中3 国語 話し合いで解決しよう【実践事例】(近畿大学附属高等学校・中学校)
「チャート式討論」で自分の思考を見つめよう
思考をチャートに表わして他の生徒と比較し合うことで、枠にとらわれない思考法を身に付けることができます。
答えをひとつに決められない問題を論点にして討論をします。討論をして出た意見を、ロイロノートスクールのカードに書き、グループ内で共有します。
自分の意見と他の生徒の意見のカードを、ピラミッド形のチャートに並べて整理します。
並べたカード同士を線で繋いで、教師に提出し、グループ内でそれぞれが作成したチャートを比較します。グループ内で、最も独りよがりでないチャートを作った代表者を決めて、各グループごとの代表者が全体の前で発表します。
他の生徒のチャートと自分のチャートを比較することで、自分が決めた思考経路以外の思考パターンと、それぞれの選択肢の結果について考えられるようになります。
ロイロノート導入のメリット
思考を整理するチャートを、ポスト・イットを使って作成する場合、グループ全員で意見を出し合って模造紙の上でチャートを作ることになります。
そうすると、どうしてもグループのリーダーのチャートになってしまいます。
ですが、ロイロノートを使うことで、自分の意見とグループ内のメンバーの意見をカードにして、何度も並び替えや置き換えをすることができます。そうすることで、自分なりのチャートを作成することができます。
自分の思考で作ったチャートと、グループ内のメンバーが作ったチャートを比較できるので、自分の考え方の特徴を見つめられるようになりました。
実践の目標
自分の考え方以外に、どのような可能性が考えられるのか、その中で、どうしてこの道を選ぶのか、それを頭に描いて選択する方法を身に付けるきっかけとする。
実践の場面
1. 本時の目標を確認する
「ワークシート1」で、本時の目標を全体で確認する。
①話し合いが効果的に展開するように〇〇を工夫しよう。
②問題の解決に向けて、〇〇を生かし合おう。
ワークシートの◆はじめの一歩!!◆で、「成人式は必要か」という例を参考にして、シンキングツールのチャートを作る方法を教える。
論点を最上部に置き、ふたつの真逆の意見に分け、どちらかの意見について自分の考えを細分化させていく。そうすることで、論点と意見が広がっていくイメージを持たせる。
2. 論点をチャートで整理する練習をする
「ワークシート1」の[練習]、「優先座席は必要か」という論点で、必要という意見について自分の思考をチャートに書く。
チャートを完成させたら、ロイロノートでグループ内でカードを交換する。
生徒はロイロノートのデスクトップに、ワークシートと同じようなピラミッドの形に、自分の意見と交換したグループ内の意見のカードを整理する。
3. 作成したチャートを生徒同士で比較し合う
ピラミッドの形にしたカードを黄色の線で繋ぐ。更に、自分の選択肢は赤の線で繋ぎ、それを教師に提出する。
生徒同士、作成したチャートを比較して、赤の線でつないだ自分の選択肢が、「独りよがりタイプ」の特徴があることを確認させる。
思考を展開させるチャートが、「自分で勝手に決めたゴールのためのチャート」になってしまうことが誰にでもあることに気づかせる。
4. 「チャレンジ」の説明をする
「ワークシート2」の、◆チャレンジの手順◆で、具体的な作業内容を教える。論点は全グループ共通で「野球少年の悩み」とする。
「野球少年の悩み」とは、『エースの肩の故障をただ一人知ってしまったキャプテンは、中学校最後の公式戦を前にどのような態度をとるべきなのか?』というもの。
◆チャレンジの手順◆
①論点についての意見をグループで出し合う。ロイロノートで、青いカードに意見を入力し、グループで共有する。
②出し合った意見を整理する。ロイロノートで緑のカードを作って、意見をピラミッド形のチャートにしていく。
③チャートに沿って討論をし、全員が納得できる結論までチャートをたどる。ロイロノートで、青いカードと緑のカードをピラミッド形のチャートにしたら、スクリーンショットを撮る。撮ったものをカードにして、チャートの線を記入する。
④完成したチャートを教師に提出する。
5. チャートを作成し、グループで比較し合う
◆チャレンジの手順◆に従って、チャートを完成させる。
グループで同じカードを共有していながら、どれくらい違うチャートができたかを比較する。そして、グループ内で最も、独りよがりタイプではないチャートを選ぶ。
6. グループの代表チャートを比較し合う
各グループの、最も独りよがりではない代表者のチャートを比較し合い、優れたところを見つける。
授業の最後に本時の学習を振り返って、学んだことや工夫できたことを記録する。