カスタマーサービスとは、商品やサービスの購入時・そのプロセスで発生する、顧客の疑問や不満、要望を解決する役割を担う部署のことです。
企業によって「お客様相談窓口」「お問い合わせ窓口」など、様々な名称で呼ばれます。顧客からの問い合わせやクレーム、意見などを受け付ける部門と捉えられがちですが、実際の業務はさらに広範囲にわたります。
問題を直接解決するための「方法」をレクチャーする場合もあれば、問題が発生した「理由」にまでアプローチして、顧客が同様の問題を回避できるよう、今後のアドバイスを行う場合もあります。
一般的にカスタマーサービスは広範な顧客体験を管理するチームで、その中に問題解決に特化したカスタマーサポートがあり、さらにカスタマーサポートの一部としてコールセンターが機能しているという階層構造になっています。
▼カスタマーサポートについては別の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。
顧客のニーズが多様化した今日では、商品やサービスの品質・価格面を打ち出す戦略だけでは、顧客の獲得が難しくなってきています。そのため、商品やサービスの付加価値として、顧客満足度がより一層重要視されてきています。
顧客満足度を向上させるため、企業は、あらゆる接点で顧客とのつながりを強固にし、商品やサービスの利用時に価値ある体験をしてもらおうと努力します。その中でもひときわ重要な接点のひとつが、カスタマーサービスです。顧客と直接、しかも密接にコミュニケーションをとるカスタマーサービスは、「企業の顔」と捉えられることも少なくありません。
カスタマーサービスに本来与えられた役割とは、顧客の声に耳を傾け、顧客の問題解決のために適切なサポートを行い、顧客満足度の向上につなげることです。そのうえで、顧客と企業、あるいは顧客と商品・サービスの関係構築をする役割を担います。
※顧客満足度の向上については、下記のコラムで詳しく解説しているのでご一読ください。
新規顧客は、商品やサービスへの理解が浅く、基本的な利用方法や注文手順などでつまづくことがあります。こうした場面で、カスタマーサービスは、問題解決をサポートします。顧客は、直面した問題に共に向き合ってくれた相手として、その企業を「信頼のおけるパートナー」とみなし、商品やサービスの利用を継続する可能性が高くなります。
すなわち、優れたカスタマーサービスは、企業イメージを向上させ、顧客のファン化につながります。ファン化した顧客は、より多くの商品やサービスを購入する可能性が高くなります。反対に、カスタマーサービスにおいてネガティブな体験をした顧客は、購入を中止するかもしれません。インターネット上でその体験談を拡散し、企業イメージを低下させる恐れもあります。
このように、新規顧客のファン化や、商品やサービスの利用促進という点において、カスタマーサービスは、時に営業部門と同様の役割を持つと言えます。
「商品のこの部分が使いづらい」「このような機能を搭載してほしい」といった顧客の声は、商品・サービスの開発や改良にあたって重要なヒントになります。
カスタマーサービスでは、まさにこの「顧客の声」が日々集積されています。カスタマーサービスに寄せられる顧客の不満や要望を分析することで、既存の商品・サービスが抱える課題だけでなく、新たな顧客ニーズも発見できるでしょう。それらを社内にフィードバックすることで、マーケティングや商品・サービスの改善にもつなげられます。
カスタマーサービスは、企画開発やマーケティングを支援する役割を担うこともできるのです。
※顧客の声はVOC (Voice of Customer)と呼ばれており、顧客目線での商品・サービス改善のためにVOCを調査・管理することは非常に重要です。VOCについては下記のコラムで定義、収集のポイントやメリットなどを詳しく解説しています。是非ご一読ください。
カスタマーサービスの業務は広範囲であると前述した通り、一般的には以下のような業務に携わります。
こうした各種対応は、電話、メール、チャットなど複数のツールを使い分けながら、基本的には非対面で行われます。また、対象となる顧客のレベルは、利用検討中の見込み顧客から、利用を始めたばかりの新規顧客、自社をひいきにしてくれるロイヤルカスタマーまで、幅があります。ひとくちに「顧客対応」といっても、その実体は複雑多岐にわたることから、カスタマーサービスでは、次のような課題に直面することが少なくありません。
顧客対応は非対面、つまり言葉のみでやり取りを行うため、企業側の意図を正確に伝えられるだけの会話スキル、文章スキルが求められます。スムーズな対応にするためには、顧客の言葉から意図を見抜く推察力も必要です。
また、広範囲な業務をカバーできるよう、商品やサービスはもちろん、組織体制など、さまざまな知識を蓄えておく必要があります。そして膨大な情報の中から、その場に最適な情報を探し出すための処理能力、判断能力も求められます。
そして、これらの要素はカスタマーサービス業務の経験を積むことによって獲得していくことができます。すなわち、カスタマーサービスとして適切な顧客対応を行うには一定の業務経験が欠かせないのです。
従来のカスタマーサービスは、顧客が問い合わせ先を迷わないですむように、窓口をひとつに絞ることを基本としてきました。しかし、多種多様な問い合わせをひとつの窓口で対応するということは、解決までのフローが複雑になりやすい、というデメリットがあります。
たとえば、「顧客の抱えている問題を把握する」というフローだけを見ても、問題が起きた状況や理由を解明するために、いくつかの質問を顧客に投げかけ、回答してもらわなくてはなりません。顧客の回答が不十分であれば、確認のためのさらなる質問も必要になります。
そして、問題が把握できた後も、問題の種類や難易度によって、複数のステップを踏みながら段階的に解決へと導いたり、より適切な対応がとれる部署との連携が必要になったりします。複数人の担当者が関与する場合は、顧客情報を細かく正確に共有することも容易ではありません。
複雑化したフローは、顧客に「問い合わせ開始から解決までが長い」「こちらの状況を逐一説明するのが手間」「担当をたらい回しにされている」という印象を抱かせ、顧客満足度を下げてしまう恐れがあります。
以上のようなカスタマーサービスが抱える課題に対して、有人対応の限界を感じる運営責任者も少なくありません。
近年、各企業において、顧客データベース(CRM)やナレッジベース(FAQ、社内wikiなど)、それらのシステムを活用した無人対応窓口の設置が積極的に進められている背景には、こうした事情が関与していると考えられます。
カスタマーサービスにおける有人対応では、基本的に複数人のオペレーターが配置されます。しかしオペレーター間で知識やスキルにばらつきがあると、対応品質を均一に保つことができず、顧客満足度にもばらつきが出てしまいます。
対応品質の均一化を促すために、まず必要とされるもののひとつが、社内マニュアルの整備です。複雑な業務であっても、順を追ってマニュアルに記載することで、標準化を図ることができます。担当者が誰であっても、一定水準の対応が受けられることは、顧客にとって大きな安心感となり、顧客満足度の底上げにつながります。
社内マニュアルを整備するうえでは、情報の検索性の向上も目指す必要があります。必要かつ最適な情報に、迅速にたどり着けることができれば、顧客への対応時間を短縮することができます。
※電話対応業務を円滑に運用するためのマニュアルの作成方法は下記のコラムをご一読ください。
有人対応ばかりがカスタマーサービスではありません。「窓口に問い合わせるのではなく、その場で、人に頼らず問題を解決したい」という顧客も存在します。
このような顧客ニーズを叶えて満足度を向上させるには、以下のような、顧客の自己解決を促すシステムの導入が非常に有効です。
1.チャットボット
チャットボットとは、自動的に会話を行うプログラムのことです。AI搭載型やルールベース・シナリオ型などの製品があり、24時間・365日、リアルタイムで顧客に応答できるため、問い合わせ対応の新たなチャネルとして多方面から注目を集めています。
チャットボットによる回答は、予め設定したルールやシナリオに沿って行われます。そのため、問題の難易度が低く、限られたやり取りで解決する問い合わせや、顧客からの問い合わせ頻度が高く、マニュアル等で対応が標準化されている問題への対応に適しています。
※チャットボットに関するさらに詳しい解説は、下記のコラムをご覧ください。
2.FAQシステム
顧客の自己解決促進を目標として、FAQ(よくある質問)ページを設置しているWebサイトが少なくありません。一方で、FAQを適切に管理して、顧客が必要な情報をスピーディーに発見できるように検索性を高めたり、それぞれのFAQページを常に最新情報に保ったりという面で運用の手間がかかることが難点となりがちでした。
こうした課題の解決方法として有効なのが、FAQシステムの導入です。とくに、強力な検索機能を備えたFAQシステムは、顧客が入力した検索キーワードが曖昧であっても回答に辿り着く可能性が高まり、より効率的に顧客の自己解決を促すことができます。
※FAQに関するさらに詳しい解説は、下記のコラムをご覧ください。
スマートフォンをはじめとして、情報端末とインターネット接続環境が普及している現在は、いつでもどこでも、気軽に「検索」が行えます。検索エンジンの即応性に慣れた顧客は、企業が提供するカスタマーサービスにおいても、同等のパフォーマンスを期待することが予想されます。
こうした顧客の期待に応えて、顧客満足度を向上させるため、各企業においてチャットボットやFAQシステムの導入はますます加速しており、近年のトレンドとなっています。
弊社が開発・提供している「Helpfeel」は、最先端の検索テクノロジーを搭載した革新的なFAQシステムであり、顧客の自己解決を強力に促進します。
「顧客の質問に対して回答を探す」のではなく、「顧客が入力したキーワードにマッチする質問を提示する」画期的な仕組みで、FAQ検索ヒット率は98%に上ります。またHelpfeelは、従来のFAQシステムと比較して約100倍の速さとなる、0.01秒での応答を実現しており、即応性の観点でも優れたFAQシステムです。
Helpfeelの導入によって、顧客の自己解決を促すと同時に、業務が逼迫する有人対応の負担を軽減することができた、企業様の事例をご紹介します。
ネット印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」において、Helpfeelを導入していただきました。導入以前から、約700ページのFAQコンテンツを用意していたものの、検索ヒット率に伸び悩んでいたそうです。
その要因のひとつに、「チラシ」「フライヤー」「ペラ」のような、印刷業界特有の同義語への対応があると想定し、より柔軟な検索が可能なHelpfeelを導入。わずか1週間で、検索ヒット率を50%も向上させることができました。
TVCM放映に伴い、カスタマーサービスへの問い合わせ増加が見込まれていましたが、Helpfeelによって多くの顧客が自己解決に至ったとみられ、従来の人的リソースで充分対応することができました。
日本最大級の“インターネット商店街”「くらしのマーケット」は、200を超えるカテゴリの出張・訪問サービスの比較と、オンライン予約・依頼が利用可能なサイトです。紹介するサービスが多岐にわたるため、ユーザーが利用に困らないよう、他社FAQシステムを用いて約200ページのFAQページを用意していました。
しかし、検索の導線に難があり、カスタマーサービスには毎日同じような問い合わせが寄せられ、オペレーターが個別で回答していたそうです。Helpfeelにリプレイスしてからは、キーワード検索によって、ユーザーが求めるFAQへ最短で辿り着けるようになり、アクセス解析でもその成果が数値として現れました。
さらに、サービスのカテゴリ一覧ページにもHelpfeelの検索機能を導入していただいた結果、ユーザーはキーワードから仕事のカテゴリを選択できるようになり、ページ訪問者の実に40%以上が利用する人気の機能となりました。
近年の社会情勢や業界動向から、非対面での顧客接点の改善に注力していた伊予銀行様。顧客の自己解決を促すために、他社のFAQシステムとチャットボットを活用されていましたが、最適な回答への誘導に苦慮していたそうです。
「質問への回答」ではなく、顧客の検索キーワードから、顧客が求める「質問」へと導く、Helpfeelの独自発想に魅力を感じ、リプレイスを決定。新サービスのリリースにより問い合わせ増加を見込んでいたものの、Helpfeelを導入したFAQページが活用され、顧客の自己解決の促進に成功。問い合わせ数を減少させることができました。さらに、約800ページに及ぶFAQページの管理や、メンテナンスを実施するための業務コストを大幅に削減することもできました。
上記の事例のように、カスタマーサービスを効率的に運用し、顧客満足度を向上させたい方や、顧客の「自己解決型」カスタマーサービスの実現を目指す方は、Helpfeelについてぜひお気軽にご相談ください。