大2 プロジェクトデザイン実践 〈問題解決型授業における共創の実現〉多様な視点からのフィードバックの実現【実践事例】 (金沢工業大学)
授業担当者 | 情報フロンティア学部 経営情報学科 平本 督太郎准教授、徳永 雄一教授、北川 達也講師 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 大学2年 / プロジェクトデザイン実践 |
単元 |
〈実践の概要〉
金沢工業大学(以下、本学)では、プロジェクトデザイン教育と呼ばれる問題解決型授業を各学年において必修科目としています。本科目では、学生たちは問題発見から解決に至る過程・方法をチームで実践しながら学ぶこととなります。
本報告における経営情報学科の「プロジェクトデザイン実践」では、本学において推進しているSDGsに関連して、SDGs未来都市に選定された石川県白山市のアクションプラン(行動計画)を大きなテーマとし、学生はそのテーマに関連した問題解決型学習を進めていきます。2年次後期開講科目である「プロジェクトデザイン実践」では、2年次前期開講科目である「プロジェクトデザインⅡ」において考案した解決策のコンセプトをさらにブラッシュアップして具体化し、具体化した解決策を規模は小さいながらも実際に実践して有効性を検証します。より良い具体策を考案していく際には、自分たちが気付けなかった部分を知るためにも他者からのフィードバックが非常に重要となりますが、通常の対面での発表の質疑応答時には、なかなか学生はフィードバックの発言をしません。そこで、フィードバック時にテキストカードに記載して提出した内容を容易に学生間で共有できるロイロノートを活用しました。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
学生が提出したテキストカードを、他の学生が簡単に見ることができ、共創を推進できました。
提出されたテキストカードが一覧で表示されるため、全体としてどのようなフィードバックがあったのか読み取りやすく、フィードバックの有用性が高まりました。
テキストカードに様々な色が用意されているため、フィードバックの種類によってテキストカードの色を分けることができ、フィードバックの分析が容易になりました。
〈実践の目標〉
他の学生にフィードバックをし、また逆にフィードバックを受けることにより、自身の活動に積極的に取り入れ、より良い成果物作成を目指すことができる。
多くのフィードバックを受けることにより、多様な意見が存在することを理解し、自分の成果物作成・考案に柔軟性をもって取り組むことができる。
〈授業写真〉
場面1想定 場面2想定
〈場面1〉フィードバック内容によってテキストカードの色を分ける
プレゼンのフィードバックの方法としてロイロノート上のテキストカードを利用した。学生は3種類の色に分けられたテキストカードのどれかを使用し、必ずフィードバックを行う。色によってどのような視点からフィードバックを行うのか分けられている。フィードバックを受ける側にとっては、どのような傾向のフィードバックなのかが分かり易くなるとともに、フィードバックを行う側にとっても、どのような視点でフィードバックを行うのか明確になる。
〈場面2〉学生に3種類の色に分けられたテキストカードを配布する
授業の中間プレゼン時に、3種類の色に分けられたテキストカードをロイロノート上で学生に配布した。このテキストカードにフィードバックを記載して提出してもらう事になるが、一度使用した色は使用できないという制限を設けた。フィードバックを受ける側にとっては視点が偏りすぎることを防ぐとともに、行う側にとっては、多様な視点からのフィードバックを考えるよう促すことができる。
〈場面3〉プレゼン時に多様な視点からのフィードバックを得る
各学生がテキストカードにフィードバックを記載した後、提出箱にそのテキストカードを提出してもらう。フィードバックを受けた班は一覧でその内容を確認できるため、どのような視点からのフィードバックが多いのかが感覚的に分かりやすく、さらに分担してフィードバック内容を確認する作業も行いやすくなる。そのため、フィードバックの分析が行いやすく、自分の活動に取り入れやすくなる。
〈場面4〉フィードバックを自分の活動に取り入れる
どのような視点からのフィードバックを行うのか明確になっているため、フィードバックの内容もより具体的になり、有用なフィードバックが多くなる。実際の授業では班員が分担して各色のフィードバック内容を確認し、どのような観点からのフィードバックが多かったのかを分析することで、多くの人が感じている問題点に注力して、その問題点を克服するアイデアを考えていった。
〈授業写真〉
場面3想定 場面4想定