小2 算数 かけ算さがし【実践事例】(守山市教育委員会教育研究所)
守山市教育委員会教育研究所
中西 一雄教諭
算数科における課題発見・解決プロセスでの思考の可視化・共有
ロイロノート・スクールを活用して、思考を可視化・共有することで、多様なものの見方や考え方を学ぶことができます。
校舎内で見られる「かけ算」を児童自身が見つけて、撮影します。撮影した画像を教師に送信し、教師は問題にできるものとそうでないものを選択します。
教師が選別したものを児童に送信し、児童たち自ら、問題として分かりやすくなるように書き込みを加え、教師に提出します。教師は各グループが作成した問題のカードを繋げて、各グループの問題として児童のタブレットに送信します。
児童はグループで相談して考え、写真カードに直接回答を書き込み、すべての問題に解答できたら教師に提出します。提出された各グループの解答を比較表示(6グループ分)し、模範解答と他のグループの解答での違いや共通点を、学級全体で出し合います。
全グループが作成した問題を解き終えたら、すべてのグループの解答カードを児童に送信します。
児童は送信されてきたすべての問題を振り返りながら、グループで相談し、異なる解き方(計算の仕方)を書き込んで教師に提出します。
それぞれのグループごとに異なる見方や考え方があり、一覧・比較表示する中で多様な見方や考え方を学び合い、深めあう実践となりました。
ロイロノート導入のメリット
課題の発見、問題の作成、問題の解決、そして表現活動(発表)という学びのプロセスにおいて、ロイロノートにより活動状況が常に可視化できたことで、児童が主体的に学びを進めることができました。
写真カードの提出、問題の送信と提出、比較表示のステップにおいて、ロイロノートの機能により、教師が支援者として関わることができ、それらの時間短縮、負担軽減に繋がりました。
限られた時間内に多くの児童の考え方を一覧表示にして、視覚的に確認することができました。また、比較表示することで児童たちは、自らの考えと異なる回答に気づきやすく、多様なものの見方を効率良く学ぶことができたと思います。
実践の目標
ある課題に対する仲間の回答から、数え方や解き方には様々なパターン・方法があることを学ぶ。
単一の答えで満足することなく、他の方法やアプローチの視点を持てるようになる。
互いの考え方や見方を認め合い、学び合う集団としての雰囲気を作り出す。
実践の場面
1. 身近な「かけ算」を見つける
児童2名〜3名のグループに1台のiPadを用いて校舎内を散策し、かけ算の問題になる場所や物を撮影する。撮影した写真を教師のiPadに送る。教師は送られてきたカードを確認し、かけ算の問題になる画像とそうでないカードを選択しておく。
例)窓の数
階段にある落下防止の格子の数
電灯の数
ロッカーの数
2. わかりやすい問題にする
児童たちが撮影した写真のうち、教師が選別したものを児童に送信する。児童は送信された写真のカードに、問題として分かりやすくなるように書き込みを加え、教師に提出する。
例)写真の中の数える部分に丸をつける
写真の一部分に、手書きで説明文を加える
3. グループごとの問題にして送信する
教師は各グループが作成した問題のカードを繋げて、グループ番号をつけたカードを一番初めに加える。各グループの問題として、順番に児童のタブレットに送信する。
例)1班→第1問→第2問→第3問→第4問
2班→第1問→第2問→第3問→第4問
3班→第1問→第2問→第3問→第4問
4班→第1問→第2問→第3問→第4問
5班→第1問→第2問→第3問→第4問
6班→第1問→第2問→第3問→第4問
4. それぞれの意見を全体で共有する
「この問題に対して、あなたはどう考えるのか」ということを、ロイロノートのカードに意見を書き、教師に送信する。送信してもらった意見は、一覧で画面に表示。
そうすることで、他の学生がどのような考えなのか参照でき、また自分の考えを捉えなおすことができる。大勢の前で発言はできないけれど、ロイロノートなら、意見を出しやすいという学生の声もあった。
5. 提出物に手書きで添削し、返信する
教師は学生が提出したカードに、手書きで丸をつけたり、重要な視点のところには下線を引いたり、コメントを手書きで書き込んだりして添削をする。
そして添削したカードを、学生個々に返信する。
学生からは、「一斉講義はなんとなく冷たい感じがするが、(ロイロノートを使うと)教員からの反応があり、学生との距離が近くなった感じがして良かった」という反応があった。
6. 課題の提出確認を行う
授業の最後に、前回の授業で出した課題を提出したかどうか、確認する。
学生は課題をカードに書いて教師に送信するという提出方法を取っているため、提出したかどうかは教師の画面で一覧表示される。
誰がいつ提出したかどうかが簡単に把握でき、紙で学籍番号順に並べたり、一枚一枚チェックしたりする作業がなくなり、大幅な時間短縮となった。