ジェイフロンティア株式会社は、「人と社会を健康に美しく」の経営理念のもと、ヘルスケア領域におけるさまざまな商品やサービスを展開しています。
同社が提供するオンライン診療・服薬指導サービス「SOKUYAKU」では、ユーザーが増えて事業規模が拡大することと比例して、問い合わせ数も増え続けている課題を抱えていました。問い合わせ数の削減を目的に、2023年11月にHelpfeelを導入。導入前に比べて問い合わせ数が84%減少し、大幅なコストカットを実現するなどの効果が出ています。
Helpfeelを導入した背景や活用方法、効果などについて、SOKUYAKU事業本部 SOKUYAKU事業部の山室 憲司様に話を伺いました。
── はじめに、「SOKUYAKU」のサービス概要と、山室様の業務内容を教えてください。
SOKUYAKUは、オンライン診療から服薬指導、処方薬の宅配までをワンストップで提供するサービスプラットフォームです。2024年10月現在で提携している病院や薬局は全国47都道府県にわたり、市区町村ベースで日本の9割をカバーするサービスへと成長しました。患者様は30〜40代がボリュームゾーンで、お子様や親御さん含め家族で利用されるケースが多いです。デジタルツールを使いこなせて、かつ忙しい方にご利用いただいています。
その中で私は、CS(カスタマーサポート)チームの業務改善と経営企画を兼務しています。CSチームは社員3名とコールセンターのスタッフがおり、コールセンターでSOKUYAKUを利用する患者様や、提携している病院および薬局からの問い合わせを受けています。
問い合わせチャネルとしては、電話、メール、LINE、モバイルアプリのフォームがあります。体調が悪いときにご利用いただくサービスであるため、すぐに不明点を解決したいニーズがあり、電話での問い合わせ数が最も多い状況です。
── Helpfeel導入前、問い合わせに関してどのような課題がありましたか。
SOKUYAKUの事業成長に比例して、患者様と薬局からのお問い合わせも増え、コールセンターの人件費が肥大化していたことに悩んでいました。初めてSOKUYAKUを利用する患者様や薬局が多かったことも、問い合わせ増加の一因だったと思います。
問い合わせ内容として多かったものは、SOKUYAKUのWebやアプリの操作に関することです。同じような問い合わせをいただくことも多かったため、ユーザーが操作に迷わないよう、UIを変えたり注意文言を入れたりしてシステムを改善し続けていたものの、問い合わせ数が思うように減らずに苦慮していました。
当時からFAQページはあったものの、記事タイトルのキーワード検索機能しかなく、ユーザーが検索しても欲しい情報に辿り着けていなかったのだと思います。その証左として、FAQページに記載している内容の問い合わせも少なくありませんでした。
FAQ記事の見直しも行いましたが、記事をいくらブラッシュアップしても、タイトルでしかキーワード検索ができないという機能の壁があったため、新たなFAQシステムとしてHelpfeelを導入することにしたのです。
── Helpfeelを導入し、どのようなことから運用を始めましたか。
それまで運用していたFAQページの記事を精査し、どのコンテンツをHelpfeelへ移行するかを検討することからスタートしました。Helpfeelのカスタマーサクセス担当から、内容が重複している記事や、一つの記事にまとめられそうな内容などをアドバイスいただきながら精査できたので、スムーズに作業を進められたと思います。
並行して、HelpfeelのFAQページにユーザーがアクセスしやすいよう、SOKUYAKUのサービスサイトのリンク変更作業を進めました。問い合わせにまつわるすべての導線において、必ずHelpfeelを通るように変えたのです。不明点があればまずHelpfeelのFAQページで検索していただき、それでも解決しなければ電話やメールなどで問い合わせをしてもらうように導線を改善しました。
社内外の多くのサポートのおかげで、1カ月ほどの短期間でHelpfeelのFAQページをリリースできました。基本的な操作にまつわる問い合わせをいち早く減らしたかったため、まずはFAQページをリリースすることを最優先し、不足しているFAQ記事をリリース後に追加していった形です。
── Helpfeelにおいて、特にどのような機能が良いと感じますか。
キーワード検索をすると、いくつも質問が表示されるのがありがたいです。他のFAQツールとの大きな違いだと思います。
検索窓の下に表示される「言葉のヒント」もいいですね。ユーザーが検索すると思われるキーワードをあらかじめ表示しておけるので、検索する単語が過度に分散することを防ぎ、スピーディーな解決につながっていると感じます。
── カスタマーサクセスへの感想もお聞かせください。
Helpfeelから取得できるデータを精緻に分析いただき、データをもとに施策のご提案をいただけるので納得感があります。
私自身はHelpfeel導入前からCSやFAQページの運用に携わっていたため、データを見るにも主観が入りがちです。カスタマーサクセスから客観的な視点で、かつ他社事例もふまえたフィードバックを毎月の定例会でいただけることはとてもよいと思っています。
中でも、no hit(ノーヒット:ユーザーがキーワード検索をした際、検索結果に表示される記事が一つもないこと)のリストをいただいたことによって、ユーザーが検索するキーワードを記事のタイトルに入れる改善を進められたのは、カスタマーサクセスのおかげです。
── Helpfeelを導入してから、問い合わせ数や内容に変化はありましたか。
導入後すぐ問い合わせ数が減り始め、10カ月経過した今では、導入前に比べて問い合わせ数は84%も減らすことができました。これは、Helpfeelによる効果と、サービスサイトの導線を改善した効果の両方が出ていると考えています。
問い合わせの内訳としては、操作にまつわることなど自己解決できる内容は、問い合わせ数全体の約50%で推移し続けています。初めてSOKUYAKUを利用するユーザーが多いことや、新サービスやオプションが追加し続けている状況をふまえると、これは良好な数字だと捉えています。
また、診察予約数に対する問い合わせ数の割合も、導入前は40%にのぼっていましたが、現在は8%にまで落とすことができました。
── 問い合わせ数の削減によって、お客様対応の体制などに変化はありましたか。
平日のコールセンターの体制を外注から内製へ切り替え、70%ものコストカットを実現しました。Helpfeelの運用費を勘案しても、CS全体の費用は約50%削減できています。スタッフ数としては、外注のコールセンターは7〜8名体制でしたが、現在は社内の4名体制です。
Helpfeelを導入する前後の時期に、SOKUYAKUはサービス立ち上げ直後の投資フェーズを過ぎ、コストを押さえつつ成長させる段階に入ろうとしていました。このタイミングで、肥大化していたコールセンターのコストカットをスムーズにできたことは大きな成果です。
HelpfeelのFAQページをリリースしたのが2023年11月で、コールセンターを内製化したのが2024年7月なので、1年弱の短期間で成果が挙げられていることを嬉しく思います。
── その他の効果や、社内の変化などはありますか。
Helpfeelでデータを精緻に見られるようになったことで、お客様の検索内容から、開発が漏れていた機能が顕在化するなどサービスサイトのUIの改善ポイントに気づけました。カスタマーサクセスとの定例会で用いたデータを社内の他部門にも共有し、開発に活かすサイクルが回っています。
── 今後の展望をお聞かせください。
SOKUYAKUのようなITサービスは、一回目の体験価値が継続利用を決める分岐点になると考えています。ユーザーの最初の体験をより幸せなものにするために、UIのさらなる改善とともに、不明点が生じた際のフォローをHelpfeelによってスムーズに行えるようにしていきたいと思います。
自己解決できる問い合わせの割合をさらに削減してユーザーの満足度を上げ、今後の製品開発にもデータを生かしていきたいですね。
── 最後に、貴社と同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いいたします。
Helpfeelは、カスタマーサクセスの支援が手厚いことが大きな価値だと感じています。SaaSサービスは、導入後は利用企業側で運用をすべて行い、必要なときだけ問い合わせを行う体制を取るものも少なくないからです。
社内だけで精緻にデータを分析し、記事をスピーディーに追加することは簡単にできることではありません。私たちも、カスタマーサクセスがデータ分析にもとづいた施策の提案をしてくれたからこそ「Helpfeelをせっかく導入したのだから、使いこなしたい」という気持ちが湧き、運用を軌道に乗せることができたと思っています。