「サービスの設定・機能に関するお問い合わせは1を、契約内容のご確認は2を、プラン変更・解約をご希望の場合は3をプッシュしてください」
製品やサービスの問い合わせ窓口に電話をすると、まずはこのような自動音声が流れるということがほとんどです。
そしてIVR(Interactive Voice Response/自動音声応答システム)は、顧客からの電話を着信した際に、このような自動音声による指示によって顧客に任意の番号をプッシュしてもらうことで着信先を振り分けることができるITシステムです。単なる着信先の振り分けだけではなく、宅配便の再配達受付のように自動音声だけで顧客応対を完了させるような使い方をしているコールセンターもあります。
また、最近では音声認識AIを活用して、口頭でのコミュニケーションを通じて問い合わせ内容を把握していくことが可能なIVRも登場しています。
コールセンターでIVRを導入することには、様々なメリットがあります。特に、多くのコールセンターが設定している下記のようなKPIは、IVRを導入することで大幅に改善できる可能性があります。
※各KPIを詳しく解説したこちらのコラムもぜひご一読ください
IVRを導入すると、自動音声と顧客側のプッシュ操作によって問い合わせ内容に合った着信先に自動で振り分けることができるようになります。また、自動音声でのやり取りのなかで顧客情報(電話番号や会員番号など)を確認しておけば、オペレーターは事前に会員データベースに登録されている顧客情報を確認したうえで応対を開始できます。
そのため、IVRの導入はAHT(Average Handling Time/平均処理時間)の短縮につながります。
AHTを短縮できると、オペレーターはより早く次の問い合わせへの応対をスタートできます。そのため、ASA(Average Speed of Answer/平均応答速度)の短縮につながります。
また、ASAを短縮できれば目標としている応答時間内に応答できる件数が増えるので、SL(Service Level/サービスレベル)の改善にもつながります。
保留時間が長いと、途中で電話を切ってしまう顧客が多くなり応答率が低下してしまいます。しかし、IVRを導入してASAの短縮を実現できれば、オペレーターはよりスピーディーに次の電話を着信できるようになります。
その結果、応答率の改善につながります。
IVRを導入してASAの短縮や応答率の改善を実現できると、電話をしてきた顧客は「すぐに電話がつながる」「すばやく適切な回答をしてくれる」といった印象を持ちます。また、IVRの導入後は次のような顧客応対を実現可能です。
・営業時間外の応対
前述した宅配便の再配達をはじめ、資料請求やサービス申込・解約のように定型的なやり取りで完結するような問い合わせについては、営業時間外であってもIVRによる自動音声で受付できるようになります。
・折り返し連絡の受付
IVR製品のなかには、留守番電話のような機能を持った製品があります。
このような製品を導入した場合には、すぐにオペレーターが着信できなかったり、営業時間外であったりした場合に、折り返し連絡する旨を自動音声で伝えたうえで顧客の連絡先情報を取得することができます。IVRを導入してこのような理想的な顧客応対を実現することで、C-SAT(Customer Satisfaction/顧客満足度)やNPS(Net Promoter Score/ネットプロモータースコア)の改善を期待できます。
このように、IVR導入はコールセンターにとって様々なメリットがあります。
一方で、実際に導入する場合には次のような点に注意が必要です。
一般にIVRによる自動音声での応対は、「お電話ありがとうございます。○○(サービス名)お問い合わせ窓口です。音声案内にしたがって~」といった内容の挨拶メッセージから始まります。また、後々オペレーターによる応対が行われることを想定して通話内容を録音している旨を説明する場合もあります。
とはいえ、このような冒頭の挨拶や説明が長いとお客様はイライラして途中で電話を切ってしまうでしょう。そのため、言葉づかいや話すスピードを見直してできる限り短時間で挨拶や説明を終わらせることが不可欠です。
IVRによる自動音声応対は、「1:機能・設定の確認」「2:契約内容の紹介」「3:新規申込」「4:解約」といった形で問い合わせ内容を分類したうえで、それぞれに対応する番号(顧客がプッシュするボタン)を割り振って運用します。3個や4個程度であれば、顧客もそれぞれの用途を記憶しながら適切な番号を選択できるでしょう。
しかし、選択肢が5個も10個もあるようでは、説明を聞いているうちに顧客はそれぞれがどのような用途に対応しているのかを忘れてしまい、適切な番号を選択できなくなってしまいます。そのため、1回あたりの選択肢は3~4個程度に留めておく必要があります。
「顧客が1回あたりの選択肢の数を減らすために、階層を増やそう」
このように考える方も多いのではないでしょうか?確かに、大分類→中分類→小分類といった形で段階的に顧客の問い合わせ内容を汲み取っていく形にすれば、1回あたりの選択肢の数を減らすことができます。
しかし、あまりに階層が多すぎると顧客にとっては手間が増えてしまうことになります。そのため、あまり階層を深くしすぎることは避ける必要があります。オペレーターによる応対との棲み分けも検討しつつ、自動音声の段階では最小限の選択肢と階層で顧客のニーズを大まかに汲み取ることに留めるのが適切でしょう。
VoiceOperatorは、NECのIVR製品です。
従来型の自動音声と顧客側のボタンプッシュによる自動応対はもちろん、オプションで音声AIチャットボットを利用することも可能。NECが開発したAIチャットボットである「NEC自動応答」が通話中の顧客の音声をもとにAIが問い合わせ内容を把握して、着信先の振替や自動音声による応答を行うことができます。
また、回答をSMSやLINEに送信することも可能です。
Zendesk Talkは、ZendeskのIVR製品です。
VoIP(Voice over Internet Protocol)システムであり、従来型のIVR製品のように通信会社との契約や回線敷設工事などが必要ないので、わずか数分で導入を完了できるという手軽さが魅力です。IVR機能も備えており、コンソール上で簡単にIVRをセットアップすることができます。
各問い合わせについて回答までの所要時間や保留時間などのデータを一目で確認できるので、自動応答の選択肢や階層などを最適化してより効率的なコールセンター運営を実現できます。
CyzoPHONEは、NTTデータNJKが開発・販売しているIVR製品です。
クラウド型サービスとして提供されているので、Zendesk Talkと同様に低コストかつ短期間で導入できます。最少契約期間が1ヶ月となっているので、期間限定キャンペーンへの利用など短期間でも導入できることも特長です。
まいと~く VoiceFAX Centerは、インターコムが開発・販売しているIVR製品です。
「メッセージ再生」や「入力後の分岐」などを50種類の機能アイコンを使って管理画面で直観的な操作で設定できます。
また作成した音声応答フローは、実回線を使わずに管理画面上でチェック可能。通信コストをかけずに何度でも事前の内容確認が可能です。
MediaVoiceは、メディアリンクが開発・販売しているIVR製品です。
コールバック予約を自動受付する「あふれ呼IVR」、リストへの自動発信(アウトバウンドコール)を行う「オートコール」といった機能のほか、「本人認証」「合否案内」など用途に合った機能を組み合わせて利用できることが特長です。
また、クラウド型だけではなく、オンプレミス型で導入することも可能です。
今回は、コールセンターにおけるIVR導入のメリットや注意点、代表的な製品などを解説してきました。
コールセンター運営の円滑化につながるITシステムはIVRの他に、最近ではFAQシステムを導入してFAQ改善に取り組んでいる企業も多くなっています。
FAQサイト内の各ページを見て顧客自ら問題を解決できる確率(自己解決率)を高めることができれば、問い合わせ件数の削減につながり、限られた人員数でも円滑にコールセンターを運営できるようになるからです。
「Helpfeel」は「どんな表現で検索してもすぐに見つかる」FAQシステムです。独自の検索特許技術×AIで欲しい回答を瞬時に提示できます。
圧倒的な検索ヒット率によってユーザーの自己解決を促し、その結果としてコールセンターの工数も削減することができています。
システム導入する際はHelpfeelで専門チームを立ち上げ、スピーディーな作成・移行を実行します。導入して終わりではなく、定例会にてレポート分析と目標達成までの改善策をご提案し、継続的な改善を通じて使いやすい・お客様の目標達成につながるFAQを実現します。
コールセンターの業務負担軽減に取り組んでいるという方は、HelpfeelによるFAQ改善についてぜひお気軽にお問い合わせください。