小1 国語科 これは、なんでしょう 1年生におけるICTを活用した実践【実践事例】 (深圳日本人学校)
授業担当者 | 重田 信 |
ICT環境 | 1人1台タブレット 1クラス1台電子黒板 |
学年 / 教科 | 小学1年生/国語科 |
単元 | これは、なんでしょう |
〈実践の概要〉
本単元で重視したい点は二つある。まず、話題に沿って話をつなげること。それから、合意形成を行うことである。本単元は、1年生の国語「話す・聞く」の領域の中で初めて話し合いが扱われる単元である。したがって、今後の学校生活の話し合いの初歩に位置付けられる単元ともいえる。
本実践では、個別最適化学習レベル1(本校が定義した個別最適化学習の階層性より)を目指した。児童生徒のワークシートの集約や、話し合いの記録として、教師の評価への活用という点でロイロノートを取り入れた。教師一人では見取り切れないペアでの話合いの詳細な記録を残し、より正確な評価材料にできるのではないかと考えた。
〈電子黒板やロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
① ロイロノートの録音機能を使うことにより、ペアの話し合いの様子を音声で記録することができる。
② ①と授業で使用したワークシートをつなげて記録し提出することにより、授業者がペアの話し合いの変容をたどることができ、児童の思考の流れが分かる。
〈単元の目標〉
① 互いの話に関心をもち、相手の発言を受けて話をつなぐことができる。
② 身近なことや経験したことなどから話題を決め、伝え合うために必要な事柄を選ぶことができる。
③ 事柄の順序など情報と情報との関係について理解することができる。
〈授業写真〉
写真1:録音しながら話し合う様子 写真2:ワークシートを写真に撮る様子
〈場面1〉第1次
教師から問題を聞いたり、教材文を読んだりして、「これは、なんでしょう」クイズの大まかなルールを知る活動を行った。クイズの出題者は、答えのヒントを3つ考えておく。例えば、答えが「時計」であれば、「まるいかたちをしています。」「いつも動いています。」「数字が書いてあります。」などのヒントを用意しておく。
1つヒントを出すごとに、回答者は質問をしたり、問題の答えを言ったりしてもよい。例えば、「どれくらいの大きさですか。」「動きますか。」「それは、時計ですか。」と発言することができる。
教師の方から問題を出し、クイズを楽しみながらルールを理解することができた。次時にペアでクイズを出すことと、その答えを決めることを伝えた。
〈場面2〉第2次
ロイロノートを1人1台用意させた。教師からそれぞれのアカウントに何の問題を出すかをカードに書いて個別に送った。児童は自分の画面上に教師から送られてきたカードを見て、ヒントを考える。ちなみに、今回は、テレビ、お道具箱、黒板消し、つくえ、いす、けしごむ、こくばん、ランドセルを各ペアに割り振った。
自分の出す問題が分かったら、ワークシートにその答えの色や形、用途などの特徴を自由になるべくたくさん書かせた。
〈場面3〉第3次
本時のめあてを「たのしいクイズになるように、どんなヒントを出すかペアではなしあってきめよう。」とした。
まず、前時で考えたヒントの中からペアで話し合い、3つ決める活動を行った。左側に座っている児童のロイロノート上に録音用シートを表示させ、話し合い中は音声を吹き込ませた。
次に、ワークシートの決まったヒントに赤鉛筆で丸をつけさせ、相手の考えたヒントは赤で書き足させた。
そして、ヒントを出す順番について話し合わせた。その際、右側の席の児童にロイロで話し合いを録音させた。順番が決まったらワークシートに記入させ、写真をとらせた。
最後に、本時で学習した記録物(ワークシートの写真、録音データ)を提出箱に入れ、教師へ提出した。
〈場面4〉第4次
第3次で話し合った内容をもとに、クイズ大会を行った。
〈成果と課題〉
今回の取り組みの成果は、児童自身がロイロ内のクラウドに挙げることによって成果物の回収の手間、保管が簡易になったことである。また、話し合いという文字や形に残らないものを評価する際に、45分間で見取れなかった部分を確認する一助になる。また、音声を繰り返し聞くことにより、より正確な評価材料になる。低学年にとっては、情報機器を使うこと自体が学習意欲の向上につながることも成果の一つである。
しかし、音声をすべて残すことには課題も残る。これは動画にも言えることだが、すべての記録物を確認するとどうしても時間がかかる。あくまで、音声や動画を評価材料に使うには確認の意味で使用しなければならない。タブレットやロイロノートの操作の定着も課題である。今回の授業で、録音ができていないペアが複数あった。ボタンのタップし忘れなどが考えらえるので、端末やロイロの基本操作を定着させる時間も必要である。