社内DXとは?
「社内DX」とは、デジタル技術を活用して社内業務の効率化や組織体制の変革を目指す施策のことです。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略であり、システムインフラの再構築によってビジネスモデルや業務プロセスの変革を目指す施策を意味します。
社内DXで実現可能な事例は、以下の通りです。
- リモートワーク
- オンライン会議
- インターネットバンキング
- クラウドストレージによる書類のペーパーレス化
- 勤怠管理・顧客管理の自動化
- RPA(ロボットによる業務自動化システム)を活用した業務の効率化
- ナレッジ集約と検索精度の改善による生産性向上
社内DXで業務が効率化すれば、人材や時間の無駄を削減でき、生産性の向上につなげられます。また、業務の自動化によってヒューマンエラーも削減できるでしょう。
社内DXを推進する主な目的
社内DXを推進する目的は、以下の通りです。
- DX推進につながる
- 人材不足の解消
- 多様な働き方への対応
- BCP対策
社内DXは、さまざまな面で企業にメリットをもたらします。主な目的について、詳しく見ていきましょう。
DX推進につながる
社内DXで小規模なデジタル化からスタートすることで、企業全体のDX推進につなげられます。経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によると、DXに関する課題を解決できない場合、2025年以降に最大12兆円//年の経済損失が生じる恐れがあるといわれています。
出典:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
しかし、DXによって企業全体のビジネスモデルや業務プロセスを一新するのはハードルが高く、具体的な施策をイメージできない場合も少なくありません。まずは身近なところから社内DXを始めることで、デジタル技術に対する従業員全体の意識を高め、DX推進の基盤をつくることが大切です。
人材不足の解消
社内DXによる業務の効率化は、人材不足の解消にもつながります。近年、幅広い職種で人手不足が問題視されるようになりました。少子化による労働人口減少で人材不足が進めば、生産性にも大きな影響を及ぼしかねません。
社内DXでシステムを刷新し、デジタル化を進めれば、少人数でも業務を行えるようになります。デジタル技術の発展により専門的な知識がなくても扱えるシステムが増えているため、人材不足解消の強い味方となるはずです。
また、デジタル化は業務の効率化だけでなく、ヒューマンエラーの減少にも役立ちます。人によるミスが減れば、生産性の向上も期待できるでしょう。
多様な働き方への対応
労働人口減少の問題を解決するためには、社内DXによって多様な働き方に対応することも重要です。例えば、テレワークを導入してオフィス以外でも勤務できるようにした場合、以下のような効果が期待できます。
- 通勤時間が削減され、従業員の負担が軽減される
- 仕事に集中できる環境を自ら選べるようになるため、業務が効率化する
- 介護や育児などを理由とした離職を防止できる
- オフィスから離れた場所に住んでいる優秀な人材が確保できる
デジタル技術を活用して誰もが働きやすい環境をつくれば、従業員の負担軽減や業務の効率化、人材の確保につなげられるでしょう。
BCP対策
「BCP(Business Continuity Planning、事業継続計画)」とは、システム障害や災害が生じた際に重要性の高い業務を継続するための計画を指します。日本は台風や地震などの災害で業務に支障が出る可能性が高いため、BCP対策が重要視されるようになりました。
例えばテレワークの環境を整えておけば、災害で交通機関に乱れが生じ、オフィスへの出社が困難になった場合も自宅で業務を遂行できます。一方、BCP対策が取られていない場合は業務が停滞し、取引先や顧客に迷惑をかけてしまうでしょう。
社内DXにより、万が一の事態にも対応できる状態をつくることが重要です。
社内DXの進め方5ステップ
社内のDXを進めるための5ステップは、以下の通りです。
- DX対象業務を明確化する
- DX推進体制を整える
- 業務のデジタル化・クラウド化を実施する
- IT人材を育成・確保する
- ITツールを導入する
それぞれについて詳しく解説します。
Step1. DX対象業務を明確化する
最初に、社内DXの対象となる業務を明確化します。遅滞することの多い業務や不要なタスクを洗い出し、社内DXを適用すべき範囲を決めてください。
対象業務が複数にわたる場合、同時にデジタル化を進めようとすると、何がどこまで進んでいるのか把握しにくくなります。そのため、対象業務を明確化した後は優先順位を決めて順番に対処していくことが大切です。
例えば「重要度が高く、デジタル化の難易度が低い業務を優先上位にする」などの基準を設けて順位をつけるとよいでしょう。優先すべき業務が明らかになれば、効率的にデジタル化を進められます。
Step2. DX推進体制を整える
社内DXを実現するには、組織体制を整備する必要があります。まずは、リーダーとなる担当者を決めてください。担当者を中心に社内DXに必要な知識やITツールを明確化し、プロジェクトを推進します。
また、説明会などで社内DXに関する情報を従業員に周知することも重要です。社内DXにおいては「今の業務フローを変えたくない」「デジタル化は面倒そう」などの理由から従業員の反発が生じる場合も少なくありません。
自社で社内DXを進めるべき理由が明確になれば、従業員の理解が深まり、デジタル化に取り組みやすい組織体制を整備できます。
Step3. 業務のデジタル化・クラウド化を実施する
次に、業務をデジタル化します。今まで手作業で行っていた業務をデジタル化するところから始めれば、無理なく社内DXを推進できるでしょう。
具体的なデジタル化の事例は、以下の通りです。
- 書類のデータ化
- 契約手続きの電子化
- ルーティンワークの自動化
また、業務環境をクラウド化する必要もあります。クラウドとは、インターネットを通じてサーバーにアクセスし、ソフトウェアなどを利用する仕組みのことです。必要なファイルやナレッジをクラウド化しておくことで、場所や時間、端末を問わず業務環境へのアクセスが可能になり、リモートワークの推進につなげられます。
Step4. IT人材を育成・確保する
IT人材の確保には「新たなIT人材を採用する方法」と「社内でIT人材を育成する方法」があります。IT人材を新たに採用する場合は、過去に社内DXを担当した経験がある人を選びましょう。
社内DXでは自社の業務内容を理解しておく必要があるため、即戦力となる人材を確保するなら同じ業界で働いた経験のある人を選ぶのがおすすめです。また、経済産業省「IT人材育成の状況等について」によると、2030年までのIT人材の不足数を推計した場合、40〜80万人規模でIT人材が不足するとされています。
出典:経済産業省「IT人材育成の状況等について」
そのため、採用活動だけでなく、社内でIT人材を育成することも大切です。社内研修やeラーニングなどを活用し、人材育成に努めてください。
Step5. ITツールを導入する
社内DXを進めるためには、ITツールを導入する必要があります。主なITツールの事例は、以下の通りです。
- テレワークシステム
- オンライン会議システム
- オンラインバンキングツール
- タスク管理ツール
- マニュアル作成ツール
- 社内FAQツール
- 会計ソフト
- 経費精算システム
- 人事管理システム
このように、ITツールにはさまざまな種類があり、それぞれ使用目的が異なります。まずは、優先順位の高い業務に活用できるツールを導入しましょう。
ツールを選ぶ際は、自社のシステムと親和性が高く、初心者でも使いやすいか確認することが大切です。使い勝手の悪いシステムは業務効率を下げるため、注意してください。
社内DXを推進するときのコツ
社内DXを推進するときは、以下を意識してください。
- 全社で取り組む文化を醸成する
- ITツールは導入で終わらせずに運用体制を構築する
- スモールスタートで始める
どのような点に注意すべきか確認し、社内DXの失敗を防ぎましょう。
全社で取り組む文化を醸成する
社内DXは、企業を構成する全従業員が取り組むべき課題です。一部の担当者や部署に任せきりにするのではなく、企業全体で社内DXを推進する文化をつくる必要があります。
例えば、デジタル化に当たっては業務プロセスの変更に反発する従業員が出るかもしれません。説明会を開催し、社内DX導入の背景や理由を理解してもらうことが大切です。従業員一人ひとりの理解を深めることで、当事者として社内DXの推進に取り組めるようになります。
全従業員に社内DXの意識が浸透すれば、DXに強い組織の形成も可能です。中長期にわたって社内DXを継続するために、従業員への周知に努めましょう。
ITツールは導入で終わらせずに運用体制を構築する
社内DXは、ITツールを導入すれば終わりではなく、継続的な運用体制を構築する必要があります。例えば、紙の書類をスキャンしてデータ化しただけでは、業務プロセスが改善したとはいえません。クラウドシステムに書類データを保存し、従業員がいつでも安全にアクセスできる環境をつくることで、業務の効率が向上します。
さらに、データ入力や承認プロセスを自動化すれば、ヒューマンエラーや作業負担を減らせるでしょう。このように、業務プロセスを改善するための運用体制を整えることが社内DXの目的達成につながります。
スモールスタートで始める
社内DXは、小規模なところから始めることが重要です。例えば、ITツールの導入やシステム開発には費用がかかり、IT人材の育成・確保には時間を要します。また、いきなり大幅な業務プロセスの改革を進めると、従業員に大きな負担をかけることになるでしょう。
なるべく負担をかけずに社内DXを推進するためには、書類のデータ化やクラウド化など、コストとリソースを抑えられる施策からスタートするのがおすすめです。まずは小さな業務からデジタル化を進め、段階的に業務全体のプロセスを改善していけば、無理のない範囲で社内DXが実現できます。
社内DXに役立つツール
社内DXに役立つツールは、以下の通りです。
- オンライン会議システム
- ビジネスチャットツール
- ワークフローシステム
- 人事労務システム
- 社内FAQシステム
それぞれの概要や、業務への活用方法について解説します。
オンライン会議システム
オンライン会議システムとは、パソコンやスマートフォンなどを使い、遠隔地にいる相手と会議するためのシステムです。インターネットを使用できる環境であれば、場所を選ばずオンラインで会議を開催できます。
会議だけでなく業務連絡や上司への相談にも活用できるため、テレワーク中の従業員と意思疎通を図る際に役立つでしょう。
代表的なツールは、以下の通りです。
- Google Meet
- Zoom
- Microsoft Teams
ビジネスチャットツール
ビジネスチャットツールとは、社内外の人とリアルタイムで文字のやり取りができるツールです。ファイルの共有や利用者権限の管理など、ビジネスに特化した機能が搭載されています。
一対一のやり取りだけでなく、複数人が参加できるグループチャットの作成も可能です。プロジェクト別のグループチャットを作成した場合、必要な情報を共有したり、タスクを管理したりといった方法で業務に活用できるでしょう。
代表的なツールは、以下の通りです。
- Slack
- Chatwork
ワークフローシステム
ワークフローシステムとは、業務の流れ(ワークフロー)を自動化するシステムです。休暇取得申請や出張申請、契約書締結申請、経費申請など、一定のワークフローが決まっている業務に適用することで、申請から承認までの作業を効率化できます。
クラウド型のワークフローシステムなら、場所を選ばず申請書の閲覧や承認が可能です。外出中の従業員やテレワーク中の従業員もオフィスに出社することなく申請・承認を完了できるため、多様な働き方に対応する際にも役立ちます。
人事労務システム
人事労務システムとは、人事労務の業務を一元管理できるシステムです。人事労務は入社・退社手続きや年末申請、給与明細の発行、従業員情報の管理など、多岐にわたる業務を担当します。それぞれの業務で異なるシステムを使用すると管理が煩雑になり、業務の遅れにもつながるでしょう。
人事労務システムによって各業務を一元管理することで、作業効率が向上します。また、人事に関連したデータを集約・分析すれば、人事評価への活用も可能です。
社内FAQシステム
社内FAQシステムとは、社内のよくある質問と回答を整理し、従業員の自己解決を促すシステムのことです。従業員に業務上の疑問が生じた場合、社内FAQシステムにアクセスするだけで自己解決できるため、各部門の担当者がメールや電話で対応する手間を減らせます。
また、担当者の不在や回答の遅れによって疑問の解決までに時間がかかる事態も防げるでしょう。社内FAQシステムにベテラン従業員の知識やノウハウをナレッジとして保存しておけば、他の従業員と共有したり、新人研修に活用したりできます。
社内FAQシステムは「Helpfeel」がおすすめ
前述の通り、社内FAQシステムは従業員の自己解決率を上げるためのシステムです。自ら疑問やトラブルを解決できる環境をつくることで、社内の問い合わせ数が減り、従業員は本来の業務に集中できるようになります。
社内のナレッジマネジメントやFAQを導入するなら「Helpfeel」がおすすめです。スペルミスや曖昧な表現にも対応し、従業員の自己解決を促す仕組みを提供します。
「Helpfeel」導入翌月に問い合わせ数が25%減少した事例もあり、社内の問い合わせが多くなりやすいバックオフィス部門の負担軽減に役立つでしょう。社内DXによる業務効率化の一環として、ぜひ「Helpfeel」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ:システムを導入してオペレーター業務の効率化を図ろう!
社内DXは、人材不足の解消や多様な働き方への対応、BCP対策などを実現するために必要な施策です。まずは小規模な社内DXからスタートし、段階的に業務プロセスを改善することで、無理なく業務の効率化をかなえられます。社内DXを通じて従業員のIT意識が高まれば、企業全体のDX推進につながるでしょう。