小4 英語 マイネーム・プロジェクト(言語への気づき,国際協働) 自分の好きな方法で,自分の学びの記録をしよう 〜小学生から取り組み可能なデジタルポートフォリオ〜(横須賀学院小学校)
【実践事例】
#実践報告 #授業実践事例
授業担当者 | 阿部志乃 |
ICT環境 | 1人1台タブレット(学校全体で40台を共有しながら使用) |
学年 / 教科 | 小学校4年 / 英語科 |
単元 | マイネーム・プロジェクト(言語への気づき,国際協働) |
〈実践の概要〉
「マイネーム・プロジェクト」は,小学校の「総合的な学習の時間」で行う探求学習と,英語の授業とを統合したものです。プロジェクトのゴールは「自分のネームカードを作り,世界に発表する」ですが,日本語がわからない相手に対して,児童が主体的に「外国語」「伝え方」について意識する活動にしたいと思いました。ロイロノートを利用することで,今まで可視化が難しかったプロジェクト活動の過程における児童の様々な学びを「デジタル・ポートフォリオ」という形で,誰にとってもわかりやすい記録にして残すことができると考えました。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
個々の児童の学習活動や取り組みを教員がいつでも好きな時に確認できます。
文字を書くのが苦手な児童にとって,記録の方法(手書き入力,キーボード入力,音声の文字変換,音声録音)を児童自身が自分で選ぶことができるため,記録が楽しくなります。また,教師にとっても児童の考えを(様々な方法での記録を通して)確認することができます。
児童が自らの学びを視覚的に把握することができます。
児童が自らの学びをいつでも確認でき,授業が終わった後も,また時間が経っても再利用することができます(デジタル・ポートフォリオとしての使用)。
保護者とも児童の学びを共有しやすくなります(学習の内容が全て記録されるので,「児童−教員−保護者」の三者で共有できる学習の評価ツールとしての利用)。
〈実践の目標〉
文字の持つ機能と働きを考える(ロイロノートに自分の考えをまとめる)。
世界の言語と文字の多様性を知る(調べ学習の際に,ロイロノートに情報を記録する)。
比較を通して日本語の特徴に気づく(ロイロノートのシンキングツールの授業実践事例]を使う)。
自分でまとめた資料を基に,相手を意識した作品作りをする。
作品の鑑賞を通して,名前は誰にとっても特別だという事に気づく。
情報のまとめ方を試行錯誤し,記録を基に児童自らの活動の振り返りを行う。
〈場面1〉これは文字?なぜそう思うの?
意識を高めるために,名前を構成する文字について考える活動から始めた。文字について考えるためには,文字かどうかわからない物を教材として使うと面白い。ルーマニアで発見された「タルタリアのタブレット(現在でも詳しいことはわかっておらず,自由な仮説を立てるのには最適な題材)」を見せ,各グループで「文字か,絵か」の仮説を立て,調べ学習で根拠を探し,結論を発表した。
〈場面2〉文字として残る最古の名前は一体誰?
次に最古の名前探しをする。エジプトの「ナルメル王のパレット」は,人名が文字で残された最古の遺物とされており,小学生でも本を使って調べられる題材である。遺物に残された名前を見つけだし,読めた時,児童の歓声が上がる。ヒエログリフで書かれた様々な名前を読む中で,文字の「音を表す記号」の役割や「書き方にはルールがある」ことに気づいた。
〈場面3〉各グループでテーマを決めて調べ学習
ここまでの間に,児童は調べ学習を通して様々な文字や言語に触れており,様々な情報や各自の学びはロイロノートに記録されている。その中からもっと調べたいことをテーマにグループで調べ学習を行い,その成果をクラスで発表する。また,外国の文字との比較を通して日常使用している日本語について考える機会も生まれる。
〈場面4〉ネームカードの作成
自分の名前を世界のフォーラムでどう伝えるか,日本語がわからない相手に自分の名前をどう表現するかを考え,ネームカード作成に入る。調べ学習で見つけた文字の利用,日本語の文字の紹介,日本文化の紹介など,児童が今までに学んできたことがカードに集約される。カードの作成もロイロノート(デジタル),画用紙(アナログ)のどちらで行うかを児童が選んで作成する。
〈場面5〉ネームカードの発表,作品鑑賞
最後に完成したカードをフォーラムに投稿する。自分の作品と海外の作品を鑑賞する際に、児童は相手の名前を読むことに楽しさを感じる。名前は、国や文化を超えて「個人の印」という意識が児童にある。相手の名前を読みたい。そして,自分の名前も正しく読んでほしい。だから相手がわかる文字を使いたい。この気持ちを持つ経験が,文字学習の必要性を児童に実感させ,外国語を書く・読む活動に対して,主体的に取り組む態度の育成にも繋がっていくと考えている。
〈場面6〉プロジェクトの振り返り
今までの学びの記録を振り返り,ルーブリックで自己評価する。その後,ネームカード作品と学びの記録を自宅に持ち帰り,保護者と共有した後に保護者からもルーブリック評価とプロジェクトについてのコメントをもらう。保護者の評価とコメントを含めた全ての学びの記録を「マイネーム・プロジェクト」として,保管する。