高1 数学Ⅰ 2次関数 2次方程式と2次不等式【実践事例】 (神奈川県立大和西高等学校)
授業担当者 | 梅田 知志 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 高校1年生/数学Ⅰ |
単元 | 数学Ⅰ 2次関数 2次方程式と2次不等式:数研出版「数学Ⅰ」 |
〈実践の概要〉
本校生徒40名にChromebookを配布し、ロイロノートを用いた授業を実践した。班を6つに分け、2次関数の式 の、a・b・c がグラフにどのような影響を与えるのかをグラフ描写ソフトを用いて自由に考察させ、ロイロノートのカードにそれぞれの意見を書いて提出するようにした。カードは、全体に共有できるように、教員用のスクリーンと、生徒それぞれが持つChromebookの両方で確認ができるようにした。生徒の反応も良く、の a・b・c が持つ役割を理解できていたようだった。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
普段発言をあまりしない生徒にもカードを書いてもらうことで意見を聞くことができる。
値を様々に変化させたときのグラフの変化の様子を視覚的に捉えることができる。
定期的に導入することで生徒に新しい刺激を与えることができ、学習意欲を向上させられる。
〈実践の目標〉
2次関数の式 が、値の変化によってグラフにどのような影響があるのかを視覚的に捉える。
様々に変化したグラフで気づいたことを班で話し合い、まとめたものをカードで提出する。
班ごとに出た意見をスクリーンを通じて全体で共有し、まとめる。
〈授業写真 左から①②〉
〈場面1〉ロイロノートにログインしてみよう
予め対象クラスにはロイロノートスクールアプリをダウンロードさせており、前回の授業までにログインできることも確認していたが、何らかの不具合により半数近くの生徒がロイロノートスクールアプリを開けずにいた。何度かログインを試みたが改善が見られなかったため、ログインできている生徒に見せてもらう形で授業を進めた。
〈場面2〉グラフ描画ソフトで二次関数のグラフの変化をみよう
グラフ描写ソフトを用いて、2次関数の式 が、a・b・c の値を様々に変化させると、グラフにどのような影響を与えるのかを考察した。a>0,b>0,c>0 として平方完成を行うと、頂点の座標はとなり、b の値を大きくすると、どちらの座標もマイナス方向に動くことがわかるが、これを板書で理解させるのは難しい。しかし、ソフトを用いれば、生徒はその変化をグラフで捉えることができるため、労力も最小限に、生徒の理解を得ることができた。(写真参照)
〈場面3〉気づき(感想など)をカードにまとめてみよう
班ごとに、グラフ描画ソフトを用いてわかったことを、「カード」に書いて提出してもらった。
カードは全員が見られるようにスクリーンに映し、それぞれの班に発表してもらった。
感想には、「今までよくわからなかったグラフの動きが目で追えたので、わかりやすかった。」
「a・b・c それぞれのグラフに与える役割が、ひとつずつ値を変えることによって知ることができた」などの、概ね建設的な意見が寄せられた。
〈場面4〉教員側の気づき
生徒も感じていたことだが、今回のようなグラフに関わる授業においては、黒板でグラフの動きを説明するよりも、ソフトを用いて実際にグラフがどのように変化するのかを見せた方が生徒の理解がより早く、よりスピーディに得られることがわかった。しかし、準備などに時間もかかるため、例えば単元ごとの導入部分など、ポイントを押さえて活用できるといいのではないかと感じた。普段の授業と、ICTを用いた授業をバランスよく扱うことで、単調な授業にならずに授業が進められるのではないだろうか。
〈場面5〉全体を通して
ロイロノートを使ってみての感想は、「いつもと違う感覚で受けられて楽しかった」「他の人の意見が見られてよかった」など、生徒は刺激を受けているように感じた。一方で、アプリが作動しないなど、授業が大幅に遅れる要因も見受けられたが、生徒が受動的でなく、能動的に参加できる授業は学習意欲を向上させる一助となった。教員の理解不足も否めなかったが、もっとお互いにアプリの使い方に慣れていけば、意見交換もしやすい良い環境をつくれる可能性を感じた。特に、普段あまり発言をしないような生徒からも、これなら発言しやすいという感想もあったことから、発言の均等、活性化にも繋がると感じた。
〈授業写真 ③〉