トークスクリプトとは、コールセンターのオペレーターが顧客対応に利用する台本のようなものです。会話の内容をあらかじめ、トークスクリプトとして作成しておくことで、オペレーターの知識に関わらず、顧客からの問い合わせに対して一定の品質の対応ができるようになります。
トークスクリプトは顧客ごとの異なる状況に対応できるよう、複数のパターンに分岐した形で作成するのが一般的です。
なお、コールセンター業務は入電に対応するインバウンド、そして架電によるアウトバウンドの2種類に分かれますが、本コラムではインバウンドのトークスクリプトについて解説します。
コールセンターには、経験やスキルが異なる多数のオペレーターが在籍しているため、オペレーターによって対応品質にばらつきが出やすいという課題があります。トークスクリプトがあれば、どのオペレーターが対応しても同じように会話を進められるため、対応品質のばらつきを減らす効果が期待できます。
コールセンターは人員補充や業務増加にともなう増員など、新人オペレーターを教育するシーンが多くあります。その際、新人オペレーターに業務内容を一から口頭で伝えていると、教育に多くの時間を割かれます。しかし、トークスクリプトがあれば新人オペレーターでも業務内容や対応の流れを理解しやすく、効率的に教育を進められます。
オープニングトークは、顧客から電話を受けて最初に会話をする部分です。顧客の第一印象を左右する重要な箇所のため、好印象を持ってもらえるように明るく丁寧な会話を心がけることが必要です。
まず電話を受けたら「お電話ありがとうございます、○○コールセンターです」「○○コールセンターの○○(担当者名)がお受けいたします」のように、自身の立場をはっきりと伝えます。
メイントークは、本題の部分です。顧客が問い合わせをした目的や解決したい疑問について、具体的にヒアリングします。顧客によって話し方のテンポや温度感が異なるため、顧客に寄り添いつつ、話しを引き出すことが求められます。
基本的には、「本日はどのようなご用件でしょうか」とこちらから質問します。また、顧客から回答があった際は認識の相違がないように、「○○についてですね」と、丁寧に確認をしながら進めることが重要です。
さらに、対応を進めるうえで必要な情報があれば、「○○について、いくつかお伺いさせていただいてよろしいでしょうか」と質問をして、情報を引き出します。顧客によっては自身の状況を把握できていなかったり、トラブルによって不安な感情を抱えていたりする場合があります。オペレーターは顧客の不安や疑問を理解しようとする姿勢を持って接することが重要です。
クロージングトークは、顧客からの問い合わせを締めくくる部分です。対応内容に問題がないか、顧客側で対応の必要があるか、さらに他の要件はないかなどを確認します。オペレーターと顧客の間で認識の相違があると、クレームに発展してしまうおそれがあるため、重要な部分は必ず確認しましょう。
そして最後は、「他にご不明点などはございませんでしょうか」「本日はお忙しいなかお問い合わせいただきありがとうございました」「本日は○○が担当いたしました」といった形で、会話を締めくくります。
オープニングトークと同様に、クロージングトークも顧客の印象に大きく影響するため、丁寧に会話を終わらせることがポイントです。
トークスクリプトには、できるだけ専門用語を使用しないようにします。専門用語が多用されたトークスクリプトは、新人オペレーターには理解できない場合があるからです。また、顧客にも伝わりにくくなってしまいます。
そのため、専門用語や難しい言葉は使わずに、誰でも理解できる言葉を使ってトークスクリプトを作成してください。どうしても専門用語が必要な際は、その言葉を知らない人でも理解できるように、補足説明をします。
トークスクリプトは、多くの顧客対応を経験しており、よく質問されるポイントや会話の流れを想定できるベテランのオペレーターが作成すると効果的です。
コールセンター業務では顧客とのコミュニケーションが重要です。顧客が求める内容を汲み取って、スムーズに解決へ導くことが求められます。対応に必要な商品・サービスの知識だけでなく、ベテランオペレーターの知見を盛り込むことで、実際の対応シーンで活用できるトークスクリプトになります。
トークスクリプトは、見やすいレイアウトで作成することが重要です。オペレーターはトークスクリプトを見ながら顧客対応を進めるため、文字が見づらかったり、流れがわかりにくかったりすると、業務に支障をきたす可能性があるからです。
また、会話がスムーズに進まないと、顧客にストレスを与えてしまうおそれもあります。そのためトークスクリプトは、フローチャート形式など、オペレーターが見やすいレイアウトで作成するのがおすすめです。
トークスクリプトを作成する際は、そのまま読み上げられる自然な文章で作成します。話し言葉になっていない硬い文章だと、顧客との会話のなかで違和感が出てしまうためです。
また、顧客対応の際にオペレーターが自分で言葉を付け足さないと使えないトークスクリプトでは、会話がスムーズに進まないうえ、対応品質に差が生まれることもあります。
オペレーターの負担を減らし、対応品質を一定にするため、なるべくそのまま読み上げられるトークスクリプトを作成するのがおすすめです。
トークスクリプトを作成したら、オペレーター役と顧客役に分かれてロールプレイングをおこないます。実際に声に出してやり取りをすると、文面では気が付かなかった違和感や、よりよい言い回しを発見できる場合があるからです。
また、ロールプレイングは経験の浅い新人オペレーターの練習にもなります。
トークスクリプトは、作成後も更新を続けて精度を高めることが重要です。完成したトークスクリプトを実際に利用していると、顧客に伝わりにくかったり想定外の質問をされたりする、といった改善点が見えてきます。
改善点を踏まえて更新を続けることにより、さらに精度の高いトークスクリプトを作成できます。初めから完璧なトークスクリプトを作成するのは困難なため、運用していくなかでブラッシュアップしていくのがおすすめです。
コールセンターにおいて、トークスクリプトは非常に重要なツールです。精度の高いトークスクリプトがあれば、オペレーターによる対応品質のばらつきを減らし、新人オペレーターの教育を効率化できます。
しかし、問い合わせが殺到している状況では、トークスクリプトの作成や更新にかける時間の確保が難しいことはもちろん、オペレーターの教育や管理もままなりません。そのような場合は、まず問い合わせ数の削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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