高1 英語 コミュニケーション英語Ⅰ ICTを活用した英語教育の充実~主体的・対話的で深い学びの視点から~【実践事例】 (福島県立福島南高等学校)
授業担当者 | 高橋 真由美 |
ICT環境 | 1人1台タブレット |
学年 / 教科 | 高校 1学年 英語 |
単元 | コミュニケーション英語Ⅰおよび異文化理解 |
〈実践の概要〉
ICTの発展はめざましく学校現場での活用が推進されつつあるものの、すべての学校でICT環境が整っているわけではない。したがってロイロノートスクールのモデル校に応募し、スマートフォンやタブレット端末活用による主体的・対話的で深い学びにつながる英語教育における効果的活用の実践研究を行った。実践研究においては教師がチームとなり、効果的活用方法やデジタル教材作成のための技術共有を進めるとともにその指導実践を福島県教育研究発表会で報告し、文部科学省の推進する「教員のICT活用指導力向上」を図るものとした。
〈ロイロノート・スクール導入の効果・メリット〉
ロイロノートスクールを使うことで生徒の学習履歴の収集・可視化・分析が可能になり、生徒への適切な助言ができるようになった。教師が個々の生徒の成長に寄り添った対話や認める時間を持つことが日々、できることは「生徒が学びに向かう力」を育てる有効な手段の一つとなった。
ライティング・スピーキング指導や英語プレゼンテーションは時間的な拘束が大きく、評価やその後の改善が手薄になってしまうという課題があったが、ICTを活用することで効率化と継続化ができ、生徒が英語を「書く・話す」機会が増え、アンケートや外部テストの結果から英語で表現することへのためらいがなくなってきたという意識の変容や英語力向上が実証され、今後も継続して実践研究していくに値するものとなった。
〈実践の目標〉
生徒へICT活用し,「何を」「どのように学ぶか」を明確にしつつ、主体的な学びにつながる英語教育をめざした授業改善
ICT機器環境の整備・教員のICT活用指導力向上
教育現場でのICT機器活用の現状や問題点を把握するための話し合いや研修の場を設ける。ICTを活用し、生徒の学びの質を高めることをテーマとした授業を公開し、検証を行う。
〈授業写真〉
〈場面1〉~ICTを活用したプレゼンテーション評価の工夫~協働による主体的で深い学びを促し、英語の表現力向上
プレゼンテーションの評価の工夫
相手に分かりやすく伝わるプレゼンテーションであるかを評価の軸としつつ、「ロイロノート」を効果的に用いている点も評価基準の一つとした。
(観点)
1 Communication skills
聞き手が十分に理解できるような分かりやすい表現をしている。
2 Visual aids
聞き手が十分に理解できるように効果的に画像等を用いて発表している。
3 Creativity and Originality
自分の知っている情報や調べた情報をもとに活用した上で独創的・創造的に発表している。
生徒、先生が一体化した、対話が発展するプレゼンテーションとするために、学習支援アプリ「ロイロノートスクール」を使用した。お互いの作品を共有し合うことで、伝える相手を意識したプレゼンテーション内容となり、創造性や独創性のあるものが多く見られた。ICTを効果的に活用することで、生徒が主体的に対話を深めながら学習に取り組むといった、言語活動の充実が図れた。
今後はICTを活用した3年間を見通した英語の発信力育成シラバスを詳細に作成し、継続的な実践につなげていきたい。
〈場面2〉学習の可視化:学びを進める過程+学習の成果を可視化
学習記録や履歴が残るため生徒の学習のすすみ具合を教師側が把握しやすくなる。主にノート提出や個別指導にロイロノートを使用しているが、生徒への声掛けがしやすくなり対話が深まったように感じる。生徒は授業等の蓄積が可視化されやすく、学習の振り返りが効果的にできるようになった。
〈場面3〉音声指導:個別最適化した学習スタイルを提供
学年レシテーションコンテストむけた音声指導や音読学習に効果的に活用
ロイロノートを介して音読の提出をおこない、音読指導を個々にすることが可能になった。授業における音読練習への取り組みが意欲的になった。音読提出のために家庭で何度も練習して提出するようになっている。お互いに提出した音読を共有できるため、上手に読みたいという前向きな取り組みにつながっている。また過去の音読音声と現在の発音を比較・分析できるため、向上した点や課題に自ら気づくことができている。そういったことから徐々に授業においての主体的な音読学習への前向きな変容が見られた。
〈場面4〉ライティング指導
提出箱の共有を介して添削を行い、生徒全体へのフィードバック→リライトによるプロセスで指導
英語多読~読むから書くにつなげる~英語の多読に入学当初から取り組んでいるが読んだ本を記録し、感想を英語で書くといった学習にとどまっていた。ロイロノートスクールを使って、感想などをお互いに共有することが容易になり主体的なリーディング・ライティング活動になった。
〈場面5〉資格指導の効率化
英語力に差がある生徒が存在するクラスにおいて個々の生徒に応じた一斉指導することは難しい。英語検定やGTECのスピーキング指導にロイロノートを活用することでフィードバックを効率的かつ適切に個々に行うことができた。
〈場面6〉教員がチームになって主体的に学ぶ姿勢を持つ
国語の俳句の授業でロイロノートを活用し、句会を効果的におこなうアクティブラーニングを参観し参考にすることにした。その後、言語に興味を持たせるという動機づけにつながると考え、英語の授業で俳句を英語訳に挑戦させてみた。英語と日本語の言葉の違いを楽しみつつ、伝えたい気持ちや思いを定型で表現しようとする意欲が見られた。教科横断的授業がICTを活用することで円滑に進めることができた。ICT機器にすぐれた先生、組織マネージメント力がある先生などが連携することで、ICT活用を活用する授業デザインがしやすくなった。これまでの教科・単元の枠をとりはらって、ICT活用の学習効果を共有し、教員が主体的に学ぶことが教育ビジョンの具現化の一歩につながると感じている。
英作文の共有 国際交流 平和へのメッセージを共有
文房具の一つとしてBYODでの使用 英語プレゼンテーション
家庭学習はロイロノートで提出・添削