導入事例インタビュー - Helpfeel

平和堂Helpfeel事例インタビュー_検索ログは顧客ニーズの宝庫。VOCを分析してクレジットカード申込者数を前年比1.9倍に

作成者: Helpfeel|Oct 9, 2024 3:03:37 AM

株式会社平和堂は、1957年に滋賀県彦根市で創業した、総合スーパー等の小売業および関連事業を営む会社です。中長期ビジョンとして「地域密着のライフスタイル総合(創造)企業」の実現を掲げ、滋賀県を中心とする関西、北陸、東海エリアの2府7県に合計164店舗を展開(2024年8月末現在)。地域に住む人々の暮らしを支えています。

同社のHOPマネー(電子マネー)機能付きクレジットカード「HOP-VISAカード」をリニューアルすることを機にFAQページを設置するとともに、検索ログから顧客のニーズを精緻につかむことを目的に、Helpfeelを導入しました。データ分析に力を入れ、多く検索されている内容をFAQ記事のみならずランディングページ(LP)や店頭ポスターにも掲載し、お客様が欲しい情報をあらゆるチャネルで届ける施策を積み重ねました。その結果、カード申込者数が前年比1.9倍に大幅アップするなどの高い成果が生まれています。

Helpfeelを導入した背景や活用方法、効果などについて、クロステック企画部 部長 宮領 康博様、同部 CX企画課 アシスタントマネージャー 鹿田 沙月様に話を伺いました。

カード申込数率を上げるためにFAQの検索ログを分析。顧客ニーズを把握してマーケティングに活用したい


── はじめに、クロステック企画部の業務内容を教えてください。

宮領様 クロステック企画部は、既存の営業ビジネスモデルに、AI など先端技術(クロステック)を結び付け、業務改革の企画立案から導入を行う部署として営業組織内に新設された部門です。

お客様一人ひとりにあった新たなライフスタイルをご提案するために、決済データに着目し、お客様のライフスタイルを消費購買行動データから捉える取り組みを行っています。そのひとつが、2023年にリニューアルしたHOPマネー(電子マネー)機能付きクレジットカード「HOP-VISAカード」です。

ポイントカードである「HOPカード」は35年前に導入し、滋賀県民の7割が会員になっており、会員420万人分の購買データが蓄積されています。このHOPカードにクレジット機能を付与したものがHOP-VISAカードです。

今回のリニューアルでは、平和堂でのお買い物に加えて、平和堂以外のお買い物でもHOPポイントを同率、購買金額の1%付与という高い還元率にすることでクレジットカード利用を促進し、カード利用履歴からお客様の購買行動を把握したいと考えました。

そして、これまでHOP-VISAカードのご利用者数が少なかった30〜40代の子育て世代をターゲット層とし、カードデザインや申し込みプロセスの企画などの全面リニューアルをクロステック企画部の鹿田に一任しました。


鹿田様 リニューアルしたカードは素材として滋賀県産の間伐材を使用し、琵琶湖真珠「びわ湖パール」の貝殻を粉末化し混ぜたインクで塗装するなど、滋賀県発祥の平和堂らしい地域貢献ができるデザインにしていることが特徴です。国内小売業の提携クレジットカードとしては初めて、グッドデザイン賞をいただきました。

このように、新しいチャレンジを重ねているのがクロステック企画部の特徴でもあります。



── Helpfeelを導入したきっかけには、どのようなことがあったのでしょうか。

宮領様 リニューアル前のHOP-VISAカードのサイトにはFAQページがなく、新たに作成する必要があったことがきっかけです。

LPにHelpfeelを組込みリリースした当初は、クレジットカード発行会社のサイトにあったFAQコンテンツや、当社とクレジットカード発行会社のコールセンターで使っているマニュアルから内容をピックアップし、FAQを作って掲載しました。

ところが、no hit(ノーヒット:ユーザーが検索しても該当するコンテンツが何もヒットしない)が大半となってしまい、お客様がお申込みの疑問点を解決できず、店頭で多くのお問い合わせをいただいたり、離脱してしまったりしていたことが分かり、申し訳ない気持ちになりました。そこで、お客様が必要とする情報をFAQに反映していくとともに、検索ログからお客様の疑問やニーズを把握する手段を取り入れたいと考えました。

── なぜ、検索ログからニーズを把握することを重視したのでしょうか。

宮領様 カード申し込みの導線を全てWeb経由のみに絞り、新規会員募集、および申し込みプロセスの効率化を徹底しました。リニューアルしたクレジットカードのターゲット層を30〜40代に設定しましたが、そのお客様はネットリテラシーの高い世代であるため、よくスーパーの店頭で見かけるようなカードの申し込み専用のブースは置かず、オンライン申し込みに特化することを決めました。LPやHOPアプリ(HOPカードとHOPマネー機能などがあるモバイルアプリ)のほか、店頭にQRコードを載せたポスターやチラシを設置し、そこからアクセスして申し込んでいただく手法です。

そのため、カード申込みを増やすためには、LPにアクセスしたお客様がいかにスムーズに申込んでいただけるかがカギを握ります。獲得数を上げるために入会促進のキャンペーンを打つこともできますが、やればやるほどCPA(顧客獲得コスト)が上がることは否めません。そのため、単発のキャンペーンは行いつつも、LP経由の申込効率を上げることに注力することにしました。そのために、データから顧客ニーズをつかみ、カード申込時の些細な疑問や不安を解消し効率を徹底することが重要だったのです。

── FAQシステムの導入検討において、他社サービスと比較しましたか。また、最終的にHelpfeelを導入した決め手を教えてください。

宮領様 まず、お客様が求める情報をお届けしながらVOC(Voice of Customer:お客様の声)を集める手段として、FAQシステムのほかにチャットボットの導入も考えました。ただ、チャットボットでツリー構造のシナリオを作っても、我々の想定質問の精度が低く、意図通りにお客様が操作してくださるとは限りません。お客様に負担がかからない方法で、些細な疑問やニーズをデータとして集めたいという目的にもっとも合致していたのは、HelpfeelのFAQシステムだという判断になりました。

なかでも、自然言語処理やAI技術の活用に長けたプロダクトであれば、お客様の言葉の機微を捉えることに役立つだろうと調査していたところ、Helpfeelを見つけました。「意図予測検索」という独自の検索技術で精度の高いFAQシステムが構築できることはもちろん、お客様が検索窓に入力した生の声をデータとして蓄積・可視化する機能はまさしく求めていたものでした。検索ログからお客様がどういった点でHOP-VISAカードを支持してくださり、どのような改善を望んでいるのかを把握できるのではないかと期待し、導入を決めました。

検索ログ=顧客の欲求をサイトや店頭ポスターに反映し、申し込みの動機づけに

 

── Helpfeelを導入し、どのようなことから運用を始めましたか。

宮領様 既存のFAQ記事だけではお客様が知りたい情報を満たしていなかったので、どのようなキーワードで多く検索され、お客様は何を知りたいと思っているのかをHelpfeelの検索ログから把握し、必要な記事を作成していきました。最終的なカード申込完了率を上げるために、お客様の疑問点や不安が残った状態が続かないよう、まずはno hitをなくすことに注力したのです。

鹿田様 no hitが多い状態からのスタートだったので、Helpfeelの検索ログを毎日チェックして、記事の作成と、文言の改善をとにかく繰り返しました。そのおかげで、今ではHelpfeelの管理画面を毎朝チェックすることが習慣になっています。

さらに、コールセンターや店舗でお客様から質問を受けた内容もクロステック企画部に集約し、記事に反映する体制を整えました。

宮領様 FAQページはコールセンターの現場でも見られるようにしているため、コールセンターのマニュアルとしても機能しています。そのうえで、電話口でお客様から直接寄せられた質問も記事に反映しているので、リアルとデジタルの施策が融合できていますし、FAQが絶えずアップデートされ、マニュアルとしてもどんどん「育っている」ことを実感しています。

平和堂が導入したFAQページ

 

── Helpfeelから取得した検索ログは、記事作成のほか、どのように活用していますか。

鹿田様 多く検索されている内容はお客様が知りたい情報なので、LPや店頭ポスターに反映する改善活動を続けています。その一例として、「ガソリンスタンドではHOP-VISAカードが使えるのか」という検索が多かったため、HOP-VISAカードで割引や特典の優待が受けられる施設情報をLPに入れ、その最も目立つところに「ガソリン・軽油割引」と記載しました。

滋賀県は車社会ですから、生活必需品の購入で優待が受けられることを魅力に感じて、カードを申し込む方がいるのではないかと思い、このように申し込みの動機づけとなる工夫を取り入れたのです。その他にも、LPの内容は初期リリース時から何度も変更しています。

宮領様 Helpfeelのデータ分析をもとにしたLP改善の効果を見るために、ヒートマップ分析もしています。最初にリリースしたLPは離脱率が高かったのですが、Helpfeelを通して得られたVOCを活かしてお客様が求めている情報を反映していくと、徐々に離脱率が改善されていきました。

鹿田様 こうした社内での改善とともに、カードの名義人に関することなど当社では対応しきれないニーズについては、クレジットカード発行会社やLPの制作会社にも共有し、社内外のHOP-VISAカードの関係者全員で、お客様の体験価値を上げる努力を重ねています。

── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。

鹿田様 no hitをなくすことを目指していた私たちにとって、作成した記事一つひとつに対して、検索時にきちんとヒットするよう修正を加えていただいたことは大変ありがたかったです。

そして、「質問の深さ」という考え方を学ばせていただいたのは、カスタマーサクセスのおかげです。お客様がFAQ記事を見て、欲しい情報がなかった場合、深掘りしたキーワードでまた検索をかけます。得られた情報に納得できなければ何回も質問を繰り返すことを意識して記事を作成する大切さを認識できたのは、カスタマーサクセスの支援あってのことです。

カード申込数が前年比1.9倍に増加!CPAは40%下げられ、利益面でも貢献

 

── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。

宮領様 最終的なカード申し込みをコンバージョン(CV)に据え、CVRとして申込率(申込数÷LPのアクセス数)を見ていますが、FAQを設置してからこの申込率が40%アップし、Helpfeelの検索ログをもとにLPを改善したところ、さらに33%伸びました。クレジットカードの中では、トップクラスの申込率を誇っていると思います。

さらに、LPから申込ページにアクセスしたお客様の4人に1人は最終的な申し込みに至っているという成果も出ています。申込数は、前年比で190%という大幅アップを実現しました。CPAも40%下がり利益面の成果が出ているだけでなく、スムーズに申込手続きができた点において、お客様の商品の理解度や満足度も上がっていると考えています。その結果、カード利用自体が促進され利用金額も前年比で120%を達成しています。


── その他の観点で、Helpfeelによって生み出せている価値はありますか。

鹿田様 Helpfeelで検索をすると、デジタルでありながら店舗でお客様と直接対話をする場面と近しい環境がつくられていることを感じます。

店舗でのコミュニケーションは、お客様が発した言葉そのものに加えて、語感も汲み取って会話をします。Helpfeelの意図予測検索は、口語のような言葉を入力しても欲しい情報に辿り着けるため、直接対話するときの「語感を捉える」という価値も提供できていると思うのです。

Helpfeelの検索ログとID-POSデータなどを掛け合わせ、新たな価値を生み出したい



鹿田様 直近では、HOPアプリからもHOP-VISAカードの申し込みを促進するために、アプリに表示する文言のABテスト(複数の文言を作成してランダムにユーザーへ表示し、どちらが効果的か検証すること)を検討中です。その文言も、Helpfeelに検索ログから得られたVOCを反映していこうと考えています。

宮領様 さらに今後は、Helpfeelの検索ログと、平和堂のID-POSデータや外部でのクレジット利用データなどを掛け合わせることで、お客様一人ひとりへのOne to Oneマーケティングを実現していきたいと思っています。

また、現在は主に新規のお客様向けにFAQを運営していますが、今後は既存のお客様にも価値を提供したいと考えています。

たとえば、420万人のHOPカード会員の情報をHelpfeelのデータと紐づけられれば、どういった購買行動をしているお客様が、どのようなキーワードでFAQ検索をしているかが把握できます。そうすれば、お客様のインサイトを理解できますし、お客様対応の質もアップさせることが可能になると思うのです。

本部ビル/ロビーに飾られた協賛チームのユニホーム


── 最後に、同様の課題を抱えている企業様にメッセージをお願いいたします。

宮領様 新しい商品やサービスをリリースするときこそ、Helpfeelを導入するメリットがあると思います。お客様のニーズが十分に理解できていない中で、FAQを通して些細な質問などカジュアルな本音を集められることは貴重です。これは、個人情報を入力しなければならない問い合わせフォームや電話問い合わせでは実現しきれないことだと思います。

こうしたカジュアルな本音は、商品やサービスそのものの改善、あるいはマーケティングなど、あらゆる場面で活用できます。さらに当社がLP制作会社やカード会社にもFAQ検索の傾向を共有しているように、関連会社とも協業しやすくもなるでしょう。Helpfeelは、お客様が欲しい情報を提供するだけでなく、商品価値を上げ、売上や利益を伸ばすことにも活かせるツールだと思います。