株式会社ジモティーは、「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念のもと、 地域生活における課題解決を目指し、個人が情報を発信し、地域内でより多くの人と結びつくクラシファイドサイト「ジモティー」の企画・開発・運営を行っている会社です。
同社ではユーザー様からの問い合わせの多さに課題を感じており、その数は月間1万5,000件にまで膨れ上がっていました。問い合わせ数を減らし、軽微な不明点はユーザー様が自己解決できることを目指してHelpfeelを導入し、問い合わせ数、問い合わせに占める自己解決できる内容の割合、オペレーターの業務時間のすべてが減少し、コスト改善においても効果が見られています。
Helpfeelの導入理由や活用方法、具体的な効果について、カスタマーサービス部 マネージャーの佐々木 花梨様に話を伺いました。
── はじめに、カスタマーサービス部の役割を教えてください。
当社のカスタマーサービス部は、「ジモティー」を利用するユーザー様からの問い合せ対応と投稿や通報などの監視業務を行っている部門です。私含めて社員6名、シフト制のメンバー30名ほどで運営を行っています。
── Helpfeelを導入する前、どのような課題を抱えていましたか。
問い合わせの数がかなり多いことが課題でした。2021年はそのピークで、月間1万5,000件にも達していたんです。社内ルールとして設けている、問い合わせを受けて24時間内に返信をすることを守るのがギリギリの状態でした。
現場スタッフは問い合わせ対応だけでなく、相手が不適切な行為をした際にユーザー様から来る通報や、投稿のチェックなども行います。当時は、これらの膨大な業務をやや強引にこなしていました。
問い合わせ経路としては、Webサイトにあるフォーム、そして一部機能についてはメールとなります。内容で多いのはログインや会員登録といった基本操作、ドタキャンなど取引時のトラブル、相手ユーザー様とのやり取りに関する相談です。
ユーザー様のボリューム層は40代で、子育て中の主婦の方に多くご利用いただいています。デバイスは、モバイルアプリの割合が多い状況です。
── Helpfeelに問い合わせいただいたきっかけは何でしたか。
膨大な問い合わせ数を減らすために、抜本的な対策をしなければならないと思ったことがきっかけです。
当初、以前からあったFAQを社内で改修して階層構造にしたものの、問い合わせ数は2,000件しか減らず、期待していた削減数には届きませんでした。オペレーターも問い合わせが減った感覚がもてず、業務の大変さは変わらず続いてしまっていたんです。「業務が終わらない」と現場には疲弊した空気が漂っていました。
当時のFAQページでは検索キーワードと回答記事の文言が一致しないと検索ヒットしない「完全一致」しか受けつけないもので、ユーザー様が検索画面に入力するさまざまな言葉に対応しきれていませんでした。
たとえば「ログインできない」を例に挙げると、「入れない」など別の言葉を入力したり、「ロングイン」などタイプミスをしたりして検索するユーザー様も多くいます。こうしたケースは既存のFAQで自己解決できず、問い合わせをいただいてしまっていたんです。
外部のサービスを使わないとこの状況は変わらないと考え、FAQシステムの導入を検討することにしました。
── FAQシステムなど数あるサービスの中から、最終的にHelpfeelを選んだ決め手を教えてください。
Helpfeelを選んだ決め手は、表記揺れに対応していることでした。先ほど述べたように、当社のユーザー様はさまざまな言葉を入力して検索することがデータから明らかになっていたので、問い合わせ数を大きく削減できるのではないかという期待がもてたのです。
他社のFAQサービスやチャットボットなどの手段も比較検討したのですが、各社と商談をする中で、問い合わせ数の減少見込みが最も高かったのがHelpfeelだったため、導入を決定しました。
── Helpfeelを導入して、運用面で注力したことを教えてください。
最初に行ったのは、既存のFAQコンテンツをHelpfeelのテクニカルライターへ提供し、その内容をもとにシステムで辞書設定をしていただくことでした。Helpfeelの主導で準備を進めてもらえて、運用開始までスムーズでしたね。
2023年3月に運用をスタートしてからは、Helpfeelで取れるデータをもとに記事の追加や修正を積み重ねました。たとえば、ユーザー様が記事を閲覧しているにもかかわらず問い合わせ数が減らない内容については、記事内に画像を入れてよりわかりやすくしました。
また、ユーザー様から「ドタキャンされた」という問い合わせを非常に多くいただきます。ドタキャンは残念ながら解決できないのですが、ユーザー様の心理は「ドタキャンされたときはどうしたらいいの?」ということです。ですからFAQの記事にはドタキャンした人を通報できる仕組みがあるということを伝えたり、まずはここを見てくださいという一次情報を載せたりといった工夫もしています。
問い合わせが最も多いログインにまつわる内容も、ログインできない理由を洗い出し、どの理由でも自己解決できるよう、何度も記事の修正を重ねました。「ジモティー」にはない機能やサービスについては、「できません」「ありません」と明確に記載した記事も作りましたね。
最近は、FAQページに「ジモティーご利用ガイド」への遷移を加えました。そもそもの使い方がわからないという問い合わせも多くあったので、FAQページのトップにご利用ガイドを固定表示し、遷移しやすいようにしました。こちらの導線から流入も多く、基本的な使い方については自己解決できている状況がうかがえます。
── 問い合わせ数を減らすにあたって、特に注目していたデータはありますか。
問い合わせ数のうち、自己解決できる問い合わせの割合です。軽微な内容はしっかりFAQで自己解決できるようにして、ユーザー様同士のトラブルなど、オペレーターが個別に対応すべき問い合わせに注力できる状態をつくりたいと考えていました。
── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
ピーク時に月間1万5,000件あった問い合わせ数は、最小で月間7,200件まで減り、50%以上削減できました。
また、導入スタート時、問い合わせ数のうち自己解決できる問い合わせの割合は約32%でしたが、1年間運用を続けた結果、約20%にまで減少しました。オペレーターが問い合わせ対応をする総時間も、1日平均37時間だったところが23時間にまで減ったのです。
これは期待以上の効果です。オペレーターの業務にも余裕をもたせることができ、個別トラブルなど対応すべき問い合わせにしっかり時間を割けるようになりました。また、退職者が出ても欠員補充をせず現場を回せているので、人件費削減の観点でもメリットを得られています。
── 社会的な問題にもなっているカスタマーハラスメント(カスハラ)について変化はありましたか。
「ジモティー」はユーザー様同士の直接取引が主流のため、発生するトラブルの多くは緊急性が高く、どうしても問い合わせるユーザー様の語気は強くなりがちかもしれません。以前は思い通りの解決に至らず1時間以上オペレーターが拘束される場合もありました。
コロナ禍をきっかけに電話問い合わせを廃止し、ユーザー様との接点をオンラインに絞ったことに加え、ログインできないという緊急を要する内容でも自己解決できる割合が増えたため、カスハラにあたるような理不尽なクレームを受けることは大きく減りました。「⚪︎⚪︎についてはお答えできません」などFAQに対応できないことを明文化したのも功を奏しています。
また、「ジモティー解決広場」というユーザー様同士が問題解決し合うページでは、FAQページへのリンクを付けて回答してくれる方がいるんです。FAQページがあることで、ユーザー様同士で自己解決し合う流れがうまく循環していると思います。
── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
チームマネジメントをしながらデータ分析する時間を確保をするのは難しく、運用を始めたときから頼りにしています。他社の改善例などFAQ運用の知見が豊富ですし、データにもとづいて具体的な改善案をいただけるので、納得して改善活動に取り組めています。
私自身、Helpfeelを導入するにあたり、記事の作成や修正など、カスタマーサクセスからいただいたアドバイスをまずは実行してみようと決めていたんです。
こうして1年間、カスタマーサクセスに伴走してもらいながら運用を続けた結果、期待以上に問い合わせが削減できています。
── 今後の展望をお聞かせください。
Helpfeelで自己解決可能な問い合わせを削減できたことで、オペレーターが個別の対応に割ける時間が増えてきました。問い合わせをさばくだけの状態から脱し、問い合わせの満足度向上を目指せる体制が整いつつあります。
今後は軽微な内容はHelpfeelで自己解決、有人対応が必要な内容はオペレーターと切り分けて対応し、問い合わせへ回答するまでの時間を短縮していけば、ユーザー体験はよりよくなるだろうと考えています。
これまでメインの問い合わせ窓口は問い合わせフォームでしたが、Helpfeelの運用によってオペレーターが対応できるまでの時間が短くなりましたし、自己解決可能な問い合わせは削減できるようになりました。今後はユーザー様が問い合わせをしないと解決できない内容にスムーズに対応していくべく、チャットボットの導入を検討しています。まずはHelpfeelのデータを活用して自己解決を促して問い合わせを削減、それでも解決できない内容はチャットボットを活用してオペレーターが即時解決するというフローによって、回答までにかかる時間をさらに短縮させることを考えています。
現在は回答までに平均5時間ほど要しているのですが、これが5分や10分になれば顧客満足度は大きく向上するでしょう。そのためにも今後もユーザー様がもっと自己解決できる状態を作りあげていきたいと思います。
── 最後に、同様の課題を抱えている企業様にメッセージをお願いいたします。
Helpfeelはカスタマーサクセスによるサポートが抜群で、ユーザーファーストな企業だと感じています。
FAQシステムは導入後の運用が重要である一方、通常業務と並行してFAQシステムの運用やデータ分析に時間を割くことは現実的に難しい部分があると思います。カスタマーサクセスのサポートを得ながら運用ができると、大きな効果が期待できるのではないでしょうか。