高校 数学 軌跡の方程式【実践事例】(石川県立内灘高等学校)
石川県立内灘高等学校
﨑山 寛之教諭
ロイロノート・スクールを活用して、情報を共有し、回答を比較することで生徒の理解が深まります。
まず、東京スカイツリーと東京タワーが同じ高さに見える写真を提示し、実際に地図上で場所を探すことを伝えて予想させます。課題を解決させるために、軌跡の方程式とその考え方を利用すれば解けることを伝え、本時の目標を確認しました。本時の例題「2点A(0,5)、B(5,0)に対して、AP=BPとなる点Pの軌跡を求めなさい」を提示し、クラス全体で発問を繰り返しながら解答します。
その後、グループで練習問題「2点(4,0)、B(1,0)に対して、AP:BP=2:1となる点Pの軌跡を求めなさい」に取り組み、ワークシートに書き込みます。解答できたらワークシートを撮影し、ロイロノート・スクールの提出箱へ提出させます。提出された解答を比較し、解答を吟味しました。
「アポロニウスの円」を知るとともに、軌跡の方程式とその考えを理解させました。授業の最後には新たな疑問を投げかけ、あえて疑問を残すことで、次の授業も関心を持って取り組んでもらえるように仕掛けています。また、授業では、生徒がより自主的・主体的に授業中の学習を進めていく支援として、生徒個人が所有するスマートフォン端末、すなわちBYOD(Bring Your Own Device)を活用しています。
ロイロノート導入のメリット
板書写真をカード化することで、授業の記録をためて、次時の復習に使うことができます。復習するために板書する時間を省くことができ、前時の目で見た記録のまま復習できることは生徒にとっても混乱が少ないです。
確認テストをデータで配付し、生徒が直接書き込んで提出しているのですが、一人ひとりのつまずきに合わせて添削できるため、生徒の理解度を把握しやすいです。また、誤答の多い問題を復習時に扱うことで、生徒の学びを深めることができます。
全員の回答をリアルタイムで表示し、比較・検討できるので、検討する時間を多く持つことができます。
実践の目標
軌跡の方程式とその考え方を利用して、様々な問題を解くことができる。【数学的な技能】
実践の場面
1. 日常生活に関わる疑問・課題を取り上げる
東京スカイツリーと東京タワーが同じ高さに見える写真を提示し、実際に地図上で場所を探すことを伝えた。「2つの塔がどのような位置関係にあるか」、「横から見るとどんな図形に見えるか」などを、様子を見ながら行い、三角形の相似の比で求められることを共有した。
生徒は今まで2つの塔の高さが一緒に見える場所があることを知らなかったため、導入で一度考えさせる場面では予想以上に意欲的に取り組む姿がみられた。
2. 本時のねらいを確認する
この時点で2つの塔の一直線上に同じ高さが見えるのではないかという意見が生徒から聞こえたが、一直線上にない場所からも見えるという情報を与えると生徒は驚いていた。ここで、生徒の思考にもやもや感を与えることができた。課題を解決させるために、軌跡の方程式とその考え方を利用すれば解けることを伝え、ねらい(目標)を確認した。
3. 本時の例題をクラス全体で考える
例題の前に、「2点A、Bから等距離にある点Pの集合」は、「線分ABの垂直二等分線」とみなすことができることを考えさせた。この見方ができる生徒とそうではない生徒で分かれてしまい、例題「2点A(0,5)、B(5,0)に対して、AP=BPとなる点Pの軌跡を求めなさい」で最初に設定することを導くことが難しいと感じた生徒がいた。発問をくり返しながら、丁寧に進めていった。
4. グループで練習問題に取り組む
練習問題「2点A(4,0)、B(1,0)に対して、AP:BP=2:1となる点Pの軌跡を求めなさい」を解くために、個人で考える時間(3分)、グループで学びあう時間(7分)として流れを設定した。少し難しかったようで時間がかかってしまったが、「AP:BP=2:1」となる動点Pの集合をまず図で考えるようヒントを与えると、半分以上の生徒は立式できたようであった。
5. 解答を比較する
書き込んだワークシートを、タブレットで撮影して写真をロイロノート・スクール上に取り込み、提出箱に提出させた。
ロイロノート・スクールの回答比較画面を配信し、解答を吟味した。
6. 結論をまとめる
「アポロニウスの円」を知るとともに、軌跡の方程式とその考えを理解させる。最後には新たな疑問を投げかけた。計算上、東京工業大学西8号館10階から同じ高さに見えることが分かったが、緑が丘3号館4階からだと東京スカイツリーの方が低く見えるという情報を与え、その理由を次回までに考えてくるようにと授業を終えた(解答は、視点の高さと地球が丸いことの影響がある)。
このように、導入とまとめでの一体感を生み出すことを心がけている。また、あえて疑問を残すことで、次の授業も関心を持って取り組んでもらえるように仕掛けている。