【国語】シンキングツール 活用法
目次
国語科教育に、なぜシンキングツールが必要なのか?
学習指導要領 概要
学習指導要領では国語科の目標は、以下のように示されています。
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2) 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
(3) 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。
「言葉による見方・考え方を働かせる」とは「児童が学習の中で, 対象と言葉,言葉と言葉との関係を,言葉の意味,働き,使い方等に着目して捉えたり問い直したりして,言葉への自覚を高めることであると考えられる」と示されています。
国語科教育におけるシンキングツールの活用
シンキングツールは、頭の中にあるアイデアを可視化し、思考の整理・発展を促してくれるツールです。例えば、以下のような利点があります。
複雑な概念や思考の順序を整理できる
普段意識することの少ない「言葉と言葉の関係性」を俯瞰的に見ることができ、新たな言葉を生み出すきっかけになる
共通のツールで考えを整理することで、仲間との協働的なアイデア創出が容易になる
児童生徒は、独自の視点で言葉と向き合えるようになるため、より高い学習目標の達成が期待できる
また、ロイロノートでシンキングツールを活用することで、次のような利点があります。
考えをリアルタイムで共有し、複数人で編集できるため、協働的に考えを構築できる
個人で考える時間と仲間と学びあう時間を行き来しながら学習を進められるため、効果的な協働学習を実現できる
国語科において育成したい能力とシンキングツール
1.コミュニケーション力
話す、聞く、読む、書く能力の総合的な向上を目指します。日常生活で必要な、筋道を立てて話す能力や、段落のつながりを意識して文章を書く能力、相手や目的に応じて適切にコミュニケーションをとる力を身につけます。
⇨ 考えのもとになる情報や、考えを組み立てる筋道がシンキングツールで可視化されるため、自分の考えをまとめやすくなり、わかりやすい説明や作文ができるようになります。
2.思考力・表現力
国語教育では、論理的に物事を考える思考力と、それを他者にわかりやすく伝える表現力も重視されています。
⇨ シンキングツールを使うと、考えの筋道を可視化し、複数の論理を検討したり、整合性をチェックしたりできるため、論理的思考力が身につきます。また、情報の整理・関連付けをすることで、効果的な表現方法の工夫ができます。
3.豊かな感受性・想像力
国語教育では、客観的に事実を伝えるだけでなく、言葉を通じて感性や想像力を育て、感情豊かなコミュニケーションができることも求められます。
⇨ 筆者の論理や自分の感じたことをシンキングツールで可視化することで、「どの表現を」「どう感じたか」「どこに心を動かされたか」を具体的に考える力がつきます。これにより、感受性や創造力が磨かれます。
4.学びに向かう力 (Student Agency)
生徒エージェンシー(Student Agency)とは、学習の自己調整能力のことです。言語に関わる事象を自分事として捉え、情報を集めて整理・分析し、自分の考えを持って課題を解決する力を指します。また、学習を見通し、進捗状況を確認しながら、必要な修正を加えて目標に向かう力も含まれます。
⇨ シンキングツールを活用することで、学習プロセスを視覚化できるため、進むべき方向性に気づきやすくなります。また、学んだことを社会の事象と関連付けることで、学習の意味をより深く理解できます。
どのように教科教育に取り入れていくべきなのか?
能力育成の活用例
「話す」活動・「聞く」活動
「話す」活動では、シンキングツールを使って話の流れを視覚化し、論理的な構成を検討することで、自分の考えを明確に表現できるようになります。
「聞く」活動では、シンキングツールで話題に関する情報を整理・分類することで、聞いた内容を正確に把握できます。
参考
「書く」活動
「書く」活動では、シンキングツールを活用して知識やアイデアを整理することで、必要なものを選択して論理を組み立てられます。
これにより、自分の考えをより論理的でわかりやすい文章として表現しやすくなります。
参考
「読む」活動
シンキングツールを使うことで、物語の内容を整理し、理解を深めることができます。以下のような手順で学習を進めることが効果的です。
(1)物語の内容を視覚的に整理
登場人物や出来事を図式化することで、全体像を把握しやすくなります。
(2)問いをもとに考えを深める
例:「なぜ登場人物はこう行動したのか?」といった問いに対し、整理した内容をもとに考えを展開します。
ポイント
答えを誘導しすぎると、シンキングツールが単なるワークシートになってしまい、児童生徒の思考が制限されてしまいます。シンキングツールのメリットである「思考の可視化」を生かし、児童生徒が主体的に「考えをつくる」場を提供することが重要です。
参考
授業事例
全国のロイロ認定ティーチャーが作成した、授業案を学年・科目・単元ごとにまとめたページです。
シンキングツールを活用した授業案も多数掲載しています。ぜひご覧ください。