもあります。
定期的に分析をすることで、コンテンツがユーザーの課題解決に直接的に繋がるものになるよう、改善が可能。分析機能を持つシステムもありますが、中にはコンサルタントがアドバイスをしてくれるサービスもあります。
これからの社内ヘルプデスクやコールセンターの効率削減のために、FAQシステムは必要不可欠といってよいでしょう。既にその必要性を再認識し、活用している企業も多くあります。
しかし、その中で「問い合わせ削減」という当初の目標を達成できている企業はどれくらいあるでしょうか。ユーザーの立場に立って考えてみましょう。
こんな経験、一度はあるのではないでしょうか。
一度FAQコンテンツを試して「使えない」と感じてしまうと、信頼がなくなり、ユーザーが再び検索することもありません。さらに、コンテンツの作成や更新にはコストがかかるため、“使えないFAQ”を作成することは業務効率を悪化させてしまう恐れもあります。
それでは、問い合わせを“本当に”削減できるFAQシステムとは、一体どんなものでしょうか。
最も重要になるのが「ヒット率」です。「ヒット率」とは、ユーザーがキーワード検索をしたときにコンテンツがヒットする確率のことを指します。
FAQコンテンツは、どれだけ丁寧に作ったとしてもユーザーに読まれなければ全く意味がありません。コンテンツが何もヒットしない「ノーヒット」を減らすことが、FAQシステムにおける最も重要なポイントと言えるでしょう。