高1 国語 小説の構造を読む方法を習得する 「羅生門」【授業案】立命館守山高等学校 岩崎成寿
学年 / 教科 | 高1/国語 |
単元 | 「羅生門」 |
指導要領 | B 読むこと ア 文章の種類を踏まえて,内容や構成,展開などについて叙述を基に的確に捉えること。 |
教科書会社 | ーーーー |
授業者 | 岩崎成寿(立命館守山高等学校) |
単元の一部
解説動画
作成者からのアピールポイント
・読む方法の意識化・可視化
・活発な討論の仕組み方
・シンキングツールの効果的活用
ロイロノート・スクールのnoteデータ
【展開1】前時を振り返り、小説の構造表を確認する。
前時に小説の構造表(用語)について、昔話を題材に説明してある。
「小説の典型構造はいくつに分かれる?」「4部を何と呼ぶ?」「5つの点を何と呼ぶ?」「事件が転換する点を何と呼ぶ?」と発問する。
小説の構造表を提示、確認する。
「羅生門」の構造表を示し、冒頭と末尾を確認する。
【展開2】事件がどこから始まっているかを考える。
• 3-4人を単位に班を編成する。
• 学習リーダー、記録係を確認する。
• 発端の読みとりについて、「どこか、その理由を個人で2分考えなさい」と指示する。
• 「班で3分話し合いなさい」と指示する。その際、「記録係は、本文の引用、理由をカードに記述し、話し合い終了と同時に提出しなさい」と指示する。
• (時間が不足する場合、班長が挙手し延長要求を出すことを以前から確認している)
• 時間が来たら各班1枚のカードを提出させる。
• 意見をA、B、Cと分類し、その理由を問答で何人かに聞く。
• この論点は、練習の位置付けなので、教師が説明する。
• A説を採る。理由は、①老婆との出会いにつながる下人の行動が始まるから、②説明から描写への書かれ方の変化があるから、とする。
【展開3】事件がどう転換しているか、主人物がどう変容しているか、概略を把握する。
• クライマックスの読みとりについて、「どこか、その理由を個人で2分考えなさい」と指示する。
• 「班で3分話し合いなさい」と指示する。その際、「記録係は、本文の引用、理由をカードに記述し、話し合い終了と同時に提出しなさい」と指示する。
• 時間が来たら各班1枚のカードを提出させる。
• 出された意見をA、B、Cと分類し、その理由を概観する。
• 2分間の作戦タイムとして「どの意見がダメか」との観点から、話し合わせる。その後、班ごとに挙手による討論を行う。
• 途中、「どこが一番決定的?」「読者に強くアピールするのはどこ?」などの助言を打つ。
• 最終的には、D説かE説(発言か行動か)に対立が収斂していくと予想する。その場合は、「両方を採用する」という考え方があることを説明する。最終的に教師の意見を述べ、その理由を説明する。
• ただし、どこがクライマックスかを決めることよりも、なぜそう言えるのかの理由を説明できることが重要であることを強調する。
【展開4】発端とクライマックスを読む指標について、その定義を理解する。
• 発端とクライマックスの読みとりをふりかえり、それらを読む指標について教師が説明する。
• 発端とクライマックスを読みとることによって、「羅生門」の事件の性格(優柔不断だった下人が悪の道を選択する)が読めることを確認する。
• 山場の始まりと結末は、教師が説明する。
• 小説の構造を読む方法は、他の小説や映像・演劇作品にも応用できることを説明し、各自試みることを奨励する。
• 振り返りシートに発端とクライマックスの理由を自分の言葉でまとめて、個人提出する。