高校 看護専攻科 公衆衛生とはなにか『ルイスのものがたり』をもとに公衆衛生学の考え方を学ぶ授業【実践事例】(鵬翔高等学校)
授業担当者 | 福永 裕里 |
ICT環境 | 4人以上で1台 |
学年 / 教科 | 看護専攻科 (5年1貫/4年目) 看護 公衆衛生学 |
単元 | 公衆衛生とはなにか |
〈実践の概要〉
公衆衛生学は人々の健康を保持・増進させるため、幅広い分野について学んでいきます。本校では看護専攻科1年生で公衆衛生学を初めて学ぶため、公衆衛生とはなにか、人々の健康を守るために自分たちが知っておくべき知識とはどのようなものがあるかを考えさせました。授業の中では、破傷風で亡くなった少年、『ルイスのものがたり』をもとにグループワークを行い、ルイスに死をもたらした原因にはどのようなものがあるか考え、原因1つ1つが繋がり連鎖をすることで死をもたらしたということに気づかせます。原因を出していき、それを防ぐにはどうしたらよいのか様々な立場で考えさせることで、健康に影響する要因について考え、これから学ぶ公衆衛生学で幅広い範囲を学習していく意味も理解してもらいました。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
100名近くの生徒を相手に授業を行うため、グループワークを行っても各グループの意見を共有するには時間を要します。ロイロノート・スクールを使用することで、全員がグループの話し合いに参加し各グループの意見を共有することが可能になり、様々な視点からものごとを捉えたり他者の考えを尊重したりすることができるように思います。
導入する以前は、媒体に夢中になり顔を見ながら授業を展開するのが難しくなるのではないかと考えていましたが、画面ロック機能があるため、操作を一時的に止めて顔を上げさせ解説をすることも容易にできるため、非常にありがたいツールだと感じています。
〈実践の目標〉
人々の健康に影響を及ぼしているものにはどのようなものがあるのか考えることができる。
健康の保持・増進させるために自分たちが知っておかなければならない知識とはどのようなものがあるのかを知ることが出来る。
〈場面1〉公衆衛生とは?
公衆衛生学のイメージについて聞き、「公衆」や「衛生」について連想することなどを出してもらう。公衆衛生について、憲法第25条にある内容をおさえ、エボラ出血熱でWHOが公衆衛生上の緊急事態宣言を出したときのニュースの動画を流してみてもらう。
〈場面2〉ICEBREAK
グループワークに入る前に、グループ内で発言が活性化するようゲームを行い、提出箱への提出の方法など操作のやり方をひと通りやってもらい操作に慣れてもらった。
〈場面3〉ルイスのものがたり
破傷風で亡くなった少年、ルイスのものがたりを読み、グループの中で彼に死をもたらしたのはいったい何であるのかを出し合います。原因が出尽くしたら、要因ごとにわけていき、死をもたらすものの要因を分析していきます。
〈場面4〉まとめ➀ 原因の連鎖
ルイスのものがたりの第一段階のまとめとして、彼に死をもたらしたものの要因分析プリントを撮影し提出してもらいます。それぞれのグループが出した答えを見ながら、原因が1つでは成り立たないことを理解した上で、教員から「では、どうすればルイスは死なずにすんだのか?」の質問を投げかけ、死から生へ捉え方を変えて健康に影響を及ぼすものについても考えます。
〈場面5〉それぞれの立場に立って考える
ルイスの死の原因は、社会的・経済的・物理的・生物学的・文化的な様々な要素が絡んでいます。それを踏まえた上で、国の役人やNGO団体、村の住人など、様々な立場の人たちの立場を用意し、それぞれ自分達にはどんなことが知識として必要で、どのようなことを学習すればよいのかを考えてもらいます。それぞれの立場に立って各グループとしての意見を提出してもらい、それらを共有していきます。
〈場面6〉まとめ②
共有した意見を確認した後、公衆衛生学では人々の健康を守り増進していくのが目的であるため、医療関係者として知っておくべき知識がたくさんあること、様々な分野をこれから幅広く学習していかなければならないことを伝えます。今後、授業では環境についてや学校保健、労働についてなどにも触れていくため、今回の授業を思い出しながらそれぞれの場における集団の健康という視点をもって取り組んでほしいことを伝えました。