大手航空会社グループは全体で従業員3万5000人が所属しており、社内で使用するツールを始めとするさまざまな社内の問い合わせが発生しています。
2022年7月にはグループ全体の社内システムを「Google Workspace」へ移行することとなり、移行に関するヘルプデスクを新たに立ち上げ、Helpfeelを導入しました。システム移行に関するFAQを導入するまでの意思決定と活用方法について、大手航空会社のIT分野を担うグループ企業のT様、大手航空会社のIT部門のN様にお話を伺いました。
1日50件の問い合わせ電話に3名で対応。スプレッドシートのFAQはほとんど読まれていなかった
──以前から、ヘルプデスク・サポート業務はあったのでしょうか?
T様 大手航空会社グループ内で利用している社内システムのヘルプデスク・サポート業務は、グループ会社である当社が一手に引き受けており、他のシステムも合わせて対応できるような体制を構築しています。
サポートデスクへの問い合わせ導線としては、電話対応のサポートデスクを設置していることもあり、電話による問い合わせが圧倒的に多いです。内容としては「ログインができない」「動作が遅い」といったものが中心です。
FAQも用意しておりましたが、スプレッドシート内で検索閲覧する仕組みしか提供できておらず、「情報が見つけられないし、読むのが大変なので、電話しました」と言われてしまって…FAQを用意したものの、そもそも自分で調べようと思ってもらえるような環境を整備することが重要であると考えました。
──そうした課題に対し、具体的な取り組みはされていましたか?
T様 Google Workspaceの導入は、こうした問い合わせ件数を減らすためでもありました。まずは、2022年7月の完全移行を目指し、専用のサポート窓口を設置。4月から「Google Workspace導入のためのサポートデスク」を立ち上げ、3カ月間は旧システムとGoogle Workspaceのどちらにも対応できる体制を整えました。さらに、電話以外での問い合わせ対応ができる仕組みも始めることにしました。
──Google Workspaceへの移行に際し、どのような不安を感じていましたか?
T様 今まで以上に電話が殺到するのではないかと感じていました。これまでの頻度で問い合わせが来るとサポートデスクの業務負荷がより大きくなる懸念がありました。そこで問い合わせの導線をチャットやZoomなどの電話以外のチャネルも用意し、電話回線がパンクしないように準備をしました。
一方でこれまでと同様に「わからないことがあれば電話で気軽に問い合わせできる」という考えの社員も多かったため、電話以外の導線対応にハレーションが起きないかも心配していました。
パソコン操作に不安がある社員でも、楽しく使いやすい。操作性がHelpfeel導入の決め手
──Helpfeelを知ったきっかけについて教えてください。
N様 取引先企業からの紹介がきっかけです。実際に提案をいただき、「FAQツールを使ってみるのも良さそう」と思いました。
私は大手航空会社のIT部門で、Tと一緒にユーザーサポート業務を担当しています。以前は客室乗務員をしていました。私自身がパソコン操作は不慣れであるため、すぐに電話で解決したくなる気持ちも分かります。しかし同時に、社員一人ひとりの自己解決力を高めていくツールが必要なのではないかと考えていました。
──Helpfeel以外に、導入を検討された他社ツールなどはありましたか?
N様 「迷わずにFAQの中から、答えを探せる状態」にしたかったため、比較検討軸としては社員の使いやすさを重視していました。管理者画面の操作性、伴走していただくカスタマーサクセス(CS)チームの体制や、報告レポートの有無など20項目ほどを比べながら、最終的にHelpfeelを選びました。
特に良かった点が、表記のゆれにも対応してくれているところです。「メール」「mail」とカタカナや英語の表記で検索ワードを入れても、どちらもきちんと記事がヒットしてくれるため、社内でも高く評価されるポイントとなりました。あまり難しく考えなくても思いつくままにキーワードを入力してもきちんとヒットするところがとても良いですし、質問があいまいでも知りたいことにきちんとたどり着けるなど、社員の使いやすさは抜群でした。
Helpfeelへのアクセス数は2万件。ヘルプデスクスタッフの回答マニュアルとして活用も
──Helpfeelを活用してみた感想を、お聞かせください。
T様 キーワードを入力していくたびに質問候補がどんどん変化し、質問文が提案されてクリックすると知りたかった答えにヒットする。楽しくて「面白いツールだな」と思いました。調べることが負担ではなく楽しく感じてもらえたらと思いましたし、あいまいなキーワードでも自己解決を促す効果が期待できるツールを見つけたと、感じています。実際社内でも「漠然と調べ出したけど使いやすいし答えにたどり着ける」という声や「面白いツールだね」と好評です。
──Helpfeelの導入によって実感された効果はありますか?
N様 Google Workspaceに移行した直後、Helpfeelへのアクセス数は2万件/月でした。やはりユーザーも気軽に使ってみようと思えた結果が、この“2万件”という数字に現れているのではないでしょうか。7月まではシステム移行に関する情報閲覧が多く、それ以降もアクセス数は伸びていきました。
さらに心配していた電話による問い合わせは抑えられ、不具合に関する問い合わせはほぼなくなりました。これによって空いたリソースでFAQでは解決できないような「マニュアルを見てもわかりづらい特殊な内容」や「個別な対応が必要」という方へ丁寧な対応ができたと感じています。
担当していたオペレーターも「ユーザーは一般的な操作をちゃんと理解してくれています。Helpfeelが活用されていますね」と喜んでくれました。
──ユーザーである“社員”が自己解決できるよう、工夫した点はありますか?
T様 社員に対して「まずはFAQを使ってみてください」とメッセージを発信したことも良かったと思います。たとえば社内向けのポータルサイトの目立つ場所にHelpfeelへの導線を用意し、クリックしてもらえるように設計しました。またメールによる問い合わせの返信にも、積極的にFAQの記事URLを貼り付けて回答するようにしました。そうするとオペレーターの対応時間も短縮できますし、回答する内容もスタッフによってぶれないので対応品質が担保できるのでとても重宝しました。
N様 私はHelpfeelのCSチームから報告される月次レポートをいつも参考にしています。元々、システムについて得意ではなかったので、「FAQの管理・運用は難しい」と思い込んでいました。そのため、HelpfeelのCSチームの方々からのアドバイスはとても心強く感じています。記事の細かな表現にもこだわり、うまく運用できるようにサポートしていただいています。「FAQにすべてを書いても読まれないので、画像を付けて、説明は簡潔にする」「マニュアルも一緒に活用してもらえるよう、リンクを用意しておく」など、細かくこだわって支えていただきました。グループ内でしか使われない社内用語の辞書も作っていただき、それに沿ったFAQにする動きにも対応してもらっています。
CSチームの伴走により「課題の可視化」と「FAQの鮮度の維持」が可能に
──Helpfeelを今後どのように活用していきたいと考えていますか?
N様 やはりCSチームのサポートによって、弊社の課題が可視化される点は非常にありがたいです。毎回勉強になりますし、自社で運用していたらこれほどしっかり振り返る時間は取れないと思います。そこから、ユーザーが求めている情報やお困りごともはっきりと分かってきました。自分たちが気づいていない課題についても指摘をいただけますし、記事を公開するとすぐに見てくれてアドバイスしてくださるので検索ヒット率もあがります。いつもそばで見てくれている安心感がありがたいです。
──貴社と同様の課題をお持ちの企業様へ、メッセージをお願い致します。
N様 「問い合わせが増えるだろう」と内心ビクビクしていたところに、思い切ってFAQツールを導入し、問い合わせを減らせたことに大変満足しています。ユーザーにとって使いやすいのはもちろんですが、管理者側にとっても操作性にストレスがなく、CSチームのサポートもあるので本当に心強いです。検索キーワードの表記ゆれや、社内用語にもしっかりと対応できたので安心できました。たとえば、社員が利用するシステムの変更など、問い合わせが増えることが予想される場合には、絶対にあった方がいいと思えるツールです。
T様 今までにもFAQを作成・管理はしていましたが、「FAQの鮮度を保ち続ける難しさ」が課題でした。なかなか更新するタイミングがつかめず、手をかけたいと思っても最新情報が反映されないまま時間が経ってしまう、そうした経験がこれまで非常に多かったです。Helpfeelは、月次レポートでの報告やリマインド、検索キーワードに関するアドバイスなど、CSチームによる丁寧な伴走もあります。そのため、「導入後も引き続き、使いやすい新鮮な状態を保っていく」という運用面に悩まれている企業様にとっては、最適なツールだと思います。
※システム移行完了を受け、2024年3月でHelpfeelの運用を終了しています。