小4 学活 ジェンダーについて考えよう【実践事例】(坂出市立西庄小学校)

小4 学活 ジェンダーについて考えよう【実践事例】(坂出市立西庄小学校)


基本情報
授業担当者松永 和之
ICT環境1人1台タブレット
学年 / 教科小学校4年 /学級活動
単元ジェンダーについて考えよう
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〈実践の概要〉
中華民国の小・中学校に訪問し,研修する機会を得た。その研修の中で,日本におけるジェンダー教育が遅れていることを知った。中華民国での進んだ実践や中学校に設置されているオールジェンダートイレなどを見て,日本の子どもたちにも知ってもらいたい,考えてもらいたいという欲求が芽生えた。また,帰国後,実践に向けて授業研究をしていたところ,香川県におけるLGBTの認知度が33%しかない事実を知り,驚愕した。そこで,授業参観の日にこの授業を実施し,保護者にも知ってもらい,親子で話し合うきっかけづくりにしたいと願い実践を行った。また,本校の養護教諭にも参加してもらい,専門的な立場から話をしてもらった。
本校は,全校生55名の小規模校で,本学級は男子2名,女子9名という男女比率の偏った学級である。しかし,男女ともになかがよく,授業中は教え合ったり,休み時間にみんなで遊んだりする姿が見られる。事前にLGBTについて知っているかどうかを聞いてみると,11名中1名が聞いたことはあるという程度であった。

〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
タブレット上の画面を,アップルTVを介して,ワイヤレスで教室の大型テレビに映し出すことができる。そのため,準備しておいた画像や動画を,手軽に見せることができる。
用意しておいたカードを配布したり,子どもの作成物を回収したりすることが容易である。
プレゼンテーションソフトを使わずに,簡単に画像と画像をつなげることができる。
子どもたちが作成した表現物を一斉に表示したり,選んだものだけ並べて表示したりすることができるので,よいところを発表し合ったり,比較したりする活動がしやすい。
手書き入力にも対応しているので,低学年の子どもにも使いやすい。

〈実践の目標〉
「LGBT」について,正しく知ることができる。
「LGBT」の人がいたときの接し方について考えることができる。

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〈場面1〉オールジェンダートイレって?
今回の研修で訪れた「台北市民生中学校」で撮影したトイレの画像を見せ,違いに気付かせた。なぜ,そんなトイレがあるの?と疑問をもつ子どもに対して,「なぜ,オールジェンダートイレが必要なのだろう」という学習問題を投げかけ,学習を進めていった。
LGBTという立場の人たちがいることを知らせ,簡単に語句の説明をした。この人たちは,本学級の男子のようにマイノリティ(少数)であるが,統計では,13人に1人はいることを知らせ,今後,自分や周りの人に関係してくる可能性が十分に起こりうることを伝えた。

〈場面2〉LGBTの人は,どんな悩みを抱えているの?
事前に依頼していた本校の養護教諭にゲストティーチャーとして入ってもらい,実例を交えて,それらの方の抱える悩みや問題を知らせたり,自分だったらと想像させたりした。子どもは,生活の上で欠かせないトイレで困っている人が多くいることに気付き,「気軽に安心してトイレに行くために,オールジェンダートイレが必要だ」とまとめることができた。
正しく理解している人がまだ少ないことやマイノリティであることから,相談しにくい環境であることにも気付かせた。周りの人にからかわれたり,相談できずに悩みを抱えたりして,自傷行為や自殺までしてしまう人が実際にいることを教えると,共感し,「そんなんおかしいやん。」と声をあげる子どももいた。

〈場面3〉LGBTの友だちに相談されたら,どんな声をかける?
子どもにとって,実際に起こりうる問題なので,相談されたらどのように声をかけるか考えさせた。意見の交流が視覚的に行えるように,タブレットを使用し,友だちの意見が一覧で見られるようにした。
一人ひとりが意見を出し合い,それぞれのよさについて話し合わせた。表現がつたない子どももいたが,一人ひとりが真剣に考え,自分の言葉で表現した。「一人ひとりの個性だから応援するよ」,「いつでも相談してね」,「気付かないでごめんね」など,相手を励ましたり,気遣ったりする言葉が見られた。

〈場面4〉LGBTも人権問題?
最後に,年間を通して本校で取り組んでいる人権学習と結びつけ,LGBTの人に正しい理解を示したり,相談しやすい・住みやすい環境を整えたりしていくことは,人権を守ることであることに気付かせた。「LGBTという個性を欠点ととらえるのではなくよさととらえることで,不安ではなく元気や勇気を与えられるね」と,みんなの意見をまとめて学習を締めくくった。

〈場面5〉子ども・保護者の感想(一部)
(子ども)
LGBTの人たちがいて相談されても,いやなことを言わず,なかよく接します。
みんなが発表した中に,1番いい言葉がありました。それは,○〇さんの「はげます」という 言葉です。□□さんの言葉の中にもそんな言葉があって,よいと思いました。
わたしは,LGBTの人たちでも気軽に相談できる人になりたいです。これから,中学生になると,LGBTの人に会うかもしれないので,相談にのりたいです。
LGBTの人たちに対して,みんなが特別扱いせず,温かい言葉をタブレットに書いていたのがよいと思いました。LGBTの人たちがこんなに苦しい思いをしていたのを知って,改めて力になりたいと思いました。
わたしがこの勉強で思ったことは,LGBTの人がいても差別せず,他の人と同じように接したいです。これからは,LGBTの人たちでも,安心して生活できるようになってほしいです。
(保護者)
LGBTについて知る機会ができてよかったです。
人は自分を基準に物事を考えます。でも,「ふつう」は人によって違います。感覚や個性も違います。人と違ってよいと思います。悪いことではありません。一人ひとりの理解が必要ですね。
LGBTの人がいるのは知っていましたが,詳しくは知りませんでした。勉強になりました。
いろんな人がいるので,特別な目で見ず,みんな同じ人間として接することのできる人になってほしいです。
LGBTについて色々なことが学べましたね。将来,LGBTの人たちと接する機会があっても差別しないようにしてください。

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