中2 理科 問題解決学習の「問題」共有と話し合い活動の「考えと自信度」の共有に有効 電流とその利用【実践事例】愛知教育大学附属名古屋中学校 佐野 嘉昭
授業担当者 | 佐野 嘉昭 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 中学校2年 / 理科 |
単元 | 電流とその利用(全単元において使用可能) |
〈実践の概要〉
本実践では,三読法(1)の「通読」の場面において,「アンケート機能」が生徒同士の問題共有に有効であったことと,話し合い活動において,「付箋を提出する機能」が生徒同士の考えと自信度の共有に有効であったことの2点について報告する。
【アンケートで問題を共有しているようす】 【付箋をもとに話し合い活動をするようす】
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
個人や学級全体の問題を即時に共有できる。→問題解決学習へつなげられる
生徒の考えや自信度を即時に共有できる。→話し合い活動に活用できる
〈実践の目標〉
個人が学級全体の問題を書き出し,共有することの効果を明らかにする。
話し合い活動にて,自分の考えや自信度を,共有することの効果を明らかにする。
〈場面1〉個人や教室全体の問題を共有する
三読法(1)の「通読」の場面では,単元の始めに教科書を読み,「自分の分からないところ」を自分の「問題」として,ロイロノートの「アンケート機能」を使って書き出し,「問題」を共有した。
共有された仲間の問題を見て,わかる人はわからない人に,わからない人はわかる人に聞きにいく学び合いを行った。学び合いの中で,解決されなかった問題を再び「アンケート機能」を使って,学級全体の「問題」として共有した。このとき,提出箱に付箋で提出させずに,アンケートを使用することで,共有された問題をテキストデータとして扱えるため,生徒がプリントに書いた文字を教師が打ち直す必要がなくなった。そして,ここで出された「問題」の解決を中心に授業を構成する際にも容易に活用することができた。
さらに,単元の終わりには,単元始めの「問題」が解決できたことを確認することにも活用できた。
【教室全体で共有された問題(電力・電力量・発熱量)】
〈場面2〉自分の考えと自信度を共有する
実験前に仮説を立てる話し合い活動では,「付箋を提出する機能」を活用した。
授業の初めに課題を提示し,その結果を選択肢で選び予想させた。その際,選択肢ごとに色を指定し,自分の考えを色で示させると同時に,自分の考えへの自信度を%表示させた。
その後提出箱を共有し,同じ意見同士での話し合い,違う意見同士での話し合い,教室全体での話し合いを行った。そして,それら3つの場面での話し合い活動のたびに,自分の考えを変えたり,自信度を更新させたりしながら行った。それにより,自信の高い生
徒の意見を聞いたり,自信の低い生徒が引っかかっているところを聞いたり,考えを変えた生徒の理由を聞いたりしていくことで,話し合う内容を焦点化し,よ
り科学的な考え方を導き出していくことができた。
【自分の考えと自信度の共有】
<参考文献>
(1) 遠西昭寿(2021)「理科の教科書の性格と役割 ―教科書を教えるのか,教科書で教えるのか―」『理科教育学研究』第62巻,第1号
(2) 遠西昭寿・福田恒康・佐野嘉昭(2018b)「テクスト解釈としての科学理解と科学知識習得のための方法論的提案」『日本理科教育学会第64回東海支部大会研究発表予稿集』日本理科教育学会東海支部,65.