Wi-Fiルーターレンタル、プリペイドSIM販売などの事業を展開する株式会社モバイル・プランニングは、Wi-Fiレンタル中の不明点に関して電話やWebの問い合わせフォームで寄せられる問い合わせを抑制する狙いから、2022年12月にHelpfeelを導入。導入前のピーク時に比べ、電話応対回数の半減を達成しました。
さらに、問い合わせフォームの入力内容と関連するFAQに誘導できるオプション「問い合わせフォーム機能」も併用し、月200件前後あったフォームからの問い合わせを、1ケタ台まで抑制し、約85%削減することに成功しています。
顧客の自己解決を支援するためのツールとして、従来用いていた一覧形式のFAQページやチャットボットでは得られなかった実効性を証明したというHelpfeel。その導入に至った経緯や詳細な効果、今後の展望などを、同社の長谷部 里美様(カスタマーサクセス部 課長)、谷口 志織様(同部)に伺いました。
―― はじめに、お二方のご担当業務についてご紹介ください。
長谷部様 当社は事業の柱であるWi-Fiルーターのレンタル事業を、自社運営サイト「NETAGE」のほか、ECモールや提携先の実店舗などで展開しています。このうち私たちカスタマーサクセス部は7人のチームで、NETAGEの受注業務と、電話・メールなどを通じた顧客対応を担当しています。
谷口様 Helpfeelの運用はNETAGEの顧客対応の一環として、私たち2人で担当しています。導入から1年あまりの間に追加や修正、再構成を重ねてきたFAQの記事コンテンツは現在184件を公開中です。
―― Helpfeelを導入するまで、顧客対応業務に関してどのような課題がありましたか。
長谷部様 私たちの部署は問い合わせ対応にとどまらず、顧客満足度の向上につながる幅広い施策をミッションとしています。しかし従来は、稼働時間の7割近くを占めていた電話・メール対応に手一杯で、他の業務まで手が回りませんでした。
自己解決の支援としては、以前からサービスサイトにFAQを掲載していましたが、テキストのみの一覧形式で検索機能はなく、メンテナンスも不定期だったため古い情報が残っているなど、あまり実用的ではありませんでした。
また、対話形式のチャットボットを導入した時期もありましたが、これも実用的なシナリオを網羅するまでには至らず、むしろ「チャットで解決しなかった」「返事が遅い」というご不満も併せてお電話いただくなど逆効果だったことから、いったん利用を中止せざるを得ませんでした。
顧客対応の業務負荷は、NETAGEのシステムとサービス内容がそろって変更された2022年夏にピークを迎え、私自身も含めてチームの残業が常態化する危機的状況になっていました。
―― Helpfeelの導入は、そうした厳しい状況を打開するためだったのでしょうか。
谷口様 はい。私たちのチームに当時所属していたある担当者が「高い検索性で問い合わせを減らせるFAQ」としてSNS上で紹介されていたHelpfeelの資料を請求したところから検討が始まりました。
既に導入している企業のサイトも訪れて確かめたところ、入力したキーワードに関連したトピックがすぐ提示されるHelpfeelの「意図予測検索」を利用すれば、NETAGEのお客さまも欲しい情報に短時間で・ストレスなくアクセスできそうな感触を得ました。
そこから社内調整と契約、導入準備を一気に進め、私たちの繁忙期である年末を迎える前に何とか間に合わせていただく形でリリースに至りました。
長谷部様 私たちが新たに公開したHelpfeelによるFAQは、既存コンテンツからの移行と、急きょ追加作成したものを合わせた数十件の記事からスタートしました。
このとき、まず強化したのは、機種別の接続方法といった「読んでその通りにすれば、ほぼ確実に問題を解決できる」内容でした。これらはもちろん、ルーターに同封してお届けするマニュアルにも載せている情報ですが、欲しい情報を探し出す手間がネックとなりお問い合わせいただくケースが多いという実情があります。特に気になっていたのは、私たちが対応できない夜間や休日です。「お客さまが不具合に見舞われたのがあいにく土曜日であっても、初期化や再起動の方法が手っ取り早く分かれば、週末を無駄にしなくて済むかもしれない」と考えました。
―― 電話やメールの抑制という目的に関して、現在どのような効果が得られていますか。
長谷部様 明らかな成果が数値に表れています。問い合わせは、電話経由と問い合わせフォーム経由が主な経路ですが、それぞれ、Helpfeel導入直前(2022年11月)に1,387件・224件あったのが、1年後(2023年11月)には705件・35件まで減少しました。
Wi-Fiレンタル需要に季節変動がある中でもFAQへのアクセス数はほぼ右肩上がりで、その結果、NETAGEのサービスサイト訪問者がHelpfeelにアクセスする割合(FAQへのアクセス率)は対前月で一貫して上昇を続けています。これは、私たちがバナーなどで導線の強化に取り組んできたこと、また実際に使ってみて自己解決に役立つと判断されたお客さまの間で活用が定着してきたことの現れとみています。
谷口様 Helpfeelの導入後も問い合わせフォームの受信数は月200件前後で推移していました。これを減らせたのは、2023年6月から導入した「問い合わせフォーム機能」の効果によるところが大きかったと思います。その後も数字は改善が続き、問い合わせフォームの受信数は初の1ケタ台を3カ月連続で記録しています。
問い合わせフォームに入力された語句をもとに、FAQの関連トピックへのリンクを自動表示する「問い合わせフォーム機能」のオプションを途中で追加したのは、トップページを経由しない流入があると判明したためです。例えば、Web検索から直接NETAGEの問い合わせ受付ページにたどり着いた方はFAQ活用を呼びかけるトップページを見ることなく、問い合わせに至ってしまいます。
その後の実績では、「問い合わせフォーム機能」が関連トピックを提示できたケースのうち、問い合わせフォーム送信に至らず自己解決できた割合が、おおむね過半数を占めています。問い合わせの中には個別に確認が必要なものなど、そもそも自己解決が難しい場合もありますので、半数が問い合わせをせずに疑問を解消していただけているのは十分に大きな効果だと感じています。
―― 1年あまりの間にさまざまな効果があったとのことですが、導入されたHelpfeelに対する、ここまでの評価をお聞かせください。
谷口様 「本当に助かっている」というのが率直な感想です。電話・メールの問い合わせが着実に減ってきたことで、時間的に余裕が生まれ、他の業務にも取り組めるようになりました。
コンテンツの修正・更新が、必要に応じていつでもタイムリーにできるのもよいですね。FAQをはじめとするカスタマーサポートのコンテンツは、自社サイト内に置くと社内一律の運用になる関係上、迅速な改善が難しくなりがちですが、Webサービスはそうした心配がほとんどありません。
その反面、FAQシステムによっては、よくある質問ページだけ全く違うUIになってしまう場合があります。Helpfeelの場合は、できる範囲で柔軟に対応してもらえて外部サービスでありながらも自社サイトに近い印象のUIを構築できました。お客さまにもNETAGEのサイトの一部として違和感なくFAQを利用してもらえていると思います。
さらに「導入して終わり」ではなく、ユーザー動向の分析や、それを踏まえた仮説・提案が定期的に得られるため納得感があり、こまめな更新のモチベーションにもなっています。
長谷部様 Helpfeelの導入によりNETAGEに関する情報を、誰でも検索しやすい形にまとめられた結果、社内向けにも役立つようになりました。
同じ顧客対応業務でも、NETAGEとECモールでは異なる取り扱いがあります。急な欠員などが生じても相互に業務をカバーできるよう、以前から情報共有に取り組んできたところですが、対外的なFAQがいつでも最新の内容を反映できるようになり、それを見てもらえばほぼ事足りる状態を実現できました。
―― 最後に、今後の活用についても展望をお聞かせください。
長谷部様 自社サイトであるNETAGEは、他のチャネルよりも問い合わせの母数が大きいぶん、まだ自己解決を増やせる余地があると思っています。そのための施策を自社独自の判断で行える環境でもあります。
引き続きHelpfeelを活用してNETAGE関連の問い合わせを減らし、得られた余力で他のチャネルにも一層注力していけたらと考えています。