中2 社会 日露戦争 「カードinカード」機能を使って新聞記事を書こう【実践事例】(静岡サレジオ中学校)
授業担当者 | 山本雄登 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 中学校2年・社会 |
単元 | 日露戦争 |
〈実践の概要〉
新しくなったロイロノートの「カードinカード」機能を使い、新聞記事を書く活動を通して、歴史的事象を多角的に見る眼を育てます。
「日露戦争の直前、当時の日本国内では開戦論と反戦論が展開されていた。あなたは新聞社の社員である。当時の知識人たちの意見に着目して、開戦の是非を主張する新聞記事を書きなさい。記事には、事実を伝える部分と記者としての自分の意見を盛り込むこと。」というパフォーマンス課題を設定し、当時のジャーナリストになったつもりで新聞記事を書きました。
七博士・内村鑑三・幸徳秋水・与謝野晶子ら知識人の意見を参考にして、様々な立場から書かれた記事を読み合い、互いに評価しました。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
ロイロノート・スクールというツールを利用して、教員がICT利活用の視点からの授業改善を図ることで、従来の学習スタイル(一方通行型、チョーク&トーク型)から脱却することができる。
生徒の成果とそれに対する評価をロイロノート上にずっと残すことができ、学びの記録になる。特に、ペーパーテストで「知識・理解」の部分に偏りがちな社会科としては、「思考・判断・表現」の部分を評価するための重要なエビデンスになる。
「回答共有」機能により生徒間の共有をスムーズに行うことができる。それにより、自分と他者は何が同じで何が異なるのかということに気づき、「対話的な学び」が自然と生まれる。生徒の授業への参加意識も高まる。
〈実践の目標〉
通史学習を通して、日露戦争の原因と結果、その影響について理解する。
日露戦争について、戦争の規模や国内外の反応を多角的に考える。
日露戦争について、国際関係での日本の立場の面と国内の反応の面から考察し、新聞記事に表現する。
〈場面1〉通史学習
日露戦争はどのようにして起こり、国内外にどのような影響を与えたのかを学ぶ。(知識事項のインプット)
〈場面2〉日露開戦についての知識人の意見を学び、新聞記事を書く
七博士・内村鑑三・幸徳秋水・与謝野晶子ら知識人の意見を参考に、日露戦争開戦の是非についての自分の立場を決めて新聞記事を書く。(パフォーマンス課題)
〈場面3〉グルーブごとに記事を検討
異なる立場の生徒で意見交換できるようにグループを設定し、各人が書いた記事を読み合い、ルーブリックに基づいて相互評価する。(協働学習)
〈場面4〉まとめ
様々な立場を考察した上で日露戦争開戦の是非についての自分の最終的な考えをまとめ、共有する。
実際の生徒の反応では、開戦を否定する立場の意見が多かった。そこで、「生徒=民衆」と仮想して、「当時の民衆の中では反戦・非戦を主張する意見が多数であったにも関わらず、日本が開戦に踏み切ってしまったのはなぜだろう」と投げかけた。
「国家による思想の主導が行われたこと」に気づかせ、『戦争によって社会はどのように問題化するのか』という概念的理解を深めることができた。