中学 地理 自然災害に備え、ハザードマップを使ってみよう【実践事例】(日本大学豊山女子中学校)
日本大学豊山女子中学校
坂田 美穂子教諭・上里 拓也教諭
ロイロノート・スクールで自然災害の対策についてレポートを作成し、それを活用して自然災害から身を守る力を身につけます。
地形図や等高線の見方を学習した後、ハザードマップを用いて防災学習を行います。まず、夏季課題として自然災害への対策について調べます。ロイロノート・スクールを使って数枚のカードでレポートを作成し、9月初めまでに提出させました。2学期の授業で日本の自然災害について学び、東京で大地震が起こった場合を想定して班ごとに意見交換をしました。その後、夏季課題で提出されたレポートの中から、内容の優れたレポートをクラスで発表しました。そして、同じ方面に帰宅するグループを編成し、タブレットを使って安全に帰宅するためのルートを検索しました。
実際に12月の夕方に地震が発生し、避難することになったと想定して避難生活について考え、班長が発表しました。今回、学んで調べた資料を応用し、次の校外学習では実際に防災アプリを使用して実地体験を行う予定しています。
ロイロノート導入のメリット
東京都防災マップなどの資料をあらかじめ資料箱に入れておき、必要に応じて選べるようにしました。発表の資料作りもカードを自由に入れ替えることができ、効果的な写真を挿入するなど説明の手順を考えながら行うことができました。
課題の提出後も生徒の手元にカードが残っているので、書き加えたり振り返りをするのに役立ち、課題の評価と発表の準備が同時進行で行えるのは便利です。
実践の目標
公共の交通機関に慣れない中学1年生が非常事態に遭遇した際、どのように対処したらよいか、正しく判断して行動するための情報を手に入れるツールの使い方を身に着けさせる。
実践の場面
1. 夏季課題に取り組み、提出する
「災害対策について考えよう」の夏季課題に取り組む。居住地域のハザードマップを入手し、自宅付近の避難所や危険個所、水害想定区域などについて調べる。気付いたことを地図上に書き込み、近隣の危険個所を撮影するなどそれぞれ工夫してカードを作成した。家族との話し合いの中から問題点を見つけた生徒もいた。このレポートは新学期までにロイロノート・スクールで提出するようにした。
2. 日本の自然災害について学ぶ
日本の様々な自然災害についての授業を受け、災害対策の大切さについて学びました。教科書の写真や震災時のニュース映像などから、東京で大地震が起こった場合を想定し、班ごとに意見交換をした。
3. 夏季課題のレポートの発表を行う
提出された夏季課題のレポートの中から、優れたレポートを3~4つ選んだ。レポートを書いた生徒には、事前にロイロノート・スクールのカードに合わせた説明文を考えてきてもらった。液状化現象をペットボトルで再現した動画を取り入れたり、自宅にある全ての非常食や防災用品を並べた写真を提示するなど、それぞれが独自の方法で防災の重要性をアピールしていた。
4. 地図上で安全に避難するルートを調べる
通学路が同じ方面の生徒で班を編成し、ロイロノート・スクールの資料を使って、1人の生徒の自宅に帰宅するルートを調べた。
①東京都防災マップ、②国土交通省の「重ねるハザードマップ」、③国土地理院の標高地図、④板橋区ハザードマップを利用した。災害支援道路と近道のどちらか、途中で水や食料の補給、地滑りの危険などについて考えてルートを完成していった。この後、各自の帰宅ルートを調べて保存しておくことにした。
5. 避難生活について考え、意見を発表する
12月の夕方に地震が発生し、避難することになったと想定して避難生活について考えた。
「高齢者のいる家庭」、「乳幼児のいる家庭」など条件を設けて、班ごとに必要なものを考えてプリントに書き出し、それをタブレットで写真に撮ってロイロノート・スクールで教師に提出した。生徒が提出したカードを一覧表示してテレビに映しながら、各班長が発表をした。生徒の居住区域が広範囲なため、相互理解はやや難しかったが、発表を聞く側の生徒は他の地域の話を興味深く聞いていた。
6. 校外学習で実際に防災アプリを使用してみる
今回作成した資料を応用し、次の校外学習では実際に防災アプリを使用して実地体験を行う予定。
防災検定協会の講師に指導を受けながら、ターミナル駅周辺を防災マップを参考に歩くことにしている。目的地は緊急避難校となっている学校を目指す。指示する係、周囲の安全確認をする係など役割分担を決めて、画面上と実際の相違を身をもって体験する。英会話講師2名も参加し、緊急時に必要になるかもしれない英語力を身に着けたいと考えている。