コールリーズンとは
コールリーズンとは、コールセンターに顧客が問い合わせをしてきた理由のことを指します。例えば「商品を頼みたいが、注文方法が分からない」「サービスの利用方法を知りたい」「商品の注文数を変更したい」などが当てはまります。
コールリーズンは、顧客のニーズを把握し、自社の商品やサービスを改善するために必要なものです。コールリーズンを適切に活用することで、顧客満足度の向上につなげられるでしょう。ここでは、コールリーズン分析の意味やVOCとの違いについて解説します。
コールリーズン分析とは
コールリーズン分析とは、コールリーズンをカテゴリーごとに分類し、問い合わせの傾向を分析する方法のことです。顧客からの問い合わせにどのような傾向があるか把握できれば「よくある質問の事例を公式サイトに記載する」「オペレーター用のマニュアルに反映する」などの改善策を立てられます。
特に件数が多い問い合わせから優先的に改善策を講じることで、よりスピーディーな顧客対応が可能になり、オペレーターサービスの向上や業務の効率化を実現できるでしょう。
コールリーズンとVOCの違い
コールリーズンと混同されやすいものに、VOC（お客様の声：Voice of Customer）があります。コールリーズンは「顧客がコールセンターに問い合わせをした理由」であるのに対し、VOCは「顧客が持つ意見や感情」である点に違いがあります。
前述の通り、コールリーズン分析は、問い合わせの傾向を把握した上でオペレーターサービスの向上や業務の効率化をかなえるための手法です。
一方で、VOC分析は顧客が抱える要望をくみ取り、マーケティング戦略や商品・サービスの品質改善に活用することを目的としています。両者には、分析する目的に違いがあるといえるでしょう。
▼VOCについては下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
コールリーズン分析が必要な理由
コールリーズン分析が必要な理由は、下記の通りです。
- オペレーターの業務負担の軽減につながる
- サービスの改善に役立つ
- 対応の優先順位がつけられる
- 異常値を検出できる
- オペレーターの技術向上が見込める
それぞれの理由について、詳しく解説します。
オペレーターの業務負担の軽減につながる
コールリーズンを分析し、顧客が自ら課題を解決できる環境を作ることで、オペレーターの業務負担を抑えられます。
例えば、分析の結果「サービスの申し込み方が分からない」「商品の正しい使い方が分からない」という問い合わせが多いと判明した場合を考えてみましょう。公式サイトのFAQ（よくある質問）ページにサービスの申し込み方や商品の使い方を記載すれば、顧客は公式サイトを閲覧するだけで課題を解決できるようになります。
または、公式サイトにチャットボットを設置したり、コールセンターに自動音声対応システムを導入したりして、問い合わせ件数の多い課題の解決策を提示する方法もあります。顧客の自己解決を促し、オペレーターが対応する手間を減らすことで負担を軽減できるでしょう。
サービスの改善に役立つ
コールリーズン分析は、VOC（顧客の意見や要望）をより深く理解し、サービスを改善するために役立てられます。例えば、コールセンターでは商品やサービスに関する問い合わせのほか「電話がつながるまでに時間がかかる」「せっかくコールセンターに電話したのに、ほかの連絡先を紹介されてたらい回しにされた」といった意見が出ることも少なくありません。
コールリーズン分析によって顧客の要望を明確化し、対応策を講じることでコールセンターのサービス改善を実現できます。サービスのクオリティーが向上すれば、よりスムーズに自社商品を利用してもらうためのサポートが可能になるでしょう。
対応の優先順位がつけられる
コールリーズンの分析結果をもとに電話対応の優先順位をつけることで、効率的な課題の解決が可能になります。例えば、最も件数の多い問い合わせを優先上位に位置付けし、オペレーターのマニュアルに具体的な対応策を組み込めば、スピーディーにノウハウを習得できるようになるでしょう。
優先順位が高く、対応策が確立されている問い合わせは新人オペレーターに、優先順位が低いイレギュラーな問い合わせはベテランオペレーターに、といった割り振りもできます。
もちろん、全ての問い合わせに対応できる環境を整えるのが理想ですが、現実的には難しい場合がほとんどです。対応の優先順位をつけ、的確にオペレーターへ割り振ることで、業務の効率化が実現できます。
異常値を検出できる
対応完了までの平均時間をコールリーズンごとに分類することで、異常値の検出が可能になります。例えば、通常より対応時間がかかる問い合わせが明らかになった場合は、優先的に解決策を講じることで対応時間の短縮につなげられるでしょう。
「オペレーターだけで課題解決が難しい場合は、専門部署のスタッフがサポートに入る」など、対応フローの改善にも役立てられます。
異常値を検出するためには、対応完了までの平均時間だけでなく、平均通話時間・1時間当たりの対応件数・平均後処理時間も確認し、コールリーズンの全体像を把握することが大切です。迅速に異常値を検出してスピーディーに対応できる環境を整えておけば、オペレーターの負担や顧客のストレスを抑えられます。
オペレーターの技術向上が見込める
コールリーズン分析でくみ取った顧客のニーズは、オペレーターの技術向上に活用できます。例えば「いろいろな部署をたらい回しにされて、全く問題を解決できない」という顧客の意見がある場合は、オペレーターが適切な部署を案内できる体制を整えることが大切です。
「オペレーターの声が聞き取りにくく、何を言っているか分からない」という場合は、話し方のトレーニング方法を見直す必要があります。
また、コールリーズンをもとに講じた対策を新人オペレーター研修のマニュアルに組み込めば。現場に出る前に必要なスキルを身に付けられるでしょう。オペレーター全体の技術が向上し、スムーズな顧客対応が可能になることで、業務の効率化を実現できます。
コールリーズンの分析方法
コールリーズン分析を行う際は、基本的な流れを把握しておくことが大切です。ここでは、コールリーズンの分析方法を紹介します。顧客が求めるものを把握するための参考にしてください。
コールリーズンを収集する
コールリーズンを分析する際は、まずデータを収集する必要があります。コールリーズンの収集には、以下のシステムを使用するのが一般的です。
- CRM
- CMS
各システムの活用方法について詳しく解説します。
CRM
CRMとは、顧客の個人情報や購入履歴、問い合わせ内容といった情報を管理するシステムのことです。オペレーターがCRMに入力する問い合わせ内容をカテゴリー分けできるようにすれば、コールリーズンごとにデータを蓄積できます。コールリーズンのカテゴリーを設定しなければ画面をクローズできない仕様にすることで、対応漏れを防げるでしょう。
ただし、オペレーターにCRMの操作方法を覚えてもらう必要がある点には注意が必要です。事前に研修時間を設け、問題なくシステムを操作できる体制を整えてください。
CMS
CMSとは、コールセンターの運用管理システムのことを指します。着信数や対応時間、顧客対応の履歴といった情報の管理が可能です。
コールリーズンの収集には、CMSのCWC（Call Work Code）機能が役立ちます。CWCとは、事前にカテゴリー分けしたコールリーズンと電話機のボタンを連動させる仕組みのことです。通話後にCWCを設定したボタンを押すことで対応オペレーターや応答時間、通話内容などを記録できます。
ボタンを押すだけなので、オペレーターに負担をかけることなく情報を収集できるのがメリットです。ただし、ボタンを押し忘れるとデータを収集できないため、各オペレーターにしっかりと周知する必要があります。
パレート図を用いて分析する
パレート図とは「上位20％が全体の構成要素の80％を占める」という「パレートの法則」に基づいた図のことを指し、コールリーズンの優先順位をつける際に役立ちます。コールリーズンにはさまざまな種類があるため、優先順位をつけて重要度の高いものから対応することが大切です。
まず、パレート図の横軸には件数の多いコールリーズンから順番に棒グラフを並べます。次に、件数の多いコールリーズンから順番にパーセンテージを算出し、縦軸に折れ線グラフを記入してください。折れ線グラフが80％に達した部分がコールリーズンの上位20％になります。
このように図式化することで、全体の上位を占めるコールリーズンが可視化され、顧客が抱える課題を明確にできます。優先順位の高いコールリーズンから改善策を講じることで、より迅速な対応が可能になり、オペレーターの負担軽減にもつながるでしょう。
▼オペレーターの負担軽減の方法については、別の記事でもご紹介していますので、併せてご覧ください。
分析したコールリーズンの活用方法
分析したコールリーズンは、さまざまな場面で役立てられます。主な活用方法は、以下の通りです。
- 商品・サービスの品質を高める
- FAQやチャットボットの設置
- トークスクリプトの改善
- IVRフローの修正
それぞれについて、詳しく解説していきます。
商品・サービスの品質を高める
コールリーズンの分析結果から顧客のニーズをつかむことで、商品・サービスの品質を高められます。VOC分析でも顧客のニーズを把握できますが、顧客が商品・サービスに対して意見や要望を抱くようになった理由が分からないと、改善策を立案するのは困難です。VOC分析にコールリーズン分析を加えることで、具体性のある改善策を検討できるようになります。
しかし企業によっては、コールリーズンの分析結果をコールセンターから他部署へ共有できていない場合も少なくありません。定期的にミーティングを開くなど、他部署と連携しやすい仕組みを作ることが大切です。
FAQやチャットボットの設置
コールリーズンを分析した結果、オペレーターが対応する必要のない問い合わせが明らかになった場合は、顧客が自己解決できる仕組みを作ることが大切です。例えば、よくある質問をまとめたFAQを、公式サイトに設置する方法があります。
ほかには、AI機能を搭載したチャットボットを導入する方法も効果的です。公式サイトを閲覧するだけで課題を解決できるようにすることで、顧客は24時間いつでも適切なサポートが受けられます。
自己解決の仕組みが確立された環境が整えば、本当にオペレーターが必要な問い合わせのみに集中できるため、業務負担を軽減できるでしょう。
トークスクリプトの改善
コールリーズン分析から、顧客が困っていることや求めているものが明らかになった場合は、トークスクリプトの改善に活用できます。
顧客の課題やニーズは、社会動向や環境の変化などによって変わるため、トークスクリプトは定期的に見直すことが重要です。最新の分析結果をトークスクリプトに反映させることで、より顧客に寄り添った内容にブラッシュアップできます。
顧客のニーズとマッチしたトークスクリプトがあれば、新人オペレーターが戸惑う場面も少なくなり、的確かつ迅速に対応できるようになるでしょう。
IVRフローの修正
トークスクリプトと同様に、IVR（自動音声応答システム）も時間の経過とともにコールリーズンとマッチしない内容になっている可能性があります。分析結果をもとに「必要のない項目を消してニーズの高い項目を新たに追加する」「アナウンスの順番を入れ替えて分かりやすくする」などの修正を行いましょう。
分析の結果、顧客の自己解決が可能な問い合わせが多いと判明した場合は、ビジュアルIVRを導入するのも一つの方法です。ビジュアルIVRとは、ウェブサイトやアプリで音声案内を可視化し、視覚的なメニューを使って課題解決に導くシステムを指します。メニューをクリックするだけでFAQなどへ誘導できるため、オペレーターの負担を軽減できるでしょう。
FAQシステムは「Helpfeel」がおすすめ
コールリーズンの分析結果を生かし、オペレーターの業務改善・サービスクオリティーの向上を目指す場合は、FAQシステム「Helpfeel」の導入を検討してください。
Helpfeelは、独自の検索技術を搭載したFAQシステムで、顧客が求める情報を的確かつ迅速に提供します。欲しい回答が必ず見つかるため、問い合わせ数の削減を実現できます。問い合わせ自体が減る結果、「カスタマーセンターに電話がつながらない」「オペレーターの返事が遅い」といった顧客のストレスを抑えられるのが特徴です。
Helpfeelによって同じような内容の問い合わせが減れば、オペレーターの負担が軽減され、業務の効率化にもつながります。顧客対応を改善するためにFAQシステムを導入したいと考えている方は、ぜひHelpfeelを試してみてください。
まとめ：コールリーズンを分析して顧客満足度の向上を図ろう
今回は、コールリーズンの意味や必要な理由、分析方法について解説しました。コールリーズンは、顧客が抱えている課題を明らかにするために必要な指標です。コールリーズンを分析することで解決すべき課題が明確になり、オペレーターの業務負担軽減やサービスの改善などにつなげられます。
コールリーズン分析を行った後は、FAQやチャットボットを設置し、顧客が自己解決できる環境を整えることが重要です。スムーズに課題を解決し、顧客の満足度を向上させるためにコールリーズンを活用しましょう。
