タッチポイントとは「顧客との接点」のこと
「タッチポイント」とは、企業・商品・サービスにおける、顧客との接点のことです。日本語では顧客接点と呼ばれることもあります。
ここでは、タッチポイントには具体的にどのようなものがあるのか、チャネルとはどのように異なるのかを解説します。
タッチポイントの具体例
タッチポイントには、店舗やイベントなどリアルな空間で接点を持つ「オフライン」と、インターネットを使用した「オンライン」の2種類があります。
具体例は、下表を参照してください。
オフライン |
オンライン |
店舗 |
公式ホームページ |
オフラインでは、顧客とのコミュニケーションを直接とれることが特徴です。会話ができるため顧客のニーズをつかみやすく、その場で表情や言葉などの反応を見られます。
オンラインでは、距離や天候などに関係なく、コンタクトをとりやすいことが特徴です。オンラインを通じて得る情報は、データとして蓄積して活用しやすいこともメリットといえます。
チャネルとの違い
タッチポイントと混同しやすいものに、「チャネル」があります。チャネルは、企業がサービスや情報を提供するための手段のことです。一方タッチポイントは、情報やサービスを通して顧客と接する機会のことをいいます。
例えば、カスタマーサポートの「電話窓口」や「メールサポート」は、顧客対応のための「チャネル」です。その中で、顧客からの問い合わせを受け、担当者が対応する場面や応答内容そのものが「タッチポイント」となります。
同様に、コールセンターが提供する自動音声案内(IVR)は「チャネル」ですが、その中で顧客が選択肢を選んでサービスを受ける場面は「タッチポイント」です。
タッチポイントは顧客満足やロイヤリティ向上に直接影響するため、チャネルと区別して適切に管理することが重要です。
タッチポイントが重要な理由
コールセンターやカスタマーサポートでは、タッチポイントが適切な場所に設置されていることが重要です。その理由は、以下の4つが挙げられます。
- ブランドイメージの向上が見込める
- 企業の認知拡大が期待できる
- 多様化している顧客行動に対応できる
- 顧客満足・顧客ロイヤリティの向上が見込める
ブランドイメージの向上が見込める
自社の商品やサービスを選んでもらうには、ブランドイメージを良くすることが重要です。タッチポイントでの体験や、タッチポイントが必要なところに設置されていることによって、ブランドイメージの向上が見込めます。
顧客が企業のコールセンターやカスタマーサポートに問い合わせた際に、対応が良ければ企業ブランドのイメージアップが図れるでしょう。さらに、タッチポイントごとの対応品質が一定であれば、信頼感も得やすいです。
企業の認知拡大が期待できる
タッチポイントを多く設置することで、より多くの人へ企業や商品、サービスについて知ってもらうことができます。優れた商品やサービスであっても、知られていなければ購入や利用につながりません。
ターゲットを絞ったり、不特定多数の人へ伝えたりして、伝えたい層に対応したタッチポイントを設定することが大切です。各タッチポイントでの情報発信で認知を拡大するとともに、競合他社との差別化も狙えます。
多様化している顧客行動に対応できる
近年では顧客行動が多様化し、顧客一人一人の好みや状況に合わせたマーケティング施策が求められているため、対応を難しく感じることも多いでしょう。多様化に対応するためにも、タッチポイントを増やすことは重要です。
最適なコミュニケーションチャネルが、店舗を訪れることなのか、インターネットの利用なのかは、顧客によってさまざまです。タッチポイントを適切に設置することにより、顧客自身が自分にあったチャネルを選択できるため、多様化するニーズに幅広く応えられます。
顧客満足・顧客ロイヤリティの向上が見込める
顧客満足や顧客ロイヤリティを高めるためには、顧客にとってポジティブな体験が欠かせません。ポジティブな体験とは、商品やサービスを利用するだけではなく、企業とのコミュニケーションも含まれています。
総務省のデータによると、スマートフォン普及率は88.6%にものぼる現代では、多くの顧客がオンラインで企業やサービスと接触する機会を持っています。特に、インターネット利用率が高いことから、オンラインのタッチポイントでの顧客体験を向上させることは重要です。
出典元:総務省「令和4年版情報通信白書」
その中でも、コールセンターは顧客満足や顧客ロイヤリティの向上において、重要なタッチポイントの1つと考えられます。また、顧客向けFAQの導入などにより、顧客の疑問やトラブルを解決できる内容を待たせることなく提供できることも有効です。
タッチポイントを設定する手順
効果的なタッチポイントを設定するには、以下の手順で進めていきましょう。
- ブランドイメージを明確化する
- 顧客を把握する
- カスタマージャーニーマップを作成する
- 施策を実施する
- 施策を評価し改善につなげる
それぞれについて、詳しく紹介します。
ブランドイメージを明確化する
まず、自社のブランドイメージをはっきりさせることから始めます。イメージが明確になることで、発信するメッセージに一貫性を持たせやすくなるためです。
ユーザーが利用するのは、1つのチャネルだけとは限りません。多くのユーザーは店舗や公式ホームページ、アプリなどから、複数のタッチポイントに接触しています。そのとき各々の発信情報に一貫性がないと、企業へのマイナスイメージへとつながりかねません。
反対に、どのタッチポイントからも一貫性のあるブランドイメージが保てるのであれば、より強いメッセージの発信が実現します。その際、ブランドイメージに合わせた発信チャネルやコンテンツを使うことが重要です。
顧客を把握する
タッチポイントの設定には、自社の顧客を理解することが必要です。顧客を知ることで、最適なタッチポイントを設定するプラットフォームが分かります。ユーザーが情報収集する方法はさまざまですが、一定のものを利用し続けるとは限りません。
顧客データを継続的に収集・分析し、顧客が求めていることや行動パターンを把握することが大切です。
カスタマージャーニーマップを作成する
ユーザーと企業の接点から、ユーザーが商品やサービスを知り、購入や利用します。購入や利用した後の思考や行動までを時系列に並べ、可視化したものがカスタマージャーニーマップです。
購入するなど、ユーザーが行動を起こす際には、色んなタッチポイントが関わっています。タッチポイントによってどのような心理変化が起きたのかを、カスタマージャーニーマップに記します。心理の変化を知ることで、顧客目線での施策を企画できるでしょう。
施策を実施する
自社の顧客に最適なタッチポイントが見つけられれば、実際に発信してみてください。顧客一人一人に合わせたタッチポイントで情報を発信すれば、商品購入やサービスの利用につながります。
購入後も継続して利用してもらうためにも、カスタマーサポートやお問い合わせフォーム、SNSなどのタッチポイントが重要な役割を果たしているといえるでしょう。購入した顧客に見合うタッチポイントであれば、継続してコミュニケーションを図れるため、顧客満足度の向上も期待できます。
施策を評価し改善につなげる
タッチポイントを設置し、施策を実施した後は、その効果を評価し、さらに改善を重ねていきます。このとき、長期的なスパンでタッチポイントの戦略を検討し、改善していくことが大切です。
情報発信やさまざまなコミュニケーションの中で、顧客の反応や変化に注目することは不可欠です。顧客の反応からそれぞれのタッチポイントについて評価や検証を行い、必要に応じて調整してください。
目先の評価にとらわれず、繰り返し検証して仮説を立て、継続的な目線で評価していくことが大切です。少しずつでも改善を行い、タッチポイントの最適化を目指しましょう。
タッチポイントを強化するときのコツ
顧客体験の向上や顧客ニーズへの迅速な対応を目的とし、タッチポイントを強化するときに押さえておきたいコツは、以下の通りです。
- 社内体制を整える
- 複数のチャネル間で情報を統一させる
- 各チャネルに合わせた施策を講じる
社内体制を整える
タッチポイントを強化するには、社内での体制を整備することが大切です。顧客との接点をより多く共有するためには、従業員を配置しておかなければなりません。また、顧客の適切な管理ができなければ、接点を増やす意味がなくなります。
従業員を各ポジションにうまく配置できれば問題ないのですが、人手が足りず、タッチポイントの強化が難しいという企業は少なくないでしょう。人員不足のためにタッチポイントの強化が困難な場合は、システムを導入して業務効率化を図るのも方法の1つです。
複数のチャネル間で情報を統一させる
企業が情報を発信する際、複数のチャネルを利用するのが一般的ですが、情報を統一することが重要です。複数あれば、それぞれバラバラでも問題ないと考えたり、イメージを変えて反応の違いを見たいと考えたりするかもしれません。
しかし、多くのユーザーはさまざまなタッチポイントから情報収集しています。チャネル間での情報や企業イメージが異なれば、情報がしっかりとユーザーに伝わりません。
例えば、コールセンターでは丁寧でフォーマルな対応を心がけていても、チャットサポートではカジュアルで軽い言葉遣いを採用しているとします。このような場合、顧客が異なるチャネルを利用した際に「対応方針が統一されていない」と感じ、企業全体の信頼性が低下する可能性があります。
顧客は複数のタッチポイントを経て企業の印象を形成するため、全てのチャネルで統一感のある情報と対応を提供することが不可欠です。ブランドイメージが確立している場合はそのイメージに基づき、まだ確立していない場合でも一貫性を意識した情報発信を心がけましょう。
各チャネルに合わせた施策を講じる
チャネルごとに特徴に違いがあるため、どのようなコンテンツやアプローチが合うのかを見極めなければなりません。タッチポイントを強化するためには、各チャネルの特徴を把握し、最適な施策を講じることが大切です。
より詳しい情報提供や、リアルタイムの更新など、チャネルごとに向いているアプローチ方法があります。刻々と状況が変わる情報を発信する場合は、XやInstagram、TikTokなどSNSの活用が適しています。一方、安定した情報をより詳しく発信するなら、メールや公式ホームページがいいでしょう。
顧客満足度改善のためのタッチポイントの強化にはFAQの見直しも
顧客満足度や問い合わせ対応におけるタッチポイントを強化するには、FAQの見直しを考えるのも1つの手法です。AI-FAQシステム「Helpfeel」では、顧客が抱える問題の即時解決をサポートします。24時間いつでも対応してくれるため、顧客が自分の都合に合わせて利用できることも、FAQシステムの大きな魅力です。
Helpfeelを活用すれば、顧客自身で自己解決できることが増え、コールセンターで受ける問い合わせは少なくなります。オペレーターの負担が軽減され、1つ1つの問い合わせに対して丁寧に対応できるので、顧客満足度の向上を目指せます。
リアルタイムでログの分析ができ、顧客が困っていることや要望などの可視化が可能です。FAQシステムのツール導入を検討されている場合は、ぜひ「Helpfeel」をご覧ください。
まとめ:システムを活用してタッチポイントの強化を図ろう
この記事ではタッチポイントについて、重要性や強化のポイントなどを紹介しました。タッチポイントで自社の顧客に合う情報を発信できれば、顧客満足向上につながります。タッチポイントとはどのようなものなのかを理解すれば、コールセンターやカスタマーサポートの運営に役立つでしょう。
顧客からの問い合わせ対応に関するタッチポイントの強化には、最新のFAQシステムが適しています。Helpfeelで顧客満足の向上を図り、コールセンターのスムーズな運営を実現してください。