(筑波大学附属聴覚特別支援学校)作文教育【実践事例】
作文を声で書いてみよう
筑波大学附属聴覚特別支援学校
山本 晃教諭
ロイロノートで、おしゃべり感覚で作文を書くことにより、作文への抵抗感が少なくなる授業を実現します。
まず、教師は8つの発問をロイロノート・スクールのカードに書いて、生徒全員に送信します。
8枚のカードの解答が作文メモになるよう、作成させました。
この時、文字入力ではなく、気軽におしゃべり感覚で作成できるよう、音声で入力しました。
作文メモを書いたカードを問いかけごとに生徒が作成し、合計8枚の作文メモを作成します。
そして、作成したものを教師のタブレットに送信してもらいます。
全員の作文メモを、スクリーンに一覧表示し、友達の書いた作文メモの良いところを評価し合いました。
そして、作成した合計8枚の作文メモのカードをつなげさせ、最初のカードからひととおり読んで、修正点が見つかれば修正するようにしました。
作成した8枚の作文メモを、紙の原稿用紙に書く前の下書きとして音声で入力して、原稿用紙アプリに音声入力で下書きを行いました。
音声入力して作った作文の下書きをもとにして、原稿用紙に鉛筆で書かせ、本時を終了しました。
ロイロノート導入のメリット
ロイロノートを使用することによって、作文活動への意欲が高まる傾向があることが明確になった。また、生徒がタブレットPCを用いた授業に対して高い興味、期待感があるということも窺えた。
本実践を行い、従来のように筆記で書いていくよりも、タブレットPCを用いた方が抵抗感が和らぎ、書きやすくなる生徒が多くいることが明らかになった。作文の書き方には多くの方法があるが、一つの方法としてICTを有効に活用する1つの方法が示唆された。
本実践でもあったように「作文を書くのがきらいである」というような抵抗感を持った生徒には有効的だった。また、この音声認識機能を活用した作文活動は特別支援教育、特に肢体不自由教育、また視覚障害教育の中において、手や視覚に障がいを持った生徒の活動としても本実践のような作文活動が考えられる。
実践の目標
作文に対しての抵抗感を減少させ、おしゃべり感覚で、思ったことや考えたことを文章化する。そうすることで、作文学習への自信がつくことを目標にした。
実践の場面
1. 発問の答えを書く
生徒が作文メモを書く手がかりになるよう、教師が8つの発問をロイロノートのカードに書いて、生徒全員に送信した。
(以下、8つの発問)
①あなたの好きな女性芸能人は?
➁その人のジャンルは?
③その人はどういう感じの人?
④その人はいつ、どういう番組に出ているの?
⑤いつから好きなの?
⑥その人を見るとどうなるの?
⑦他の人と比べてどういうところが好きなの?
⑧友達に勧める話を書いてみましょう。
2. 作文メモを声でカードに書く
タブレットPCを1台ずつ持たせ、生徒を2人組にさせた。
隣の友達のタブレットを借りて、8枚のカードの解答が作文メモになるよう、作成させた。
この時、文字入力ではなく、気軽におしゃべり感覚で作成できるよう、音声で入力した。
声で作文メモを入力する時は、あとで修正できるので、思ったことや考えたことを間違いをおそれずに入力しましょうと伝えた。
読点は「てん」、句点は「まる」、改行は「かいぎょう」と声で言えば良いことを伝えた。
生徒はゲーム感覚も出して楽しく入力した。
3. お互いの作文メモの良いところを評価し合う
作文メモを書いたカードを教師のタブレットに通信機能で送ってもらった。
そして黒板に掲示したスクリーンで全員の作文メモを一覧表示する。
自分以外の生徒が作成した作文メモを見合い、友達の書いた作文メモの良いところを互いに評価しあった。
4. 作文メモをつなげて、作文を吟味する
作文メモを書いたカードを問いかけごとに生徒が作成し、合計8枚の作文メモを作成した。
問いかけ①から⑧について一つずつ作成できたら、それをつなげさせた。
そして、最初のカードから一通り読んで、修正点が見つかれば修正するようにした。
5. 8枚の作文メモをつなげて読んで、一続きの文章にする
作成した8枚の作文メモを、紙の原稿用紙に書く前の下書きを音声で入力していった。
まず、友達に使ってもらっていた自分のタブレットを手元に戻し、原稿用紙のアプリを開く。
そして先ほど作成した8枚の作文メモを1枚1枚読んで、原稿用紙アプリに音声入力で下書きを行った。
この活動については、他のグループの声が入力されないように2人組で教室以外の場所に移動しても良いと話した。
6. 紙の原稿用紙に清書する
音声入力して作った作文の下書きをもとにして、原稿用紙に鉛筆で書かせた。
その際、付け加えたり、修正して良いという指示をした。