中2 理科 2本の電流同士が受ける力を考えよう【実践事例】(海城中学・高等学校)
海城中学・高等学校
竹田 昌弘教諭
演習問題を解く力を身につけながら、ロイロノート・スクールを活用して、議論する力・発表する力を養います。
電流・磁界分野における「右ねじの法則」「フレミング左手の法則」は、三次元的な考えで扱う必要があり、教員が一斉講義式で板書で説明しても理解できない生徒が多く出てきてしまう分野である。
「逆向きに流れる2つの電流を近づけるとどのような力が生じるか」という課題に対して、既に学習している「右ねじの法則」の知識も踏まえながら班ごとに議論し、意見をまとめる。班で導いた結論をロイロノートのカードに図や文字を使って書き込み、スライドショーを作成する。
スライドショーをもとにクラス全体の前で意見を発表する。「2つの電流が引き合う」派と「2つの電流が反発する」派にそれぞれ意見を聞き、議論を活性化させる。新たな意見が出なくなったところで、演示実験によって議論の決着をつける。
最後に教員が議論をまとめた。本実践では演習問題を解くような力を身につけさせながら議論する力・発表する力も身につけさせることができた。
ロイロノート導入のメリット
クラスメイトに説明できるようなスライドを提出するという形をとることで、班で議論する力・論理的に思考する力・わかりやすく図を描く力・プレゼンテーション能力などを身につけさせることができる。
リアルタイムに各班の考えを確認することができるので、行き詰まってしまっている班に教員がすぐに気づき、サポートすることができる。
実践の目標
「右ねじの法則」、「フレミング左手の法則」 の知識を定着することができる。
議論や発表の中で、人間関係力や論理的思考力、プレゼンテーション能力を高めることができる。
実践の場面
1. 基本原理を確認する
本時の議論の中で扱う「フレミング左手の法則」は実験によって確認しないことには生徒たちが受け入れられない法則である。
電流装置を使って、細長いアルミホイルに電流を流し、そこにU字磁石を近づけると電流が力を受けることを確認させる。
2. 課題に対し4人1組で議論をする
「逆向きに流れる2つの電流を近づけるとどのような力が生じるか」という課題に対して、既に学習している「右ねじの法則」の知識も踏まえながら班ごとに議論する。
習ったばかりの「フレミングの左手の法則」や「右ねじの法則」は板書(言葉や図)だけでは伝わりきらない部分があるので、生徒間で議論することで、講義型では伝わりにくい部分を補完する。
3. スライドショーを作成する
1つの意見に対して班の4人でおおよそ合意がとれれば、その意見をまとめていく。
この時、どのように図を描けば分かりやすく説明できるかを考えながら、班で導いた結論を、ロイロノートのカードに図や文字を使ってまとめていく。そうしてスライドショーを作成することで、生徒たちの思考が整理されていく。
4. 班の結論を発表する
ロイロノートで作成したスライドショーをもとに、クラス全体の前で意見を発表する。
この時、「2つの電流が引き合う」派と「2つの電流が反発する」派にそれぞれ意見を聞き、議論を活性化させる。(実践を行った全てのクラスで意見は分かれた)
5. 演示実験によって議論の決着をつける
新たな意見が出なくなったところで、細長いアルミホイル2本に逆向きに電流を流し、反発することを見せて議論の決着をつける。
演示実験で結果を一斉に確認するので、生徒にとって盛り上がる場面となった。
6. 議論をまとめる
本時で扱った課題は、中学2年生の段階では少しハードルの高いため、最後は教員が議論をまとめる。今回の授業のように現象を予想するような議論は、理科(特に物理分野)に入れやすいので度々取り入れているが、議論の内容の難易度によって教員がまとめる量を調整している。