高1 国語 内山 節「時間をめぐる衝突」【実践事例】(明治大学付属中野中学・高等学校)
明治大学付属中野中学・高等学校
清水 孝教諭
グループ内で意見を即座に共有し、円滑な議論により、教科書教材のより深い理解を目指します。
本時では、教科書教材である内山節著「時間をめぐる衝突」の本文中にある「均質の時間」という言葉について、どの程度理解できているかを確認する授業を行いました。今日までの日本の歴史を振り返らせ、「均質の時間」で管理された事例についてグループごとに話し合います。それに対する功罪を各自で検討し、プレゼン資料を作成し、発表しました。個人的な読解では得られない深い読みを体験しながら、理解を深めていきました。
ロイロノート導入のメリット
個人のカードを一覧表示し、クラス全員が見ることにより、全員が等しく授業に参加していることを体感させられます。取り組みへの真剣さも増したように感じます。
個人の意見を簡単に共有できることで、グループワークも活性化しました。
家庭で成果物を提出することができるため、生徒は納得いくまで作業に取り組むことができます。教師もそれを予め授業前に確認することで、次時の授業をデザインしやすく、授業計画が効率的に立てられました。
実践の目標
個々の意見をグループ内で共有し、一つのテーマについてグループで話し合うことで、自分にない視点や思考に気づくことができる。
教科書本文の表層を読み取るだけでなく、筆者の主張を身の回りの事象に置き換えることができる。
資料を用いた発表を行い、教科書教材をより深く理解することができる。
実践の場面
1. 本文中のキーワード「均質の時間」で管理された事例を身の回りの事象から探す
内山節著「時間をめぐる衝突」の授業を一通り終えた後、生徒それぞれが本文の内容をどの程度理解しているか、また、筆者の主張を身近な事例にまで発展させられるかを確認するための活動を行った。本文中にある言葉「均質の時間」について、今日までの日本の歴史の中から、「均質の時間」で管理された事例を探していった。事例の検討に際し、生徒は百科事典やインターネットを活用していた。
2. 各自が挙げた事例を、テキストカードにまとめる
各自が挙げた事例を、ロイロノート・スクールのテキストカードに端的にまとめ、教師に提出する。筆者の意図するところが理解できていないものも見受けられたが、この後のグループワークでの気づきに期待し、この段階ではあえて指導せずにいた。提出されたカードを一覧表示し、作業が遅れ気味の生徒に提出を促した。
3. 筆者の意図が最も反映された事例をグループごとに選ぶ
各自が挙げた事例のカードをグループで共有しながら、それぞれのカードに記された事例を吟味する。筆者が主張する「均質の時間」で管理された事例として最もふさわしいものを、グループごとに一つ選ぶ。
4. 選んだ事例についてグループごとに調べ、検討する
選んだ事例についてグループごとに調べて、話し合う。それぞれ新たな視点を獲得するとともに、教科書教材の読みの誤りに気づいたり、改めて読み込んだりする中で、個人的な読解では得られない深い読みを体験していた。
5. 個人の意見を構築する
グループでの検討の後、「均質の時間」で管理された事例の功罪について、それぞれの考えをまとめる。グループワークによって理解を共有した後の段階であるため、根拠を示した主張となることを心がけさせた。
6. 資料をもとに発表する
テキストカードやWebカードを用いて、「均質の時間」で管理された事例及びその功罪についての発表資料を作成させた。授業中で完成できなかった生徒のために家庭での作業も認め、締め切り時刻は提出日の夜までとした。これにより、生徒は自分が納得できるまで課題に取り組む時間的余裕ができた。教師は提出日翌日の授業であっても、授業の展開を余裕をもって考えることができた。