中2 社会 シンキングツールを使って東京大学の入試問題を解いてみよう【実践事例】(愛光中学・高等学校)
愛光中学・高等学校
和田 誠教諭
ロイロノート・スクールで他者と発想を共有し、シンキングツールで整理することで、思考力・創造力が深まります。
平成29年度の東京大学工学部推薦入試の事前課題でこのような小論文が求められました。【ルネサンス期にヨーロッパに大きな社会変革をもたらした「火薬・羅針盤・活版印刷術」は三大発明と呼ばれている。なぜ三大発明と呼ばれているかを簡単に考察した後、2050年頃までに期待する3つの技術革新を挙げ、それらの相乗効果がもたらす社会的変革を説明せよ。】この課題の後半部分(2050年頃までに、以降)を、ロイロノート・スクールのシンキングツールを利用して、中学2年生が全員で解いていきました。
まず、個人で「2050年までの技術革新」を3つ考えた後、4人1組の班で共有し、班内で3つ決めます。それをカードに入力して提出箱に提出し、クラス全体で共有します。各班から出されたカードをシンキングツールのベン図を使って、クラス全体で整理します。ベン図の中央に入ったカードの中で、「社会的に大きな意味を持つ技術革新(人類にとって有用な技術革新)」を3つ選び、入試問題に対応する形の答えを導いていきます。
最後に入試問題の後半の解答となるよう、200~300字程度の文章を構成して、提出します。
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ロイロノート導入のメリット
ロイロノート・スクールの提出箱の回答共有機能を使うことで、他者の発想を知ることができました。
自分には無かった発想を知ることで、生徒の創造力が鍛えられると感じました。また、シンキングツールを利用することで、模造紙などで行なうよりも、短時間で思考の整理ができました。
東京大学の入試問題という非常にハードルが高い問題に対して、中学生でも対応できる解き方を実践することができたように感じています。
実践の目標
自分の頭で考えて、技術革新(発明)を創造することができる。
他者の発想を理解することで思考を深めていき、シンキングツールを利用して思考を整理し、より良い創造ができるようになる。
東京大学の小論文の事前課題について、解き方の糸口がつかめるようになる。
実践の場面
1.「2050年までの技術革新」を3つ考えてみる(個人作業)
生徒個人が、自分の頭とWeb検索などを用いて、2050年までになされそうな技術革新を3つ考えてみる。
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2. 4人1組の班で考えて、班で3つ決める
2050年までの技術革新について考えた結果を班で共有する。その後、良いと思った技術革新を3つ決めて、ロイロノート・スクールの提出箱に提出する。
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3. クラス全体で共有する
提出箱に提出された各班のカードを、クラス全体で共有する。わかりにくいものや説明を要するものについて、各班に質問するなどして思考を深めていく。
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4. シンキングツールで思考を整理する
各班から出されたカードをシンキングツールのベン図を使って、クラス全体で整理する。左側の円は「2050年までには無理」、右側には「あと10年以内に完成する」と思われるカードを入れる。すると、間に入ったカードが、ちょうど2050年頃までの技術革新として適切となる。これを全体で共有しながら作業していった。
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5. 入試問題に対応する形の答を導く
ベン図の中央に入ったカードの中で、「社会的に大きな意味を持つ技術革新(人類にとって有用な技術革新)」を3つ選ぶ。さらに、それらの相乗効果がもたらす社会的変革について考察した。
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6. 本時の学習を文章にまとめて提出する
今回の東京大学の入試問題の後半の解答となるよう、200~300字程度の文章を構成して、教師に提出する。
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