MAU6割増でも問い合わせは減少、顧客サポートへの注力が可能に

MAU6割増でも問い合わせは減少、顧客サポートへの注力が可能に

株式会社あしたのチーム

業界:BtoB SaaS人材・HRテック

使用用途:顧客向けFAQ

課題:社内業務を効率化したい問い合わせを削減したい

記事の要約
  • 人事評価システムを提供する企業のサポート部門では、メンバーの働きやすい環境やワークライフバランスを重視しながらも、カスタマーサクセスへ注力する狙いから、長時間を要していた電話やメールでのユーザーサポートを原則的に廃止

  • 電話・メールの代替としてチャットボットを導入したものの、自社で分析・修正する必要があり業務負担は軽減に至らず、さらに大半の問い合わせが有人チャットに集中。そこで検索キーワードから意図を予測し、ふさわしい情報とのマッチング精度を向上できるFAQツールであるHelpfeelの導入を決定

  • FAQで既存のマニュアルより分かりやすい説明を充実させたことも功を奏し、疑問を自己解決できるお客様が着実に増加。Helpfeel導入後、人事評価システムのMAU(月間アクティブユーザー数)が約6割増えた中でも問い合わせ総数は減少

  • 分析とメンテナンス性に優れたHelpfeelの活用で作業工数を圧縮し、生産性の向上を実現。ユーザー動向の詳細なデータが入手できるようになり、確かな根拠に基づく施策を素早く取れる体制が整った

 

「人事評価制度の構築・運用」の専門領域でコンサルティングやWebサービスを提供する株式会社あしたのチームは、2023年4月にHelpfeelを導入。オンラインマニュアルやチャットボットに代わり、お客様の自己解決を促すコンテンツとしてFAQを充実させたところ、繁忙期の問い合わせを抑制するなどの効果が得られているといいます。

FAQに着目したきっかけや、Helpfeelを選んだ決め手、導入後の効果や今後の展望について、同社カスタマーサクセス部 カスタマーサクセスグループの小川 ひとみ様(統括マネージャー)、同部 サポートセンターの今関 彩様(マネージャー)に伺いました。

※ 本記事内「MAU」は月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users)を指します。

働き方の多様化に先手、業務の生産性向上を模索

インタビューにお答えいただく小川 ひとみ様

カスタマーサクセス部 カスタマーサクセスグループ 統括マネージャー 小川 ひとみ様

 

―― はじめに、今回お集まりいただいたお二方のご担当業務についてご紹介ください。

 

小川様 当社は、人事評価システム「あしたのクラウド®」と、それを用いた人事評価制度の構築・運用に関するコンサルティングを提供している企業です。私は、カスタマーサクセス部全体のマネジメントに携わっており、テックタッチからハイタッチ領域まで、お客様に関わる施策を企画・運用しています。

今関様 サポートセンターは、カスタマーサクセス部の直下に位置する社内外のサポート全般を担う部署です。サポート対象は、社内のカスタマーサクセス部全体、社外については「あしたのチーム®」をご利用いただいているすべてのお客様です。

 

その中でも、自社クラウド「あしたのクラウド®」の操作に関するお問い合わせはすべてサポートセンターが対応しています。現在は派遣社員を含む11人が実務に就いており、ユーザーの自己解決を支援するHelpfeelの運用のほか、コンサルタントを対象にした社内ヘルプデスクの役割も果たしており、私はその部門の管理・運営マネジメントを行なっています。

―― Helpfeelを導入するまで、顧客対応業務に関してどのような課題がありましたか。

小川様 サポートセンターは、メンバー1人あたり単純計算で100社以上のお客様を直接対応によってサポートしています。さらに、コンサルタントの活動支援、その支援を通じた顧客課題の解決も強く求められています。

加えて2022年以降、サポートセンターではライフイベントによる就業状況の変化が年単位で続くと予測されていました。具体的には、メンバーの産休・育休や小1の壁による時短勤務の選択などです。女性のみの部署ということもありライフイベントによる人員増減は避けられない課題ですが、社内外からはサポートの拡大が求められており、先々を見越してメンバーがワークライフバランスを維持しながら柔軟に対応できる体制を構築する必要があります。そのために業務の生産性向上が不可欠でした。

 

身振りを交えてご説明くださる今関 彩様

カスタマーサクセス部 サポートセンター マネージャー 今関 彩様


今関様 「あしたのクラウド®」のお客様が不明点を自己解決できるよう、サポートセンターでは以前から、ツールの操作方法などを解説したオンラインの「サポートマニュアル」を作成・公開していました。しかし「解説が詳しすぎる」「知りたい内容を探しづらい」など主要なユーザー層である中小企業経営者は多忙であるため、サービスを継続利用いただくには「不明点をすぐ解消できる仕組みが必要」との声も寄せられていました。

これらの状況を踏まえ、応対1件に1時間かかることもあった電話窓口、ならびにタイムリーに返信することが難しいメールでの問い合わせ受け付けは原則廃止が決まるとともに、後継のチャネルとして、よくある質問への簡単な回答シナリオを備えたチャットボットを導入することとなりました。

このチャットボットの運用を1年ほど試みましたが、Helpfeelで言うカスタマーサクセスのような支援がなく自分たちで分析・軌道修正をする必要があったため、メンバーの業務負担軽減にはつながりませんでした。結果として、表だってご案内していなかった有人チャットに利用者の6割が集中していました。

小川様 そうした中、2022年秋に聴講したカンファレンスで偶然、Helpfeelについて知る機会がありました。「お客様が思い浮かべて入力した検索キーワードから意図を予測し、ふさわしい回答とマッチングする機能があれば、私たちが抱える問題を解決できるのでは」と直感的に感じ、すぐ具体的な検討を始めました。

「評価者 / 被評価者」「上司 / 部下」など人事評価特有の多様な名称にも対応

Helpfeelの魅力を話す小川様

 

―― Helpfeelの「意図予測検索」機能が、貴社の課題解決に有効と判断されたのですね。

小川様 はい。同じ機能を持つ製品が他になかったこともあり、“Helpfeel一択”で検討を始めた半年後に導入しました。

私たちが「意図予測検索」をこれほど魅力的に感じたのは、「求める回答が同じなのに、人によって想起しているキーワードが異なる」場面が、人事評価の世界では非常に多いためです。

例えば、人事評価する人・される人に関して何か知りたいとき、多くの方はまず、専門用語の「評価者 / 被評価者」ではなく「上司 / 部下」というワードで検索します。また、「スキル評価」「マインド評価」「行動評価」「プロセス評価」などはいずれも、直接的な実績とは別に従業員本人を評価する基準ですが、自社制度としてどの基準を・どの名称で導入しているかは異なるので、関連するトピックをどのようなワードで検索するかはお客様によって変わります。

そのため、これら個別のワードと、対応する回答を漏れなく関連付けていけば、お客様がもっとスムーズに知りたい情報へたどり着けるようになるだろうと考えたのです。Helpfeelを導入後、本当にその通りになりました。

―― Helpfeelの導入を後押しした理由は、他にもありましたか。

今関様 それまでブログツールを利用し自社で作成していたサポートマニュアルとの比較で言うと、初期構築の段階では記事コンテンツの取り込みをHelpfeelにお任せできたため、導入ハードルは低かったです。また公開後の加筆修正は自分たちだけでも簡単にできるため、記事公開までのリードタイム短縮や、カスタマイズの工数削減が実現できる点も大きな決め手でした。

MAUが対前年比1.6倍となった繁忙期も問い合わせ数は減少

オフィスイメージ

あしたのチームのオフィス

 

―― 現在のHelpfeelの活用状況をお聞かせください。

小川様 Helpfeelを用いたFAQは現在、サポートマニュアルに置き換わるツールとなりつつあります。スタッフがお客様のために、“わかりやすさ”を重視して、記事をたくさん作成してくれたおかげですね。

今関様 スタッフが精力的にFAQの記事作成に取り組んできたおかげで、約60本からスタートした記事数は、7カ月で187記事まで増えました。

お客様が入力したキーワードに応じて個別の回答を提示するだけでなく、検索ボックス直下の目立つ位置に「操作マニュアルまとめ」「よくある質問まとめ」「エラーの原因と対処法まとめ」といった、一覧性の高いコンテンツへのリンクも配置しています。

あしたのクラウド®のFAQ画面

―― 課題とされていた問い合わせ対応業務の効率化に関して、どのような効果がみられましたか。

今関様 多くの企業が人事評価シーズンを迎え、「あしたのクラウド®」に関する問い合わせが増える10月でみると、Helpfeel導入前の2022年から導入後の2023年では、問い合わせの総件数(テキストチャットのほか、例外的に受けた電話・メールを含む合計)が減少しました。この間、「あしたのクラウド®」のMAU(月間アクティブユーザー数)は約1.6倍に増えているため、「Helpfeelがお客様の自己解決を促し、問い合わせの発生を4割近く抑制できた」とみています。
MAUおよびお問い合わせ数の推移(2022年10月・2023年10月)
しかもこの間には、有人チャット経由の問い合わせが可能な条件の緩和も行っており、対象ユーザー数が倍近く増えています。それでも実際の問い合わせ数がおおむね横ばいを維持していることからも、FAQを通じた自己解決が浸透してきたと考えています。

ユーザー動向が可視化され、素早い施策が迷わず可能に

―― その他に実感された効果や、伴走支援への評価についてもお聞かせください。

小川様 Helpfeel側のご担当と私たちで毎月ミーティングを開き、ユーザー行動をデータで検証しながらコンテンツの改善を進める体制が、想定以上の成果を上げています。

ミーティングで毎回課題となるのは、対応する回答を1件も提示できなかった(ノーヒット)検索キーワードへの対策です。その検索キーワードで何が知りたかったのか、すぐには想像がつかないケースもありますが、何とか意図を察し、関連するトピックがヒットするよう修正を続けてきた結果、有人チャットに届く自己解決可能な問い合わせの割合も減少しつつあります。

今関様 ブログツールでサポートマニュアルを運用していた頃に比べ、Helpfeelのメンテナンスでは工数を大幅に圧縮でき、得られた余力を振り向けた結果、コンサルティング契約をしているお客様へのサポートに充てる工数の割合を、全体の13%から56%まで一気に増やすことができました。

 

結果として、直接対応する「ユーザーサポート」と、担当コンサルタントを介す間接的な「コンサルタントサポート」を合わせると、お客様へのサポートに充てられる割合を60%以上にまで引き上げられたことは大きな成果と言えます。
工数配分の変化を示す棒グラフ。FAQ運用を含む社内業務の比率が減少し、サポート業務の割合が大幅に増している
またHelpfeelでは、検索ヒット率・離脱率といった実際のユーザー動向から、何を優先して改善すればよいかが、かなり明確に分かります。当社からHelpfeel側に投げかける技術的な質問への回答も速く、メンバー各自が優先順位を判断し、迷わず作業を進められるようになりました。

これにより施策のスピードや効果が高まったのはもちろん、マネジメントの立場からは「話に上った箇所を、とにかく全部直してほしい」といった根拠に乏しい強引な説得が不要になったことも歓迎しています。

―― 最後に、今後のHelpfeelの活用について展望をお聞かせください。

 

笑顔の小川様

今関様 引き続きFAQの内容を充実させていくとともに、200記事を突破した時点で再度ユーザー行動を精査し、今後のコンテンツの方針を見極められたらと考えています。

小川様 探しやすく・分かりやすくなったFAQがこのまま順調にサポートマニュアルの役割を引き継いでいけば、近いうちにサポートマニュアルの掲載は廃止できると思います。

そこからさらに進んで、有人チャットが不要なレベルまでお客様の自己解決率を高めることを最終的な目標にしたいですね。やはり「わからないことがすぐに解決できる」ことは、お客様にとってなくてはならない体験だと考えているからです。

今関様 一般にFAQの記事作成や修正はサポート部門にとって負荷の大きい作業と思われがちですが、当社の担当者はそろって積極的で、「リアルタイムの有人チャットで、面識のない相手に文面が与える印象を気にしながら応対するよりも落ち着いて取り組める」と歓迎する声も聞かれます。

Helpfeelの運用では、FAQの改善すべき点・改善した成果が、お客様の利用実績を通じて定量的に分かります。ですから「はっきりした根拠や数字が見えるとモチベーションが上がる」タイプが多いサポート部門には、特に相性のよいツールとしてお勧めしたいです。


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