チャットボットとは
チャットボットとは「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせた用語で、自動でユーザーからの質問に回答するシステムのことです。
お客様や取引先など社外からの問い合わせに対応する「社外ヘルプデスク」や、従業員からの問い合わせに対応する「社内ヘルプデスク」などで使用されています。
チャットボットは3種類。生成AIを活用したチャットボットが徐々に普及
チャットボットは主に以下の3種類に分けられます。
- 従来型のAIチャットボット:AI関連技術を搭載したチャットボット。質問文に応じて、事前に人がチェックした回答文が柔軟に表示される
- 生成AIチャットボット:生成AI技術を搭載したチャットボット。質問内容に応じて、AIが考えた回答文が表示される
- シナリオボット:あらかじめ設計されたシナリオ通りの動作を実行するチャットボット。シナリオに沿った回答が表示される
上記のうち、特に導入が増えているのが生成AIチャットボットです。生成AIの進化に伴い、公式サイトに搭載して社外ヘルプデスクとして機能させたり、社内ヘルプデスクとして導入したりする事例が増加しています。
社内ヘルプデスクとは
チャットボットの主な用途のひとつが、社内ヘルプデスクです。社内ヘルプデスクとは、従業員からのIT関連の問い合わせに対応する業務のこと。
例えば「ツールの使い方を教えてほしい」「パソコンがフリーズした」「システムにログインできない」などの問い合わせに対して、問題が解決するまで適切な回答・サポートを行います。
社内SEとの違い
社内ヘルプデスクと社内SEの違いは業務内容です。前者は従業員からのパソコンや周辺機器に関する問い合わせに対して窓口対応するのが主な仕事です。一方後者は、社内システム開発を担っています。
ただし、企業によっては両者に明確な違いを設けず、「社内ヘルプデスク=社内SE」という位置付けで、社内ヘルプデスクもしくは社内SEがITサポートから社内システム開発まで幅広く業務を行っているケースもあります。
社内ヘルプデスクにおける「よくある課題」
社内ヘルプデスクに関して、多くの企業が直面している課題は何でしょうか。ここでは、社内ヘルプデスクにおける「よくある課題」を3つ解説します。
対応業務が多く、社内ヘルプデスク業務に集中しにくい
社内ヘルプデスクは、従業員からのIT関連の問い合わせ対応だけでなく、PC機器の管理やセッティング、各種アカウント設定・管理など、多様なITサポート業務も並行して行っています。そのため、ITサポート業務が立て込んでいる場合は社内ヘルプデスク業務に集中できず、対応が後手に回りがちになってしまいます。
迅速な対応を急に求められる
社内ヘルプデスクへの問い合わせの中には、「ネットワークにつながらない」「システムにログインできない」など、迅速な対応を求められるものもあります。こうした緊急性の高い問い合わせが同時に複数寄せられてしまうと、社内ヘルプデスク担当者は予定していた業務を進めることが難しくなり、業務が滞りがちになります。
さらに、いつ急な対応を求められるのかわからない状況では、仕事の見通しを立てにくく、常にストレスを抱えながら仕事を進めなければなりません。
同じような質問に何度も回答。モチベーションが維持しにくい
従業員がぶつかりがちな問題や課題は似ているため、「同じような問い合わせを何度も受けてしまう…」という社内ヘルプデスクは案外多いです。しかし、同じような受け答えを繰り返していると、担当者のモチベーション低下を招く恐れがあります。
これを打開しようと、社内ヘルプデスクから「社内wikiや社内FAQを整備したい」などとリクエストをしても、予算の都合などから実現されない場合もあるでしょう。しかし状況を改善できないと、担当者が離職してしまう事態にもなりかねません。
社内ヘルプデスクにチャットボットを導入するメリット
こうした課題を解決し得る手段として、チャットボットの導入が挙げられます。ここでは社内ヘルプデスクにおけるチャットボット導入のメリットを4つ解説します。
社内ヘルプデスクの業務負荷を軽減できる
チャットボットの導入により、基本的な疑問はチャットボットで自己解決してもらえるようになります。パスワードのリセット手順やシステムへのログイン方法、アプリのインストール方法など、定型的な業務に関する質問をチャットボットに回答してもらうだけでも、社内ヘルプデスク担当者の業務負荷は一定軽減することでしょう。
また、担当者に寄せられる問い合わせ数が減ること自体も、業務負荷軽減につながります。そのほか、同じような質問を寄せられることも減り、担当者のストレスも緩和することでしょう。
よくある質問に自然な会話で回答してくれる
チャットボットは、従業員からよく寄せられる質問やすでに回答が用意されている質問などに対して、自然な会話で回答します。AI技術を搭載したチャットボットであれば、あいまいな質問やワンフレーズを入力するだけでも、会話をしながら的確な回答に導いてくれるでしょう。
このように、自然な会話形式で回答を表示してくれるチャットボットは、業務マニュアルで検索するよりも、ほしい情報を簡単に得ることが可能です。
人に聞きにくいことも質問できる
同じ質問や基本的な質問など、人に聞きにくい質問であっても、チャットボットであれば気にせず質問をすることができます。それに相手がチャットボットであれば、どのように質問するのかを事前に考える必要もありません。
チャットボットの活用により、社内ヘルプデスク担当者だけでなく質問者のストレスも低減することでしょう。
データの蓄積や分析が可能
チャットボットには回答率や解決率、有人対応をした件数、利用満足度など、さまざまなデータが蓄積されます。これらのデータを分析することで、社内ヘルプデスクの改善につなげることができます。
例えば満足度や解決率が低い回答の精度を上げることで、よりチャットボットの利用率を向上させることができるでしょう。
チャットボット導入・運用のポイント
スムーズにチャットボットを導入し、効率的に運用するためのポイントを3つ解説します。
チャットボット導入の目的やゴールを明確化する
チャットボット導入時には、導入目的やゴールをあらかじめ設定しておくことが大切です。導入目的・ゴールが明確になるほど、自社に必要な機能・特徴を搭載したチャットボットを導入できる可能性が高まります。
また「有人対応率を70%削減する」「正答率85%を目指す」など、具体的なゴールを設定しておくことで、導入後に運用の改善点を洗い出しやすくなり、よりよいチャットボット運用を実現しやすくなります。
チャットボット運用に必要なデータを漏れなく用意する
チャットボットの構築に当たり、既存マニュアルや社内FAQなどから問い合わせに関連する情報を集めたり、過去に寄せられた問い合わせ履歴を分析したりして、チャットボット運用に必要なデータを収集しましょう。
場合によっては、他部署にも協力をお願いする必要もあります。また従業員が求める情報やよく直面する問題を分析するために、従業員アンケートを実施するのも有効です。
学習データは多ければ多いほど、受け答えの精度は高まります。上記のようなさまざまな手法を駆使して、チャットボットに学習させるデータを漏れなく用意するようにしましょう。
利用状況を把握・分析し、運用を改善する
チャットボットは利用状況を踏まえた改善作業が必須です。「満足度の低い回答が多い」「誤解を招く回答が多く、解決率が低い」などの状況が常態化すると、従業員のチャットボット離れが起こり、社内ヘルプデスク部門の業務負荷は低減しません。「チャットボットを導入すればすべて解決する」と思わず、導入後の改善作業にも注力しましょう。
チャットボットやFAQシステムで、社内ヘルプデスクを改善しよう
社内ヘルプデスクにチャットボットを導入することで、社内ヘルプデスク担当者の負担軽減が期待できます。また「対応業務が多く、ヘルプデスク業務に集中できない」「同じ質問に何度も繰り返し答えている」といった、社内ヘルプデスク部門が抱えがちな課題の改善も見込めるでしょう。
一方、社内ヘルプデスクの改善には、AIを活用したFAQシステムの活用も有効です。社内向けFAQとして「Helpfeel」を活用した実績として、1ヶ月で社内の問い合わせ数が約25%減!1年後の社内利用者数5.2倍などの実績があります。
従業員の質問に対して迅速かつ最適な回答を提示できるため、チャットボットと併せて社内ヘルプデスク改善のためのツールとして、社内FAQシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。