カスタマーエフォートスコア(CES)とは?
カスタマーエフォートスコアとは、日本語に直訳すると「顧客努力指標」という言葉になります。具体的に言えば、自社の商品やサービスを購入・利用するに至るまで、顧客がどれだけの手間や労力をかけたのかを示した指標です。
例えば、サービスについて質問しようと顧客がカスタマーセンターに問い合わせようとした際に、カスタマーセンターにつながる電話番号を探す手間や自動音声から担当者につながるまで時間がかかったとなると、それだけ顧客は多くの手間と時間をかけたことになります。さらに、問い合わせたにも関わらずその場で解決しなかったり、たらい回しにされたりすることもあるでしょう。
顧客にとって商品・サービスを利用する際に発生した手間や労力は、ストレスに直結してしまいます。そのため、CESを減らすことが重要となってきます。
CESとNPSの違い
CESと似た言葉として「NPS」があります。NPSとはネット・プロモーター・スコアの略称で、顧客が企業・ブランドに対して抱いている信頼度やロイヤリティの程度を示す指標です。2003年に初めて発表され、AppleやGEなどの大手企業が有効性を証明したことから、世界中に拡大していきました。
CESは顧客がかけた労力や手間を示すもので、NPSは顧客からの愛着を示すものであり、いずれも事業を評価する際の重要な指標となりますが、反対の性質を持っていると認識しておきましょう。
CESとCSATの違い
CSATとはカスタマーサティスファクションの略称で、顧客満足度を示した言葉です。自社の商品・サービスを利用した人に調査を実施し、どの程度満足したかを計測します。CSATの計測によって顧客やユーザー獲得につなげるための指針を設けられたり、集客コストの削減や収益の向上、安定性につながったりします。
CESは顧客が商品やサービスを購入する前のことを計測していますが、CSATの場合は商品やサービスを実際に利用してみて満足したかを計測するものです。
CESは顧客が商品・サービスに対して満足したかを図る指標ではなく、比較的ネガティブな部分を把握する際に適している指標と言えます。
カスタマーエフォートスコア(CES)が重要である理由
CESを活用して顧客の手間や労力を測るのには理由があります。なぜCESが重要となっているのか、その理由は以下のとおりです。
- 顧客満足度向上が図れる
- リテンション率の改善や顧客離脱の防止につながる
- 企業利益と顧客ロイヤリティが向上する
顧客満足度向上が図れる
CESは顧客が商品・サービスを購入するプロセスの中で、具体的にどのような問題点があるのかを発見でき、解決することも可能です。つまり、顧客にとって満足度の高いサービスの提供につながります。
例えば、これまでは商品・サービスを利用したくても、さまざまな手間と労力が影響して途中で購入をやめようと思ってしまうかもしれません。しかし、多くの顧客にとって満足度の高いサービスを提供し続ければ、顧客満足度の向上も図れるようになるでしょう。
企業によっては顧客にとってポジティブな部分を増やせば問題ないだろうと考えてしまいがちですが、ネガティブな部分を改善していった方が顧客満足度は向上する可能性があります。どこにネガティブな問題点があるかを見つけるためにも、CESは重要となってきます。
リテンション率の改善や顧客離脱の防止につながる
CESは顧客のリテンション率にも大きく関係しています。リテンション率とは既存顧客維持率を指す言葉であり、サービスの継続・定着を数字で表したものです。リテンション率が高ければ多くの既存顧客が商品やサービスの継続・定着していることになります。
逆にリテンション率が低下してしまうと不満を持ったユーザーが解約・退会などを行い、離れてしまっていることになります。特にサブスク形式での料金体系を取り入れている企業にとって、リテンション率の低下は経営にも大きな打撃につながる恐れもあるでしょう。
CESを計測するとユーザーが手間と労力をかけている部分がわかり、その箇所を改善することで顧客の満足度も上がりやすくなります。顧客の満足度が上がればリテンション率も高くなり、顧客離脱を防ぐことも可能です。
企業利益と顧客ロイヤリティが向上する
CESの改善によってリテンション率の改善や顧客離脱の防止につながれば、単純に企業としての利益も増加していくものです。また、顧客ロイヤリティの向上にもつながります。
顧客ロイヤリティは顧客満足度とは異なり、企業やブランドに愛着や信頼を抱いているかを示すものです。顧客が企業またはブランドに対して愛着を持っていれば、別の商品・サービスも利用してもらえる可能性が高まります。
事業を展開するにあたって利益を上げていくためにもリピーターの存在は重要です。CESは企業利益と顧客ロイヤリティの向上にも貢献してくれるでしょう。
カスタマーエフォートスコア(CES)の計測方法
CESを計測するためには、ユーザーが自社の商品・サービスを利用した直後にアンケート調査を行い、意見を収集していくのが一般的です。アンケート調査では「商品・サービスを利用する際に、どれくらいの負担を感じましたか?」と質問し、どの程度の努力が必要だったかを7段階に分けて尋ねます。一般的なのは7段階ですが、場合によっては5段階や11段階(0~10)で尋ねる場合もあります。
アンケートの回答が出たら、「まったく負担がなかった」「負担がなかった」の上位2区分の回答割合をまず求めていきます。さらに、「少し負担に感じた」「負担があった」「とても負担があった」の下位3区分の回答割合も求め、上位2区分の回答割合から差し引きます。例えば、上位2区分の割合が35%、下位3区分の割合が20%だったとすると、35%-20%=15%がCESの数値です。
なお、CESを計測する際には、アンケートに自由回答の欄も設けてみましょう。自由回答欄を設けておくと、具体的にどのような部分で負担を感じたか、どこで躓いたり面倒に感じたりしたのかを回答してもらえると、CESを改善する際にも役立ちます。
カスタマーエフォートスコア(CES)が悪化してしまう要因
CESは低い数値を保つことが重要となってきますが、数値が高くなり悪化してしまう場合もあります。その要因として考えられるのは、以下の3点です。
- 商品やサービスが使いづらい
- 営業や広告に対する不快感
- サポート対応の遅延や不十分な対応
商品やサービスが使いづらい
アンケートに回答してもらうタイミングは、すでに商品・サービスを購入して利用している段階になります。そのため、購入するのに時間や労力をかけたにも関わらず、使い方がいまいちわからないと、その商品やサービスに対して不満やストレスを抱えてしまうことになるでしょう。商品やサービスが使いづらいことが負担と感じれば、アンケート調査でも「少し負担に感じた」「負担があった」「とても負担があった」の下位3区分の割合が上がってしまうはずです。
また、一つひとつの操作はわかりやすかったり、きちんとマニュアルを用意したりしていても、手順があまりに多いことでCESは上がってしまいます。
営業や広告に対する不快感
営業や広告に対して不快感を示す人が多いと、CESも増えやすくなります。例えば、自社の商品・サービスを売り込みたいからといって、顧客に対して何度もアプローチをかけたり、広告を多く流したりすると、顧客側は不快感を示す傾向にあります。
多くの企業も取り入れているダイレクトメール・営業電話などの販促方法も、一歩間違えてしまうとCESが悪化してしまう要因につながりかねないので、やり方には注意が必要です。
サポート対応の遅延や不十分な対応
CESはサポート対応の遅延や不十分な対応によっても悪化しやすいです。例えば、商品についてわからないことがあり、カスタマーセンターに電話で問い合わせたところ、営業時間内であるにも関わらず一向につながらない場合、顧客は不満を感じやすくなります。
また、カスタマーセンターのオペレーターが早口で、顧客が聞き取れないケースもあるでしょう。オペレーターは1日に何人もの顧客を相手に応対する必要があるため、早口になってしまうこともあるかもしれませんが、丁寧な応対を意識しないと不十分な対応としてみなされてしまいます。
カスタマーエフォートスコア(CES)を改善する方法
悪化したCESを改善するには、まずは原因を突き止めて適切な改善方法を取り入れる必要があります。具体的な改善方法として挙げられるのは、以下の3点です。
- シンプルでわかりやすいサービスの提供
- オペレーターの教育とサポートプログラムの改善
- FAQを充実させ、チャットボットの導入を検討する
シンプルでわかりやすいサービスの提供
そもそも商品やサービス自体がわかりづらく、使いづらいものになっていればCESは一向に改善されません。そのため、商品・サービスを開発する際には「シンプルでわかりやすい」を意識することが大切です。
また、顧客が負担に感じるほど操作が多いことがわかった際には、操作手順をすべて洗い出し、どこか手順を短縮できないかを検討する必要もあります。例えば、ECサイトで商品をかごに追加し、購入手続きを行うときに氏名や住所などを毎回入力するのは面倒です。そのため、アカウント登録してもらうことで2回目以降に情報入力の手間が削減されれば、CESの改善にもつながります。
オペレーターの教育とサポートプロセスの改善
顧客の労力を軽減させる上で、オペレーターの応対も重要となってきます。オペレーターが丁寧に応対しないと問題解決につながらず、顧客は何度も問い合わせをすることになってしまいます。オペレーターの応対を改善させるためには、再度教育が必要です。
オペレーターの教育として有効なのは、通話のモニタリングになります。録音した通話を元に、どのように応対するべきなのかを学んでいきます。オペレーターが他のスタッフに通話を共有したくないという場合には、マンツーマンでのフィードバックセッションを取り入れてみましょう。
また、オペレーターの教育だけでなく、サポートプロセス自体も見直し改善を図ることが大切です。例えば、サポート担当者が顧客とスムーズにやり取りができ、素早く対応できるようカスタマーサポートツールを導入するなどです。サポートツールの導入によって業務が効率化するだけでなく、サポートの質も向上しCESの改善につながります。
FAQを充実させ、チャットボットの導入を検討する
いくらカスタマーサポートを充実させたとしても、営業時間外に顧客から質問などがあった場合の対応は困難です。24時間365日対応のカスタマーセンターを設けることも可能ですが、人件費なども含め莫大なコストが発生する可能性もあります。
しかし、顧客から届いた声やアンケートの結果なども参考にしつつ、自社サイトにFAQページを設けることで、顧客はいつでも好きなタイミングで自己解決ができます。わざわざ問い合わせる必要もないため、顧客のかかる労力も減らせるのがメリットです。
また、FAQページを設けるだけでなく、自社サイトにチャットボットを導入するのもおすすめです。チャットボットの導入によって、簡単な質問に対して素早く回答できます。顧客が自己解決できるサイト・ツールを充実させていくことで、CESを改善しつつ企業側の負担も軽減されるでしょう。
FAQシステムなら「Helpfeel」がおすすめ
CES改善に向けてFAQシステムの導入をお考えの方は、「Helpfeel」の導入をご検討ください。Helpfeelは検索型のFAQシステムで、AIと特許技術の活用により、顧客のさまざまな表現にも対応できます。また、Helpfeelは問い合わせフォームにも埋め込むことが可能です。ユーザーは問い合わせを送信する前に答えにたどり着けるため、お問い合わせ数の削減とユーザー体験の向上にもつながります。
さらに、FAQの利用状況を分析するレポート機能も備わっており、実際にユーザーがどのような部分で特に困っているのかが見えてきやすいです。その結果、FAQページがより充実していき、CES改善や顧客満足度の向上にも貢献するでしょう。
CESを改善させるためにFAQページを充実させたい、FAQシステムを導入したいとお考えの方は、ぜひHelpfeelをお試しください。
まとめ:カスタマーエフォートスコア(CES)を改善し顧客満足度の向上を図ろう!
今回は、CESとは何か、計測方法や改善方法についてご紹介してきました。CESは、顧客が商品やサービスを利用するためにどれだけの手間や労力をかけたのかを示すための指標です。CESの改善によって顧客満足度やリテンション率、顧客ロイヤリティの向上が図れます。
CESの改善にはシンプルでわかりやすいサービスの提供や、オペレーターの教育なども必要ですが、FAQを充実させつつチャットボットの導入を目指す方が効率的にCES改善に貢献できます。顧客満足度の向上や安定した利益を生み出すためにも、CESの改善を図りましょう。