中2 理科 植物細胞のつくりを観察しよう【実践事例】(つくばみらい市立小絹中学校)
つくばみらい市立小絹中学校
田鍋 文雄教諭
ロイロノートを用いて、観察・比較活動の効率化しよう
ロイロノートの比較表示や共有機能によって、観察・記録時間が短縮され、生徒の学びが深まります。
グループに分かれ、各グループごとに異なった植物の一部分を採取します。
そして、染色液として用いる酢酸カーミン液でそれを着色し、プレパラートを作成します。
顕微鏡のピントを合わせ、タブレットのレンズを接眼レンズに近づけて画像を記録します。
記録した後、ロイロノートで各グループごとに教師へ画像を送信し、比較表示して全体で共有しながら、様々な種類の細胞の共通点を探し出しました。
記録された画像をもとに、スケッチを行い、最後に教師へ提出させます。
ロイロノート導入のメリット
グループで異なる細胞を、顕微鏡で観察して共有することで、短時間で多くの植物の観察・比較を行うことができました。
実験や観察の記録を整理する際には、ロイロノートは非常に大きな力を発揮します。 特に、ミクロな事象の記録には大変有効です。
学習活動をアクティブに展開する際には、非常に協力なものとなると思います。
実践の目標
酢酸カーミン液で染色をした植物細胞を観察するためのプレパラートを作成することができる。
作成されたプレパラートを用いて、任意の倍率で細胞を観察することができる。
顕微鏡で観察された細胞を、細部まで正確にスケッチすることができる。
複数の観察記録から、植物の細胞の共通点を見出すことができる。
実践の場面
1. プレパラートを作成する
グループに分かれ、それぞれ異なった植物を選び、その植物の一部分を各グループごとに採取する。そして、顕微鏡で細胞の核や染色体を観察するとき、染色液として用いる酢酸カーミン液でそれを着色する。
今度はそれをスライドガラスに載せ、カバーガラスで覆ってプレパラートを作成する。
2. 顕微鏡像を画像記録する
まず、顕微鏡のピントを肉眼で正確に合わせてから、接眼レンズにタブレットのレンズを近づけて画像記録を行う。このとき、光軸(レンズの中心と焦点を通る 直線)さえきちんと合えば、非常に鮮明な画像が記録できる。
生徒たちはできるだけ、鮮明な画像を記録しようと試行錯誤しながら、記録していた。
3. 記録した画像を比較表示する
顕微鏡像をタブレットで記録した後、ロイロノートの送信機能でグループごとに教師へ送信する。各グループが撮影した画像を比較表示し、全体で共有した。
共有した画像を確認し合いながら、様々な種類の細胞の共通点を、自分たちで探し出すことができた。
4. 画像をもとにスケッチする
記録された画像をもとに、スケッチを行う。
顕微鏡をのぞきながらスケッチをする場合に比べて、画像記録されたものは大きく表示されるため、細部まで正確にスケッチすることができる。生徒はピンチアウトで画像を拡大し、ポイントとなる部分に書き込みをしながらスケッチを行っていた。
また、従来の方法よりも染色後の観察をする時間を十分に確保できたので、生徒が観察したツユクサの気孔(葉の表皮に存在する小さな穴)の周囲にある表皮細胞、ひとつひとつの中の核もしっかりと染色されており、生徒が細かくスケッチできていた。
5. 発展的な学習が行われる
観察しながら、画像記録をしている際、3年生の細胞分裂の学習の時に観察する細胞分裂前の染色体の様子が、ツユクサのおしべの細胞の中で確認された。
これによって生徒たちは、自然発生的に発展的な学習をすることができた。
6. スケッチを仕上げて提出する
従来は、1時間の中で観察、比較、スケッチを終えることは難しかった。
だが、従来行われてきた顕微鏡による観察活動に、タブレット端末による画像記録とロイロノートを組み合わせることで、本時では生徒たちの活動が90%近くの時間を占めることができた。
なので、多くの生徒が時間内に最後までの活動を終え、授業の最後にほとんどの生徒がスケッチしたものを教師に提出できた。