【ロイロ認定ティーチャー✖️公開授業・校内研修】全国の認定ティーチャーが他校の生徒に授業!ーロイロノートユーザー会@東奥義塾2022ー

【ロイロ認定ティーチャー✖️公開授業・校内研修】全国の認定ティーチャーが他校の生徒に授業!ーロイロノートユーザー会@東奥義塾2022ー

2022年10月14日(金)に、青森県弘前市の東奥義塾中学校・高等学校で、全国の認定ティーチャーが東奥義塾中学校・高等学校の生徒に授業を行う様子を見学できるロイロノート・ユーザー会@東奥義塾2022が実施されました。参加された先生方にとって全国の認定ティーチャーの先進的な実際の授業が見学できる貴重な学びであったとともに、生徒自身も、全国の先生方のさまざまな授業を体験することができる新たな学びにつながっていました。大盛況に終わった同会の内容をレポートします。
(2022/10/17作成)

東奥義塾中学校・高等学校について
東奥義塾中学校・高等学校では多くの先生方が認定ティーチャーに認定されており、また、授業デザイントレーナー・シンキングツールアドバイザーなど、ロイロが発行している多くの資格を取得しておられます。
今回のユーザー会でも東奥義塾中学校・高等学校の認定ティーチャーの先生方に授業を実施していただけました
東奥義塾中学校・高等学校の先生方のロイロの資格取得状況
ロイロ認定ティーチャー:11名
授業デザイントレーナー:1名
シンキングツールアドバイザー:8名
共有ノートアドバイザー:2名
東奥義塾中学校・高等学校の認定ティーチャーご紹介ページ
東奥義塾中学校・高等学校の先生方の授業案

ロイロノート・ユーザー会@東奥義塾2022
多くの認定ティーチャーが在籍しており、先生方が積極的にロイロをはじめとするICTの利活用を進めている東奥義塾中学校・高等学校で、校内の先生方だけでなく、全国の認定ティーチャーの実際の授業が見学できるロイロノート・ユーザー会が開催されました。
ロイロ認定ティーチャーとは?
ロイロでは、生徒主体の授業をデザインできる先生をロイロ認定ティーチャーに認定しています。

ユーザー会の流れ
ユーザー会は3つのセクションに分かれて進行しました
セクション1:東奥義塾の先生方の授業見学
セクション2:全国の認定ティーチャーの先生方による授業の見学
セクション3:認定ティーチャーの先生方による本日の授業の振り返りと実践報告
それぞれのセクションについてご説明させていただきます

セクション1:東奥義塾中学校・高等学校の先生方の授業見学
東奥義塾中学校・高等学校の先生方の授業見学が行われました。先生方は授業のさまざまな場面でICTやロイロを活用し、効果的な実践を行っていました。
シンキングツールを使って
シンキングツールを使って、生徒が自分の考えを整理し、発表する活動は各教科で行われていました。
教員が提示したシンキングツールを使うだけでなく、生徒自身が最適なシンキングツールを選ぶ授業も実施されていました。
協働的な学びの実践
グループワークも積極的に取り入れられており、各授業で協働的な学びの実践がなされていました。
また、協働的な学びの場では共有ノートも多く使われていました。
ロイロ以外のICTツールと組み合わせて
webカードを使うことで、インターネット上のデータをカードにして提出するしたり、送ったりすることができます。音楽を作成するページなど、ロイロ以外のサービスで作成したデータについてもロイロを使って提出・共有を行うことができていました。また、インターネットを使って調べた内容をその場でプレゼンテーションに組み込む活動も行われていました。

セクション2:全国の認定ティーチャーの先生方による授業の見学
セクション2では全国の認定ティーチャーの先生方が、東奥義塾中学校・高等学校の生徒たちに授業を行う様子が一般公開されていました。

ご登壇いただいた認定ティーチャーの先生
大学
中学校・高等学校
小学校

国語(野中潤先生):大学入試問題演習で学び合い
大学入試問題をつかって生徒が積極的に学び合う授業を展開されました。
「本文を配らずに問題のみを配る」「お互いの選択や気付きについて共有させる」など、受動的になりがちな入試問題演習を生徒が主体的に学ぶための工夫が随所にみられました。

STEP1 「問題のみ」の配布と、本文の朗読
入試問題について、「問題のみ」のプリントを生徒に配布します。
その後、野中先生が題材となっている井上靖の「姥捨」を朗読されました。
生徒は朗読中に気になった内容をロイロをつかってどんどんメモをしていきます。
STEP2 メモをもとに個人で問題を解く
step1で作成したメモをもとにまずは個人で問題を回答します。
STEP3 グループで回答を確認する
個人の回答が終わったら、本文が記入されたプリントを配布し、グループで回答を話し合います。
グループで出た回答はテストカードに入力し、正答を確認します。
話し合いで正答率が「下がる」ことから生徒が学べること
実はSTEP3のようにグループで回答を共有すると、生徒の正答率は当初は下がるそうです。
正答率が30%程度の問題の場合、生徒が「多数決」のような方法で正答を決めると「不正解」が多数派となりそちらの意見にながれてしまうのが原因です。
「少数派であった意見が実は正答だった」という体験をすることで、生徒は単純な多数決ではなく、少数派も含めて他者の意見に真剣に耳を傾け、「なぜその選択をしたのか」という理由を重視するようになります。
グループ活動を入試問題演習に取り入れることで、生徒の対話のスキルも向上します。

英語(田中先生)東奥義塾のおススメスポットを紹介しよう
生徒が東奥義塾中学校・高等学校のおすすめポイントを紹介するムービーを作成する活動を通じて、スピーキングスキルの向上をはかる授業が展開されました。間違い探しをつかったアイスブレイクなど、生徒が積極的・活発に授業の中で英語をつかっていくためのさまざまな工夫がみられました。

STEP1 【アイスブレイク】英語で間違い探し
ペアになって、1つの間違い探しに取り組みます。
ロイロをつかって間違い探しの画像を送り、間違いを発見したら丸をつけて、ペアの生徒に英語で説明します。1つ指摘したら、今度はペアの生徒が別の箇所の間違いを探して説明します。
間違い探しを楽しみながら、生徒が積極的に英語を話すことができていました。
STEP2 文章で校内のおすすめポイントをまとめる
校内のおすすめポイントについて、文章で内容をまとめます。
「一言でいうとどんなポイントがおすすめか」「どんな場所か」などを記したフォーマットに従って、校内のおすすめポイントを辞書サイトなども使いながら、校内のおすすめポイントを英語でまとめていきます。
STEP3 STEP2で作成した各カードに音声を録音する
文章ができたら、それぞれのカードに録音機能で音声を録音します。
できた動画は提出箱にいれて、全員に共有しました
スピーキング活動の評価について
生徒のスピーキング活動に際して、以下のようなルーブリックを提示します。
提出箱で全生徒にスピーキングの内容が共有できるため、教員からだけでなく、生徒の自己評価や相互評価も行うことで、より学びを深めることができます。


理科(奥津先生)世界の問いをみつけよう
「実物から学ぶ」をテーマに、世界の生物が描かれたカードや、実際の骨格標本などを観察して、そこから「問い」を見つけ出す授業が展開されました。あらかじめ用意されている「答え」を学ぶのではなく、生徒自らが問いを発見し、先行研究などを調べることで実際の現象から学ぶ科学的な姿勢を養うことができる授業展開となっていました。

STEP1:【アイスブレイク】生き物のトランプでグルーピング
世界のさまざまな生き物が描かれたトランプをランダムに生徒に配布します。
生徒は同じ番号のトランプをもっている生徒を探し、グループを作成していきます。

STEP2:生き物のトランプで「問い」を作る
stpe1で配られたトランプに描かれた生き物を観察し、その生き物についての「問い」を情報分析チャートに作成します。
できた「問い」は提出箱に提出し、クラス全員に共有します。
STEP3:「本物」の生き物で「問い」を作る
実際の生物の骨格標本を各グループごとに選びます
骨格標本を観察し、「問い」を作ります。
STEP4:「問い」を精選する
STEP3で出した問いを「オープンな問いか、クローズドな問いか」「検証可能な問いか、検証不可能な問いか」の2軸で分類します。
分類したもののうち、「検証可能」で「オープンである」問いの中から、気になる問いを選び出します。
「答え」探しではなく、「問い」を作ること
従来型の学習では、勉強とは、「答え」を見つけることであり、たくさんの「知識」「正解」を覚えることに比重が置かれていました。
しかし、新しい発見に必要なのは「正解」ではなく、「疑問」を持つことであり、研究するための「問い」をたてることなのではないでしょうか。
奥津先生の授業では、生徒はワークを通じて「答え」を探すのではなく、「問い」をたてることを学ぶことができていました。

数学(小木曽先生)不定方程式の意味を理解しよう
生徒が協働的に不定方程式の意味を理解する授業実践が行われました。
「アンケートカードをつかって毎回異なるメンバーでのグルーピングをおこなう」「共有ノートで共同編集をしながら授業をすすめる」など、
生徒が対話的に学ぶ工夫が随所に見られる授業実践でした。

STEP1:【アイスブレイク】資料の配布とグループ分け
授業の開始時に、生徒全員に本日の資料が送られました。小木曽先生の授業では、毎回の授業で使う資料が1枚のコンパクトなカードにまとめられています。そのため、生徒は資料の整理や授業の振り返りが簡単におこなえるようになっています。
グループワークのメンバーを、アンケートカードをつかってその場で作成しました。生徒は毎回異なるメンバーとグループワークをすることで、対話力や説明する力を身に着けることができます。
グループ分けが終わった後は、本日の授業の予習も兼ねて「自然数」「整数」「互いに素」という3つの概念についてグループでお互いに取り組むワークも行われました。
STEP2:カードの並び替えで考える組み合わせ
「修学旅行の席の組み合わせを考える」という具体的な問いを設定して、カードの並べ替えの機能をつかって、組み合わせの数を考えました。
できた答えは提出箱に提出し、クラス全体に共有しました
STEP3:組み合わせを数学的に考える
今度は、カードの並び替えではなく、数学的なアプローチで考えます。
状況を式で表し、さまざまな値を代入することでどのような組み合わせが考えられるかをグループごとに共有ノートを使って考えました

STEP4:不定方程式の一般式を考える
「整数x、yについてax+byはどんな値になるか」という問題を設定し、グループごとに異なる係数を定めた方程式を設定して、値の変化を調べました
できた回答は共有ノートをつかってクラス全体で共有しました
リフレクションと資料の提示
小木曽先生の授業では、授業における生徒の活動の時間を長くすること、そして必ず自分のやったことを自分で振り返れるようにする工夫が数多く見られました。
毎回の授業では生徒の自己評価だけでなく、R80と呼ばれる、「2文章を接続詞でつないだ80文字以内」のリフレクションの提出を求めています。これは、数学の証明や、小論文の作成時に接続詞の使い方が非常に重要となるため、数学での実践を通じて文章能力そのものを高めるための工夫です。
また、生徒の活動時間をなるべく長くとるための工夫として、「1時間分資料を1枚のカードにまとめて送るのは1回にする」「授業全体の見通しを授業の最初に伝える」などさまざまな工夫がなされていました。
「授業改善」というと、抽象的なマインドセットになってしまいますが、「生徒が活動的になる時間を増やせる授業設計にする」と考えることで、授業の改善を進め方を考えることができます。

社会(鹿又先生)社会の問題を考えよう!
テーマ・分野と目標正答率を決めて、生徒がオリジナルの問題を考える取り組みです。
共有ノート・テストカード・シンキングツールなど、ロイロの機能をフル活用して、生徒が対話的で主体的に学べる授業を行いました。

STEP1 【アイスブレイク】チーム名とテーマソングを決めよう
今日ワークをするチームの名前とテーマソングを決めます。
できたチーム名やテーマソングは提出箱で共有して、アイスブレイクにつかわれていました。
STEP2 チームごとのテーマ選び
チームごとに出題テーマを決めます。
出題テーマは「分野」と「正答率」が決められており、共有ノートでそれぞれの班が内容がわからないまま、番号のかかれたカードを選ぶことで割り当てられました。
STEP3 問題作成
STEP2で決めたテーマの問題をグループで作成していきます。
分野だけではなく、目標正答率も考慮しながら問題を作ることで、より考えを深めることができていました。
生徒たちは教科書や資料集だけでなく、インターネットも活用しながら問題を作っていました。
STEP4 お互いの作った問題を解く
作成した問題は共有ノートで共有し、お互いに解き合います。
お互いが作った問題を解くことで協働的に知識の定着をはかるだけでなく、自分が作った問題が予想通りの正答率になっているかを確かめることで、出題分野についてより深い考察をすることができていました。
STEP5 リフレクション
授業の最後に、今日の取り組み・達成度・ふりかえりをまとめました。
理解度だけでなく、どれぐらい、チームで協働的に活動できたかもふりかえりました。
正答率の設定でより深い活動に
鹿又先生の授業では、生徒に対して作問する分野だけでなく、「目標正答率」を設定しています。
テストカードの機能をつかうことでお互いに作問をして回答し合う活動が容易になった一方で、グループで問題を作成する場合には、目標とするレベルが噛み合わず、作問が捗らない場合があります。
正答率を設定することで問題の難易度や方向性が決めやすく、グループでの問題作成そのものにじっくりと時間をかけることができるようになります

探究(青山先生)金融リテラシーについて
青山先生の授業では生徒たちにまず、「お金とは何か」を考えさせた上で、架空の通貨をつかった擬似株式取引をおこないました。
生徒たちはゲームを通じて、株式や債権といった概念を理解するとともに、生涯にわたって関わる「お金」についてじっくりと考えることができていました。


STEP1 見えるお金と見えないお金
擬似株式取引を体験する前に、そもそも「お金」について何かを生徒に考えさせます。
「見えるお金」と「見えないお金」をテーマに自分の考えをシンキングツールに書き出させます。
使うシンキングツールはあえて指定せず、生徒が選んだシンキングツールで考えをまとめました。
STEP2 株式ゲーム
生徒に疑似通貨カードを配布し、擬似株式取引を行います。
生徒は取引による株価の変動をロイロで手書きでまとめ、取引によってもっている債権の価値がどのように変わっていくかを体験しました。
STEP3 お金を増やすアイデアを考えよう
「お金とは何か」を考えて、擬似株式ゲームを体験した後で、あらためて、「お金を増やす方法」について生徒に考えさせます。
小学校の子供たちに具体的なアイデアを教えるとしたらどのようなものがあるか、をテーマに生徒たちは自分の考えをまとめました。
具体物から抽象概念を理解する
青山先生の授業では疑似通貨という具体物を用いて、目に見えないお金の流れを体験させる流れがとても魅力的でした。
「見えるお金」「見えないお金」の存在を提示し、まずは具体物がない状態で考えた後で、「擬似通貨」という具体物を使った体験をおこない、また、最終的には「お金の増やし方」という抽象的な課題へと立ち返っていきます。生徒は具体物をつかった体験を通じて、「お金」の多様な意味と価値を体験することができるとともに、金融そのものの興味をもつこともできていました。

セクション3:認定ティーチャーの先生方による本日の授業の振り返りと実践報告
授業の後、登壇された認定ティーチャーの先生方による授業の振り返りと、実践報告の会が行われました。
実際に授業をされた先生方に「どのように授業を考えたのか」「普段どのようなとりくみをおこなっているのか」を直接ご説明いただくことで、実践について、参加された先生方はより理解をふかめることができていました。



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