FAQとは、Frequently Asked Questionsの略語で、「よくある質問」のことです。そして、特に従業員向けによくある質問と回答を体系的に整理したものが社内FAQです。社内FAQを導入すると、問い合わせを受ける部門だけでなく、問い合わせをしている従業員にもメリットが生まれます。
社内FAQは、「社内からの問い合わせ対応用」と「顧客からの問い合わせ対応支援用」の大きく2種類に分類できます。以下で、それぞれの社内FAQの特徴を詳しく見ていきましょう。
社内FAQは、人事、経理、総務、情報システム管理といったバックオフィス部門から寄せられる以下のような定型業務の質問の回答で活躍します。
▼FAQについては、下記のコラムで詳しく解説しているのでご一読ください。
コールセンターやヘルプデスクのように顧客からの問い合わせを受ける部署では、問い合わせ対応支援用のFAQが活用されています。問い合わせ対応支援用FAQには、質問に対する回答や補足事項など、オペレーターがスムーズに対応できるような情報が記載されているのが特徴です。
このような社内FAQには、「人による回答内容のばらつきをなくす」「オペレーターの対応スキルを底上げする」「人材採用時の教育を効率化する」といった目的があります。
社内FAQを導入すると、さまざまな効果が期待できます。ここでは、社内FAQを導入する5つの代表的なメリットを紹介するので、ぜひチェックしてみて下さい。
社内FAQを導入することで、各従業員は疑問やトラブルを自ら解決できるようになります。
その結果、これまで所管部門の担当者が有人で対応していた電話やメールによる問い合わせの一部を削減することが可能です。
特に各部門からの問い合わせが集中しやすい情報システム部門や経理部門といったバックオフィス部門を中心に、担当者の業務負担を軽減することができます。
どの部門においても、従業員ごとの業務遂行レベルには差があります。
知識が豊富で、熟練した従業員に問い合わせが集中し、本来の業務に支障が出てしまうという状況は少なくありません。特定の従業員にナレッジが集中し属人化してしまうと、その従業員の休暇や異動、退職といった場面で大きな損失が出ます。
社内FAQを導入すると、熟練した従業員が持つ知識やノウハウを、ナレッジとして蓄積し、他の従業員と共有することができます。新人教育においても、社内FAQを参照することで、効率的に業務レベルを高めることができます。
社内FAQに顧客からのよくある質問と回答がまとまっていると、誰が対応しても適切な回答をすぐに提供できます。これにより、顧客満足度の向上につながるのもメリットのひとつです。
コールセンターやヘルプデスクに電話をしたのに、「人によって回答内容が違う」「すぐに回答してもらえない」といった対応をされると、顧客に不安やストレスを与えてしまいます。このような事態を防ぐために、社内FAQを活用しましょう。
社内FAQがあれば経験の浅いオペレーターでも顧客に正しい回答ができ、一定水準の応対品質を保てます。
皆さんも、このような状況に出くわしたことがあるのではないでしょうか?
社内FAQを導入することで、このような各従業員は疑問やトラブルを自ら解決できるようになります。担当者の不在や担当部門からの回答の遅れといった事情で、疑問やトラブルの解決が遅れてしまう状況が生まれにくくなり、問題をスピーディーに解決できるようになります。
予期せぬ問題やトラブルは時間帯に限らず発生します。
とはいえ、その際に解決策を知っている担当者が業務中であるとは限りません。企業によっては、そもそも部門ごとに業務時間帯が異なることもあります。
社内FAQを導入すれば、業務時間に関係なくFAQを参照できるので、担当者の業務時間外に疑問やトラブルが発生した場合でも、各従業員が自己解決できるようになります。
良いFAQの具体例は次の通りです。
社内FAQの存在が周知され、アクセス方法が明示されていると、問題が発生した時にすぐにアクセスすることができます。業務時間外の利用も考慮し、社内FAQをクラウド上で展開するのがおすすめです。
適切なFAQに辿り着いても、内容が不十分もしくは難解であった場合、従業員は問題を解決することができず、やはり社内FAQの利用を諦めてしまいます。良いFAQにするには、問題解決に必要な情報を、簡潔に分かりやすくまとめることが重要です。
社内FAQの作成にあたり、まずはツールを選択する必要があります。次のような選択肢の中から、自社の利用状況に適したツールを選択しましょう。
Excell(エクセル)やGoogleスプレッドシートといった表計算ソフトを用いて部署別もしくはテーマ別にシートを用意すれば、一覧性も確保できます。
デメリットとしては、テンプレートを自社で整備する必要があること、そして検索機能が弱いため、比較的簡素な社内FAQにしか対応できないことなどが挙げられます。
社内向けWebサイトに、FAQページを追加する方法です。インデックスページの設置や、キーワード検索機能、カテゴリ、タグの活用などで、閲覧性や検索性を高めることができます。
デメリットとしては、ページの作成・管理に、HTMLをはじめとする専門知識が必要なことが挙げられます。
FAQの作成・運用に特化したシステムを導入する方法です。FAQ作成の機能を使用して、専門知識がなくても使いやすい社内FAQが作成できます。
解析ツールが搭載されているシステムであれば、各ページへのアクセス数や検索キーワードなどを解析して、社内FAQを効率的にブラッシュアップできます。
デメリットとしては、システムの導入に専門知識を必要とすることが挙げられます。
▼社内FAQシステムについて詳しく知りたい方はぜひこちらのページをご覧ください。
顧客向けFAQで利用されることの多いチャットボットは、社内FAQにも活用できます。社内ポータルや業務システムの画面上に、社内FAQのチャットボットを設置すれば、その場で自己解決を促すことができます。
デメリットとしては、十分なデータを集めて蓄積させなければ、回答の精度が低くなってしまい、期待通りの利用率や解決率に到らないことが挙げられます。
まずは、これまでに寄せられた問い合わせを収集して、頻度が高いものを抽出します。そして、緊急性や優先度の高いものから並び替えて、FAQ作成の優先順位をつけていきます。
この際、「対象部署と問い合わせ内容」をグルーピングし、タグをつけてカテゴリ分けをしておくと、後から情報検索がしやすくなります。
また、カテゴリ分けした質問を見直し、可能な限り細分化を試みることも重要です。
例えば経費計上に関する質問なら、「経費計上の仕方は?」のように漠然とした質問ではなく、「経費計上申請書のテンプレートは?」「経費計上のタイミングは?」など、従業員が知りたい内容に沿って質問を分割することで、自己解決に結び付けやすくなります。
社内FAQに掲載する質問が整理できたら、作成の優先順位が高いものから回答を作成していきます。簡潔で分かりやすい表現を心がけ、新入社員が見ても十分に理解できる内容を目指しましょう。
必要に応じて、参考資料やテンプレートファイルへのリンク、説明画像、説明動画も挿入すると、より有益な回答になります。
回答を作成できたら、記載内容に間違いや不備がないか、社内の担当部署に確認作業を行ってもらいましょう。
社内FAQの質問と回答が完成したら、運用を開始します。
社内FAQの運用で最も重要なのは、定期的な項目追加や見直しです。最初から完璧を求めるよりも、ある程度の情報量が確保できた段階で運用を開始し、利用者にフィードバックを求め、追加と修正を繰り返す方が、結果的には効率よく完成度を高められます。
▼FAQの作り方について詳しく知りたいという方はこちらの記事で詳しく解説しております。ぜひご覧ください。
社内FAQの作成を進めていると、「こんな時はどうすべき?」という疑問にぶつかることがあります。ここでは社内FAQ作成時によくある質問3つに回答しているので、対応に迷った時は参考にして下さい。
質問の量や内容によっては、緊急性や優先度を判断しづらい場合があります。
まずは、年間を通して問い合わせ数が多いものから優先度をつけていきましょう。年末調整のような、特定の時期に問い合わせが集中するものについても、ピックアップしていきます。
既に社内FAQを運用しており、リプレイスを検討している場合は、アクセス解析を用いて、質問の検索回数をチェックすると効率的です。
例えば「業務システムにログインできない」という問い合わせでは、IDやパスワードが分からなくなった、ログイン画面に辿り着けない、VPNなどネットワーク自体に接続できない、といった複数の状況が考えられます。
問い合わせ側の状況によって解決方法が変わる場合は、最もシンプルな「業務システムにログインできない」という質問を用意しておき、回答として、想定される状況とそれぞれに応じた解決方法を記載すると良いでしょう。
記事のボリュームが大きくなりすぎる場合は、状況ごとの解決方法を個別にFAQとして作成し、リンクを貼るのも有効です。
Web上に社内FAQサイトを構築した場合には、アクセス解析を用いて、次のようなKPIを確認すると、効果的な改善が行えます。
これらの指標に問題がある場合は、次のような課題が考えられます。
KPIによる分析は、高度な知識を必要とするため、自社内に適任者がいない場合は、外部への委託も検討してみてください。
中でも社内FAQシステムの利用が効果的なのは、以下のような場合です。
実際に社内FAQシステムを導入した企業では、どのような効果が得られているのでしょうか。
弊社では、最先端の検索テクノロジーを搭載した革新的なFAQシステム「Helpfeel」を開発・提供しています。
従業員約4,600人からの問い合わせに対応する「コンシェルジュデスク」にHelpfeelを導入していただきました。
以前利用していたFAQシステムは、検索性能に課題があり、検索ヒット率が低かったそうです。
しかしHelpfeel導入後は、わずか1ヶ月で、問い合わせ件数が約25%減少しました。
さらに、Helpfeelの優れた検索機能によって、FAQページのメンテナンスの手間が減ったと同時に、検索キーワードに固執しない、読者目線での記事作りが行える環境を構築することができたとのことです。
グループ会社を含め2,000人以上の従業員が在籍し、社内ヘルプデスクでは毎月1,000件を超える問い合わせに対応していたそうです。
Helpfeelの優れた検索性能が導入の決め手となり、コンテンツの改善提案や伴走支援の手厚さという点も心強く、既存システムからのリプレイスを決断されました。
導入後、問い合わせ数は減少し、社内アンケートにおいても回答者の約7割が「使いやすい」と回答しました。
導入5ヶ月で検索のヒット率はさらに向上し、ヘルプデスク担当者の業務負荷は大幅に改善されたとのことです。
FAQシステムとして多くの製品が提供されているため、「自社に合うものがどれか分からない」と悩んでしまうケースも少なくありません。
ここではFAQシステムの選び方のポイントを5つ紹介するので、製品の比較検討時の参考にして下さい。
まず、自社の目的にあった機能が備わっているかどうかを確認しましょう。せっかくFAQシステムを導入しても、必要な機能が備わっていなければ意味がありません。
自社が求める機能を明らかにするために、最初にFAQシステム導入の目的を明確にしておくことが大切です。目的を達成するために必要な機能ができるだけ過不足なく揃っているツールを選ぶことで、費用対効果を高められます。
機能が豊富なシステムは便利ですが、導入目的によっては必要のない機能が多く、「高い費用がかかった割に活用しきれていない」といった事態に陥る可能性があるため注意して下さい。
社内FAQは全社員を対象としたシステムで、年齢やスキルに関わらず幅広い社員が使うことになります。中にはITツールの操作に慣れていない人もいるでしょう。できるだけ多くの人が迷わず活用できるように、誰にとっても操作しやすいものを選ぶことが重要です。
画面構成がシンプルで直感的に操作できるツールなら、パソコンの扱いに苦手意識がある人でも比較的簡単に使えます。FAQシステムを選ぶ時は、機能だけでなく操作性もしっかりチェックして下さい。
FAQシステムに登録するコンテンツが増えると、目的の回答にたどり着きづらくなります。多くのコンテンツが登録されても目的の情報を素早く見つけられるように、検索精度の高いツールを選びましょう。
社内からの問い合わせ対応用のFAQの場合、必要とする情報がすぐに見つからなければ「電話で問い合わせをした方が早い」と考える人も少なくありません。顧客からの問い合わせ対応支援用のFAQは、情報にすぐにアクセスできなければ顧客への回答が遅れてしまいます。
このように、どちらの社内FAQでも検索精度は非常に重要なポイントです。
社内FAQをなるべく早く構築したいと考えている人は、テンプレートが充実しているかどうかも確認しましょう。豊富なテンプレートが用意されているFAQシステムなら、目的に合ったテンプレートを選んで質問と回答を入力していくだけでFAQを作成できます。
テンプレートがあれば手軽にFAQを立ち上げられるので、FAQ導入のために多くの人員を割けないという場合にもおすすめです。
FAQシステムの中には、他のツールと連携できるものがあります。例えばチャットツールと連携できるFAQシステムなら、チャットでやりとりした内容をFAQとして登録が可能です。
自社で使っている業務ツールと親和性の高いFAQシステムを選べば、より効率的にFAQを活用できます。FAQの活用の幅を広げるために、どのようなツールと連携ができるのかも確認した上でFAQシステムを選んでみて下さい。
本コラムで解説してきたように、社内FAQによって業務効率や生産性をアップさせるには、目的とするFAQにすばやく到達できることが非常に重要です。
弊社が開発・提供している社内FAQシステムHelpfeelは、最先端の検索テクノロジーによって、検索キーワードの表記ゆれにも柔軟に対応し、Googleよりも高い検索ヒット率を実現しています。生成AIの技術を取り入れた「意図予測検索」や質問文・回答の自動生成にも対応しており、ユーザーの自己解決を促しながらFAQを効率的に改善していくことが可能です。
また、Helpfeelでは、システム導入からリリース後の運用にいたるまで、専任チームが手厚いサポートを行う伴走体制を整えています。
このようにお考えの企業様は、ぜひHelpfeelについてお気軽にご相談ください。