中1 国語科 調べたことを報告しよう ICTを活用してメタ認知能力を育む実践【実践事例】 (深圳日本人学校)
授業担当者 | 篠原 嶺 |
ICT環境 | 2人1台タブレット 2クラス1台電子黒板 |
学年 / 教科 | 中学1年生/国語科 |
単元 | 調べたことを報告しよう |
〈実践の概要〉
言葉に関する問いを立て、調べ学習を行い、報告書にまとめる単元である。本実践では、個別最適化学習レベル3(本校が定義した個別最適化学習の階層性より)を目指した。書き上げた報告書を互いに読み合い、批評および推敲し合った。また自分自身の報告書に活かせそうな他者の報告書を見つけ、真似させた。成果としてメタ認知能力を高められたこと、課題として報告書の内容に関して根拠と考えの整合性についての批評が少なかったことがあげられる。
〈電子黒板やロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
①電子黒板に報告書を映し出し、修正加筆すべき箇所に線を引かせることで報告書の課題点を共有しやすくなった。
②ロイロノートに報告書の写真をおさめることで、他者から批評を受けながら自分自身の報告書に加筆修正する作業を並行させることができた。
〈実践の目標〉
①課題に合わせて、集めた材料を整理する。
②調べた内容がわかりやすく伝わるように、構成に沿って文章にまとめる。
③互いの報告書を読み合い、批評・推敲を加えることでメタ認知能力を高める。
〈場面1〉第1次【問いを立て、調べよう】
各生徒に「平仮名の由来」「日本語はなぜ難しいと言われるのか」など言葉に関する問いを立てさせた。また、立てた問いに関してインターネットや本で調べさせ、調べて分かったことや考察などはワードに蓄積させた。さらに、調べる際には出典元を記録すること、考察を深める際には比較することを生徒に伝えた。
〈場面2〉第2次【報告書のフォーマットを考えよう】
まず報告書に記載する内容を考えさせた。「主題」「調査方法」「考察」「参考文献」などがあがった。次に、報告書の構成を考えさせた。ホワイトボードを一枚の報告書と見立て、「どこに何を書くのか」を四人一組で考えさせた。最後に出来上がったホワイトボードを共有して、質疑応答を行った。この形式を踏まえて報告書を書くよう指示した。
〈場面3〉第3次【読みやすい報告書を考え、実際に書き上げよう】
まず「読みやすい報告書」とは、どのような報告書かを考えさせた。生徒が話し合った結果、以下のような基準となった。
また、Aの基準における三つの条件のうち二つの条件しか満たしていない場合は、B+となった。これらの基準を踏まえて、報告書を書くよう指示した。
〈場面4〉第4次【書き上げた報告書を推敲しあい、清書を書こう】
書き上げた報告書をロイロノートで共有し、電子黒板に映し出した。そして、生徒同士で互いに推敲させた。前次に確認した基準に加えて、根拠と考えの整合性やレイアウトについて指摘させあった。ロイロノート上で分かりにくい場合は電子黒板に実際に線を引かせるなどして、確認させあった。ある生徒は「この書き方は分かりやすい!」と他の生徒の書き方を真似て、自分の報告書に活かそうとしていた。
〈授業写真〉
〈成果と課題〉
成果と課題が、それぞれ一つずつ挙げられる。成果は生徒のメタ認知能力を高められたことである。生徒は他者の報告書を読むことで、自分自身の報告書を客観視することができるようになった。その結果、多くの修正加筆を行えた。また、ある生徒は生徒の書き方を真似て自分の報告書に活かしていた。つまり、生徒が自分自身で自分の報告書に活かせるモデルを探し当てたといえるだろう。これは学習者が自分自身で個別最適化を進めたといえる。これらはロイロノートの共有機能を活用することで可能となった。ロイロノートの共有機能を用いることで、印刷の手間が省かれ、いつでもどこでもすぐに互いのワークシートを見ることができる。一方で、課題は報告書の内容に関して、根拠と考えの整合性についての批評が少なかったことがあげられる。構成について吟味する時間と内容について吟味する時間のように区切りをつけさせる必要があった。