FAQとは「Frequently Asked Questions(フリークエントリー・アスクド・クエスチョンズ)」の頭文字を取った言葉です。日本語では「よくある質問」と呼ばれ、顧客から寄せられる頻度の高い質問と回答を指します。
FAQとQ&Aはいずれも一問一答形式で似ていることから、混同されやすい傾向があります。ただ、両者は質問の頻度が異なり、FAQが問い合わせの多い質問に限定されているのに対し、Q&Aは質問の頻度が低い質問と回答も含まれている点に違いがあります。
▼FAQに関する基礎情報はこちらの記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
FAQサイトは、顧客からの問い合わせが多い質問と回答をまとめてデータベース化し、検索できるように整備したWebページのことです。ここでは、FAQサイトを作成することで期待できるメリットについて解説します。
FAQサイトを利用して顧客の課題解決を促すことができれば、ヘルプデスクやコールセンターに寄せられる問い合わせ件数が削減されます。対応業務の負担が減り、浮いた時間を問い合わせ内容の分析や新人教育といった本来の業務に使えるようになります。
また、顧客対応のリソースに余裕が生まれ、顧客1人ひとりへの対応品質を担保することが可能です。少人数でヘルプデスクチームが回るようになり、人件費の削減にもつながります。
コールセンターでは、1つの問い合わせにつき1人のスタッフが対応する形式のため、チーム全体に情報が共有されにくい場合があります。そのため、経験や知識が豊富なスタッフに、応対業務が集中してしまうことにもなりかねません。
各人が得た情報や知識をマニュアルやFAQサイトに掲載することで、ナレッジの蓄積と共有が進み、応対時間の短縮につながります。また、経験や知識が特定の人だけに蓄積される属人化の状態が解消され、社員の退社や異動によるサービス品質の低下やノウハウの損失を回避できます。
加えて、新入社員や異動で配属されたスタッフへの引き継ぎもスムーズに行えて、経験者に業務が偏る状況も防止できるでしょう。
FAQサイトを効果的に活用するためには、長期的な運用を前提としてサイトを構築することが大切です。ここでは、FAQサイトの導入方法について、フェーズごとに解説します。
FAQサイトの作成にあたって、まず初めに目標を設定します。目標があいまいな状態でサイトを運用しても効果を把握しにくく、改善も難しいでしょう。
目標設定では、最終目標としてのKGIと、運用過程で計測する中間目標のKPIを用いるのが一般的です。例えば、「問い合わせ件数を30%減らす」というKGIを定め、「今月末には20%削減する」というKPIを設定します。
2つの指標に加えて、対応時間やコスト、顧客満足度などについても目標を決めておくと、運用成果を伸ばしやすいでしょう。
FAQサイトを作る目標を明確化したら、掲載するFAQコンテンツを決めます。FAQの分類方法や掲載数などを決めるために、問い合わせが多い項目やカテゴリなどをチームで共有しておくと、掲載内容をスムーズに絞り込めます。
回答文はFAQサイトの使い勝手や解決率にも影響するため、誰が作成しても一定の品質を保てるようにレギュレーションを設けましょう。例えば、「一文一義を意識し、読みやすいように適度に漢字を含める」「回答文が3行以上になる時は改行する」といったものです。
掲載するFAQコンテンツが決まった後は、運用フローを構築します。FAQコンテンツの充実を図り、品質を高めるために、FAQサイトの質問や回答を追加、更新する仕組みが必要です。
例えば、FAQコンテンツを作成もしくは編集した際に、承認を行う担当者の判断基準となるラベルを設定しておく方法があります。作成されたFAQをレビュー担当者がチェックし、「承認」「却下」といったラベルに分けます。その後、公開担当者が承認ラベルの付いたFAQを公開する、という流れで進められます。
FAQコンテンツの作成や更新に向けて、顧客から寄せられた問い合わせ内容をFAQサイトの担当者と共有しておきましょう。コールセンターの問い合わせ履歴を共有し、頻度の高い質問とその回答をFAQに掲載することで、似たような問い合わせを減らすことが可能です。
また、問い合わせ窓口で顧客へ回答した文章をFAQにも活用することで、コンテンツ作成の工数削減につながります。窓口で電話を受けた後、問い合わせ履歴を残す仕組みを構築しておけば、FAQの担当者への転送がスムーズに行えます。
▼FAQシステム「Helpfeel」は電話応対のメモやメール、問い合わせフォームで受け取った文章とその回答内容を打ち込むだけで、生成AIが自動でFAQ案を提案する「FAQのドラフト生成機能」で、FAQ共有の効率化が進められます。
FAQサイトを効果的に運用するための主な3つのコツを紹介します。
FAQサイトを公開した後は、周知や利用を促すための対策を取り入れることが大切です。FAQサイトを構築しても、顧客に気付いてもらえなければ意味がありません。また、訪問者数や閲覧数が少ないままでは、利用状況を分析し、改善するためのヒントを得ることも難しいでしょう。
FAQサイトの存在感を高めるために、自社サイトの目立つところにリンクやバナーを設置し、誘導する方法が有用です。また、メールマガジンでFAQサイトを公開したことを伝えることも、流入増加につながります。
FAQサイトの構築に活用するFAQシステムは、スピーディに疑問や問題を解消できるものを選ぶことが重要です。リックテレコム社の「コールセンター白書2020」によると、FAQサイトで検索された質問の約70%は未解決というデータがあります。
その理由には、キーワードを検索しても答えを導き出せない「0件ヒット」があります。0件ヒットとは、タイプミスやちょっとした表現の違い、言い換えなどにより、求めている回答が見つからないことを意味します。例えば、「故障」でヒットするものの、「動かない」と入力してもヒットしないといったケースです。
あいまいな表現やスペルミスがあっても、関連した質問がヒットすれば求めている回答に辿り着きやすいため、検索ヒット率の高いシステムを選びましょう。
FAQコンテンツは時間の経過と共に変化する可能性があるため、定期的に内容を確認し、改善点がないかチェックする必要があります。
FAQサイトの閲覧履歴やユーザー評価などを分析して、アクセスのないページや疑問解消に役立っていない項目を探し、対策を講じましょう。閲覧はされていても問い合わせ数が減っていないキーワードなど、優先順位の高いものから取り組むと効率的です。
また、FAQサイトのアンケート機能を活用することで、ユーザーがコンテンツを見て疑問を解消できたかどうかを確認できます。選択式のアンケートだけでなく、文章でフィードバックできる機能があると、ユーザーからの要望や提案を受け付けられ、より直接的な改善につながります。
FAQサイトを構築し、問い合わせ件数を削減するためには、システム選びも重要です。ここでは、FAQシステムやツールを選ぶ際のポイントについて解説します。
FAQサイトは、検索スピードが速く検索ヒット率の高いシステムを選ぶことが重要です。FAQサイトにもさまざまなタイプがありますが、メインの機能は検索機能です。多くのカテゴリから選択していくより、キーワードで直接検索する方が求める答えに辿り着きやすい傾向があります。
ただし、検索スピードが遅く、求める回答がなかなか見つからないとFAQサイトで探すことがおっくうになり、窓口へ直接問い合わせる可能性が高まります。また、キーワードで検索しても、「0件ヒット」だと疑問や問題が解決されず、離脱してしまうでしょう。
FAQサイトにおける対策も重要ですが、システム選びの段階で検索性に優れたものを選んでおくと、より効率的な導入につながります。
FAQサイトを導入する際には、サポート体制が整っているかも事前に確認しておきましょう。FAQサイトの作成段階では、検索用のテキスト作成やページ導線の検証、情報分析などさまざまな作業が発生します。
FAQサイトを立ち上げて、効率的に軌道に乗せるためには、その時々に必要なサポートを受けられる状態が望ましいでしょう。システムの導入からサイト公開、運用まで一貫して必要なサポートが受けられる製品を選ぶと安心です。
FAQサイトを運用する際には、導入する目的や目標を明確にし、FAQコンテンツや運用フローを確立しておく必要があります。また、検索性の高いFAQシステムを選ぶことや、FAQサイトの周知や利用促進の工夫も大切です。