高2 古典B 漢文「史記」をよむ(ジグソー法によるグループワークの実践)【実践事例】 名古屋市立山田高等学校 小川亜希子
授業担当者 | 小川亜希子 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 高校2年 / 古典B |
単元 | 「史記」 |
〈実践の概要〉
高校2年生で扱う「史記」は、項羽と劉邦の人物像から始まり、鴻門の会、四面楚歌、そして項王の最期へと続く長い単元である。どの場面も魅力的で、かつ漢文の重要句形も豊富な上質の教材といえるが、すべてを均質に扱っていると時間もかかり、生徒の集中力が続かないことがある。場面ごとに異なる学びの手法を取り入れて、生徒が集中力を維持したままこの単元を終えることができるようにしたい。
本実践では、ジグソー法によるグループワークを取り入れている。2年生の漢文学習の集大成として、各自で課題に取り組み、学びを共有しあうことを目指す。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
感覚的にカードを作成することができるため、生徒の個性を生かした発表ができる。
生徒間通信の機能により、生徒どうしで学習の成果を共有することができる。
iPad1台で学習ができるため、座席移動が容易で、異なるグループによる学習が連続でできる。
〈実践の目標〉
漢文学習における基本事項を確認し、内容を正確に把握できるようにする。
「史記」における項王の最期の場面を読んで内容を把握し、人に説明できるようにする。
伝わりやすいレイアウトを考えながら、資料を自分なりにまとめることができるようにする。
〈授業写真〉
〈場面1〉漢文基本事項の確認(項羽と劉邦)
漢文学習の基本事項である書き下しの確認をする。
①生徒は、ノートに本文を書き下しておく。
②評価カードと模範解答がロイロで配信されるので、ノートとロイロとを一緒に隣の席の人と交換する。
③隣の席の人は、受け取ったノートにチェックを入れながら評価カードを作成する。(相互採点)
④採点が終わったら返却し、評価カードを確認してから提出箱へ送信する。
⑤残りの時間で、模範解答をみながら各自でノートを見直す。
〈場面2〉内容把握の練習(鴻門の会)
鴻門の会における各登場人物の座席配置や、人物関係を正確に把握する。
生徒は、項王、項伯、范増らを青色のカード、沛公(=劉邦)、張良を赤色のカードとし、ひとつのカードの中にランダムに配置されたものを受け取る。本文を読みすすめながら、各登場人物が座っていた場所にカードを配置しなおしていく。
その他、「君王」「若(なんぢ)」「之」などの指示語が誰を表すのかなど、内容に関する問いにも答え、正答数に応じてふりかえりカードを作成し、提出箱へ送信する。
〈場面3〉故事成語をよむ(四面楚歌)
定期考査直前で時間が限られていたため、一斉授業で行った。
〈場面4〉ジグソー法によるグループワーク①(項王の最期)
項王の最期の場面を生徒主体でよむ。
①4人グループのホーム班において、ABCDの役割を決める。
②AAAA、BBBB、CCCC、DDDDのエキスパート班で集まり、それぞれのアルファベット担当に与えられたミッションに取り組む。
(A)は、「虞美人草」「史記」について調べ、資料にまとめる。古典の文法面での理解にはややニガテ意識をもっているが、前向きに取り組む姿勢はある生徒向けの課題。
(B)(C)は、本文を前後半に分担して内容を理解し、他の人に説明をする。ある程度古典に慣れており、自分の力を試してみたい生徒向けの課題。
(D)は、本文に出てくる重要句形を整理し、他の人に説明をする。改めて一つ一つの句形を理解したい生徒向けの課題。
〈場面5〉ジグソー法によるグループワーク②(項王の最期)
②のつづき
資料が完成したら、上手く発表できるようにリハーサルを行う。
約300字=1分であることから、必要であれば、300~400字の発表原稿も作成しておく。
③ABCDのホーム班に再集合し、生徒間通信機能を使いながらエキスパート班で得た知識を共有しあう。
〈場面6〉ジグソー法によるグループワーク③(項王の最期)
④ホーム班の4人が内容を把握できたところで、追加課題(教科書の手引き問題)に取り組む。一斉配布された発問カードに解答を入力し、提出箱へ送信する。
⑤テスト機能を用いて作成した選択肢形式の小テストを解き、内容理解ができているか確認する。
〈授業写真〉