特別支援学校 総合 大事なことを落とさずに聞いて書こう【実践事例】（茨城県立水戸飯富特別支援学校）
茨城県立水戸飯富特別支援学校
野々山 香教諭・郡司 裕子教諭
ロイロノート・スクールを活用し、言語活動の充実を図り、人生や社会で活かすことができる授業を展開します。
本単元では、注意深く聞くことや、興味をもって大事なことを聞く技能や態度を身に付けることをねらいとしました。さらに聞いた内容を書き取ること、つまりメモを取る学習を通して、「メモは聞いた話の内容を忘れないため、覚えておくために書く」ということを理解し、必要なことを短い文で書く習慣を身に付けることに発展することを目指します。
まず「聞くこと」に焦点を当てて、例文を聞き、話の内容について答える課題に取り組み、的確に聞き取ることを目標にします。最初は２択から始め、少しずつ選択肢を増やしていきます。次に選択肢から答えるのではなく、書いて答える活動を設定し、この後のメモを取る活動へ繋げられるようにしました。
次に、話を聞いてメモを取り、自分に必要なことを記録し、忘れないようにすることが「メモ」であるということを理解して課題に取り組みました。その後グループを作り、メモした内容について友だちと相談します。また、教師がロイロノートで録音したものを生徒に送信することで読み上げた例文を再確認し、主体的に学習できるようにします。最後にメモした内容があっているか、ロイロノートで読み上げた例文を提示し、自分のメモ用紙と確認する時間を取ります。
ロイロノート導入のメリット
メモを取るという活動は「聞く」「聞いた内容を覚える」「書く」という３つの活動をほぼ同時で処理をする力が必要となってくる。特別支援を必要とする生徒は、同時処理が難しいため、段階を経て徐々に継次処理～同時処理へと支援を行っていくことが重要であると考える。
ロイロノートを活用することで、「聞く」「聞いた内容を覚える」「書く」の関連を「見える化」した支援ができ、段階を経ながら少しずつ情報を処理しまとめられるような成長が見られた。
実践の目標
大事な言葉に注目して話の内容を聞き取ることができる。
必要な内容を聞き取り、メモを取ったり、ワークシートに書くことができる。
実践の場面
１.「聞き取りリーグＪ２編」（１）選択肢から正解を選んで答える。
言語活動の充実を図るために「話すこと・聞くこと」の指導が重要であると考え、最初に「聞くこと」に焦点を当てて的確に聞き取ることができるような場面を設定した。 本人が興味をもつ題材を設定することで、集中して取り組めるようにした。
例文を聞き、話の内容について答える課題を出し、最初は２択から始め、少しずつ選択肢を増やした。
２.「聞き取りリーグＪ２編」（２）選択肢の中から正しいものを複数選んで答える
少しずつ難易度を上げていることから、例文を聞き取りやすいように、ゆっくりと読み上げるようにした。
話を聞いて、自分から口ずさんで覚えようとするなど、工夫が見られた。その時は教師が頷くなどして、肯定することで自信をもって答える様子が見られた。
３.「聞き取りリーグＪ２編」（３）簡単な言葉で書いて答える
例文に対して選択肢から答えるのではなく、自分で書いて答える活動を設定し、この後のメモを取る活動へ繋げられるようにした。
また、問題の難易度が高くなると、覚えきれなくなってきたことで、生徒自身からメモを取ってよいかと質問してくるなど、メモの必然性を実感できたことが重要である。ロイロノートの空欄のページや、メモ用紙を渡して自分なりにメモを取るようにした。
４.「聞き取りリーグＪ１編」（１）話を聞いてメモを取る
書くことを意識しすぎてしまい、丁寧に書こうとして聞き取れない生徒や、書くことが苦手な生徒もいたことから、共通のルールを設定した。
「メモを取る時におけるルール：『文字は丁寧に書かなくてよい。』『分からない漢字は平仮名で書いてもよい。』『記号をなどを使ってもよい。』」を確認することで、自分に必要なことを記録し、忘れないようにすることが「メモ」であるということを理解して取り組めるようにした。
５.「聞き取りリーグＪ１編」（２）友達と確認をして発表する
グループを作り、メモをした内容について友だちと相談したり、確認することで正しい内容を書くことができるようにした。また、話が聞き取れなかったり、メモの内容に違いがあった時は、教師がロイロノートで録音したものを生徒に送信することで、読み上げた例文を再確認できるようにした。
発表は、ロイロノートで撮影したメモを教師に提出し、他のグループのメモと比較することで、どちらが見直した時に見やすいか気づけるようにした。
６.「聞き取りリーグＪ１編」（３）答え合わせをする
教師がロイロノートで読み上げた例文を提示し、生徒は自分のメモ用紙と内容が合っているか確認する。
