小6 国語 ただの発表会にさせないためのロイロノートの活用【実践事例】(香港日本人学校香港校小学部)
授業担当者 | 二宮 健吾 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 小学校6年 / 国語 |
単元 | 伝統文化を楽しもう 狂言 柿山伏 |
〈実践の概要〉
狂言「柿山伏」に出てくる2人の登場人物の性格を捉えた上で、実際にその2人になりきって狂言を演じたり音読をしたりすることができるようになることをめあてとしました。児童は実際に演じてみることで、日本の伝統芸能である狂言を少しでも身近に感じることができるようになり、更には江戸時代の人間模様を現代のそれと比較して少しでも理解できるようになることを単元目標として設定しました。
授業の流れとしては、ビデオや音読で内容を把握した後に2人の登場人物の性格について考え、それを意識した上で演じてみるというものでした。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
思考ツールで登場人物の人物像把握 物語を少し読んだだけではなかなか理解できない登場人物の性格について、思考ツール(今回はベン図)を利用して個人で考え共有まですることにより、双方のしぐさや言動から一気に児童の登場人物に対する意見が逆転するところまでもっていくことを可能にした。
活動に過去の授業を活用 物語を実際に演じる際に、ロイロノートを利用することで前の授業で考えた登場人物の性格について見返しながら取り組んでいた。それぞれの授業がぶつ切りになっているのではなく、単元目標に向かってそれぞれの授業がつながっていることを児童が掴んだことを確認した瞬間だった。
個人の意見交流・確認 登場人物の性格の分類や発表の感想などについて個人で考えたことを全員分プロジェクターに投影することでき、すばやく共有することができるだけでなく、簡単にまとめることができる。
〈実践の目標〉
ビデオや音読、思考ツールを利用することで登場人物の性格について知ることができる。
登場人物になりきって、狂言を演じることができる。
伝統芸能を身近に感じるとともに、当時の人々の様子を感じ取ることができる。
〈場面1〉ビデオと音読で柿山伏の内容を把握する
日本の伝統文化について確認をした後に、柿山伏のビデオを見た。登場人物のセリフの内容が難しく分かりにくいため、この時点での理解度は50%くらいであった。次に教科書を使って一緒に音読をしながら分かりにくい語句や表現を確認していった。ここでほぼ理解できたので、物語を3場面に分けるという課題に取り組んだ。
〈場面2〉思考ツールを利用して、登場人物の性格をつかむ
「2人の登場人物はどちらが悪いのか」という質問に対し、始め児童のほとんどは柿を盗んで食べた山伏が悪いと回答した。しかし、ロイロノートの思考ツール(ベン図)を利用し、個人で登場人物の様々な言動を細かく拾い上げて性格分析した上で、全員で共有し意見を出し合った。すると、柿を盗んだ山伏も確かに悪いが、ずる賢くて最後まで山伏をだまし続けた柿主の方が意地悪で悪いと考える児童が多くなった。
〈場面3〉登場人物の性格がよく分かるような演じ方を考える
ペアごとに演じたい部分を決め、自分達の好きな場所で各自練習をした。発表時間は5分と設定するとともに、昔ながらの難しい言葉に関しては、現代語に多少変えてもよいこととした。ここで児童たちは ロイロノートを使い、前時に性格分析をしたベン図を見ながら各登場人物の性格を確認していた。声色や表情、動きに特徴を表すよう話し合う様子が見られた。
〈場面4〉登場人物の性格がよく分かるように演じる
今回の発表は教室で一斉に行うのではなく、各自ビデオ撮影をして上映会をすることとした。児童はセルフモードでビデオ撮影しながら、客観的に自分たちの演じる姿を見て修正しながら練習をする様子があった。ここでもロイロノートを活用して、登場人物の性格が表すことができているかについて2人で確認をしていた。
〈場面5〉お互いの発表を見合いながら、感想を交流する
お互いの発表を見ながら、ロイロノートを使って発表の感想を記入していった。どのペアも登場人物やその場面の様子をできる限り伝えようと様々な工夫をしていた。感想を提出し、プロジェクターを使い全体で共有することによりそれぞれの発表に共通している工夫点についてや動画と音読の伝わり方の違いについて考えることができた。
〈場面6〉狂言についてや登場人物についてまとめとして考える
ここまでの学習を振り返る中で、狂言と言う伝統文化について感想を言い合った。児童からは、この学習活動を通して以前よりは身近に感じることができたことや興味をもつようになったという感想が出た。また、当時も今も人には共通するものがあることを確認し、江戸時代の人々にも親近感を感じたようであった。