中2 社会 繰り返される政治改革~享保の改革と寛政の改革 享保の改革を多角的な視点を踏まえて公正に評価しよう【実践事例】(広島城北中・高等学校)

中2 社会 繰り返される政治改革~享保の改革と寛政の改革 享保の改革を多角的な視点を踏まえて公正に評価しよう【実践事例】(広島城北中・高等学校)


基本情報
授業担当者弘胤 佑
ICT環境1人1台タブレット
学年 / 教科中学校2年/社会科歴史的分野
単元繰り返される政治改革~享保の改革と寛政の改革
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〈実践の概要〉
本実践の目的は、享保の改革に対する多角的な視点(武士・百姓・町人)を踏まえた公正な評価を作り出すことです。一般に政治改革は、政策を受け入れる側の立場や利害によって評価が左右され、特に歴史学習の場合は失敗の部分が強調される傾向にあります。そのため、政治改革を公正に評価するためには、多角的な視点から当事者の利害関係を意識し、さらに自己の評価を他者の評価と共有することを通して「相対化」し、洗練していくことが重要です。今回は、ロイロノート・スクールを使用し、当時を生きた新聞記者の視点から享保の改革を評価したと仮定して、改革に対する社説を作ります。

〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
シンキングツールを使用することで思考が整理され、論理的な意見を持つことができます。
クラスで評価シートをすぐに共有することが可能なので、相互の交流が容易です。
評価シートに対する教員からの訂正やコメントの挿入が容易なので、生徒の成果物の評価が効率的に進められます。

〈実践の目標〉
享保の改革の内容について正しい知識・理解を身に着けること。
享保の改革について、武士・百姓・町人の視点を踏まえたうえで公正に評価すること。
クラスメイトとの共有・交流を通して、自己の評価をより精度の高いものに精緻化し、社説としてまとめること。


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〈場面1〉授業テーマ設定
まず、前時で学習した新井白石による政治改革について復習し、その課題(幕府の財政難)について確認します。そこで、徳川吉宗がどのように幕府の財政難を克服しようとしたのかについて焦点化し、授業テーマ(「徳川吉宗は財政難をどのように解決しようとしたのだろう?」)を提示します。

〈場面2〉享保の改革の内容についての学習
徳川吉宗が財政再建のために行った施策について学習します。その際、改革の柱となった三つの観点(①幕府の支出を減らすこと、②米によって幕府の財政収入を増やすこと、③米価を上げること)について確認し、それぞれの観点に応じた実際の改革内容について学習し、改革に対する正確な知識を身に着けて、理解を深めます。

〈場面3〉武士・百姓・町人の各視点からの評価
改革内容と結果についての学習を終えた後に、ロイロノート・スクールのシンキングツール(Yチャート)を使用して、武士・百姓・町人の立場から、①改革がどのような結果をもたらしたか、②改革についてどのように評価するか、を踏まえながら評価していきます。もちろん、評価には根拠が必要です。自分が評価の根拠とした歴史事象はもちろん、評価をした際に使用したグラフや図表なども、評価コメントに書き入れてもよいものとします。

〈場面4〉武士・百姓・町人の各視点からの評価の共有
場面3で作成した評価シートを、ロイロノート・スクールを通してクラス全体で共有します。しばらく時間をとったのちに、質問コーナーと称して気になる評価をしたクラスメイトのところに直接聞きに行く時間を設定し、他者との評価の共有・交流を図ります。

〈場面5〉享保の改革についての総合的な評価の作成
場面3・4の活動を踏まえたうえで、自分が享保の改革をどのように評価するかを考えます。その際に、①総合評価A~Eで評価してその根拠を記述すること、②自分が江戸時代にタイムスリップして、当時の人々に新聞の社説を書くとしたらどのような評価になるか、を意識します。特に②では、評価者の視点(新聞記事の社説を書く記者)をはっきりさせることで、全員が同新聞記者という公正な立場から評価することができます。

〈場面6〉新聞記事の作成
最後にこれまでの評価を踏まえたうえで、社説を書いてみます。文章量については制限を設けず、より簡潔でわかりやすい社説を書くことにポイントを絞ります。社説の中にイラスト・写真や図表を入れてわかりやすくするなどの工夫も認めることにします。新聞記事はロイロノート・スクールを使用してクラスで共有し、生徒全員が読めるようにします。

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