株式会社ビーズインターナショナルは、「ストリートカルチャーを編集・発信しファッションの垣根と世代を超えて、進化し続ける企業になる」ことを企業理念に掲げ、XLARGE、X-girl、MILKFED.、SILASなど人気ストリートファッションブランドの商品を企画・販売する企業です。
同社では、ECを利用するお客様からの問い合わせが増えていたことに課題を感じていました。その件数を減らし、スタッフがカスタマーサクセス業務を行えるようにするためにHelpfeelを導入。以前は最大で月2,000件にものぼっていた問い合わせ件数がHelpfeelによって激減し、お客様へ届ける価値を上げるための活動へ時間を割けるようになったとのことです。
デジタルコマース本部 カスタマーサクセス部の大島様、小川様にHelpfeelの導入理由や活用方法、効果について話を伺いました。
お客様からの問い合わせ対応に追われ、他の業務に一切手をつけられなかった
──はじめに、お二人が所属するカスタマーサクセス部の役割を教えてください。
大島様 私がいるカスタマーサクセス部は、ECと店舗のお客様対応をサポートする役割を担っています。これまではECに限定してカスタマーサポートを行ってきましたが、2023年9月に組織変更があり、ECと店舗の両方を担うことになりました。私を含めて4人のメンバーで運営をしています。
──Helpfeelを導入する前、どのような課題を抱えていましたか。
大島様 ECを利用するお客様からの問い合わせ件数があまりに多く、その対応だけに追われてしまい、業務改善や、お客様へ提供する価値を上げるための活動に時間が割けないという課題がありました。
問い合わせチャネルは電話とメールです。メールが大半で、その件数は最大で月2,000件にのぼっていました。部のメンバーは、メール返信で日々の業務が終わるどころか翌日に持ち越すことも多く、疲弊感が漂っていました。
お問い合わせいただく内容も、商品のご要望など業務改善につながる前向きなものではなく、システム操作や配送状況の確認といったことが大半でした。そのため、メールをいただいてもその場で解決できることが少なく、お客様とのやり取りが数回に及ぶケースばかりでした。
当時もFAQを用意していましたし、問い合わせ件数が多い内容はWebサイトのトップページに掲載もしていたのですが、お客様が目を通すことなく問い合わせに至ってしまうことも多くありました。
この状況を改善したいと思い社内で相談した結果、お客様自身で不明点を解決できる状態をつくり、問い合わせ件数の削減を目指すことになりました。
──Helpfeelを選んだ決め手はどのような点がありましたか。
大島様 当社の代表からHelpfeelの存在を聞き、まさに自分たちが解決したい課題にぴったり対応していると感じたからです。「もう、導入せずにはいられない」と思ったほどでした(笑)。
既存のFAQを改善する選択肢もありましたが、日々問い合わせ対応に追われる中でFAQをより良くする時間が取れていなかったので、根本的にシステムから見直した方が良いだろうと考えました。
また、既存のFAQには検索窓がありませんでした。そのため、お客様が欲しい情報に辿り着くためには、自分で考えてFAQのカテゴリを辿っていく必要があったんです。ただ、当社のお客様は10〜20代の若い世代が多く、検索窓をつけたとしても、口語体も含めさまざまなキーワードで検索することが考えられます。
たとえば、ECサイトで購入した際にいつ届くかを知りたくても、若い人は「納品」や「納期」などの言葉は馴染みがないでしょうし、日常的には使わないでしょう。ですから若い方々が入力したキーワードで回答がヒットしなければ結局は問い合わせをすることになるので、最終的な目標である問い合わせ数の削減は実現できないと判断しました。
この点においても、Helpfeelであれば「意図予測検索」の機能があるので、さまざまなワードで同じ回答に辿り着ける環境を作れるという期待がもてました。
若年層が多いというお客様の特性に合わせてFAQを整備
──Helpfeelを導入して、運用面で注力したことがあれば教えてください。
大島様 2022年3月から運用をはじめ、2023年8月末までに問い合わせ件数を月200件以下にする目標を立てました。従来の10分の1以下に減らすという大きなチャレンジです。
そのために必要となる自己解決率を上げるために、従来のFAQのコンテンツを使ってキーワードをチューニングしながら、Helpfeelに記事を移植していきました。
さらにHelpfeelのカスタマーサクセスと毎月ミーティングをして、問い合わせが多い内容をもとに新たにFAQ記事を作ったり、既存のFAQのうち文章が長すぎるものは分割したりするなどの対応をしました。ECのお客様の9割はスマートフォンを利用するので、文章が長すぎると最後までスクロールせずに読むのをやめてしまう傾向があります。
こうした改善を進めるとともに、問い合わせが多い内容の回答は、検索窓の直下に「よくある質問」に固定して表示するようにしました。
小川様 Helpfeelのカスタマーサクセス担当の方には、FAQページを分析したうえで、入れるべきキーワードや表示順など、どうチューニングしていくべきかについて詳しくアドバイスをいただけるので、何をどうすればいいのかがとてもわかりやすく助かっています。
──その他の業務で、工夫や改善したことはありますか。
小川様 FAQの改善を進めつつ、お客様から問い合わせがあった際にやり取りの回数を減らすことを目指して、問い合わせフォームを見直しました。調査や回答に必要な項目はフォーム上で必須入力にして、一回ですべて把握できるようにしたんです。
この改善にあたってはカスタマーサクセス部内で話し合い、運用中も修正を繰り返してより良いものにしていっています。
問い合わせ件数が10分の1以下に激減。FAQの改善による大きな効果を実感
──Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
大島様 問い合わせ件数の月平均は、目標としていた200件以下を達成しました。Helpfeel導入のほかに、システムの改修が進んだ背景もあり、メンバーがメール返信だけに追われてしまう状況から脱することができたと思っています。
これまでの問い合わせで多かった内容は、商品の納期、決済方法、配送方法でした。この3点の回答については、Helpfeelのカスタマーサクセスからの提案で「よくある質問」に設定し、かつ掲載順も状況に応じて変更いただきました。この取り組みをしてから問い合わせ数が一気に減ったので、施策の効果が大きかったと感じています。
そして、多くのお客様が「メールで問い合わせをして回答を待たなくても、自分で回答を探せば解決できる」という体験をしていただけたことが成果だと思います。
──効果を実感した具体的なエピソードはありますか。
大島様 あるYouTuberとのコラボ商品を発売した際に、Helpfeelによる効果を特に感じました。この商品は購入してから半年後に納品する予約注文だったのですが、多くのお客様が注文画面で納品時期を読み落としており、商品が届かないという問い合わせが一時期急増したんです。
この時は、カスタマーサクセスがユーザーの流入経路を迅速に調べていただいたうえで、「よくある質問」とWebサイトのトップに回答内容を表示したところ、問い合わせが目に見えて減りましたね。とても助かりました。
小川様 FAQの改善と並行して行った問い合わせフォームの変更も効果が見られています。問い合わせに対して一回の返答で解決する割合が、70%台から90%にまで向上しました。
こうした効果のおかげで、私自身は他の業務に時間を割けるようになりましたし、お客様の困りごとをスピーディーに解決できていることでストレスもなくなりました。
お客様の課題解決の先にあるカスタマーサクセスへ。FAQの改善だけでなくアップセルも目指す
──今後、目指していきたいことについてお聞かせいただけますでしょうか。
小川様 直近では、no hit率の改善に注力したいです。若年層のお客様が検索するキーワードをもっと深く考えて、キーワードの設定をより良くしていきたいと思います。
メインの顧客層と同年代である当社の店舗スタッフにも協力してもらい、ある困りごとに対してどのようなキーワードで検索するかをヒアリングしたいと考えているところです。
大島様 今は、自己解決した数値の指標をさらに改善していくことを目指して、カスタマーサクセスと相談しながら運用を模索しています。
また、我々の部門で店舗のサポートも担うことになったので、店舗スタッフの負担を軽減する取り組みも進めたいと思っています。店舗スタッフは、接客だけでなく、SNSでコーディネートを投稿したり、タブレットを活用して販売したりするなど、やるべき業務が増えている状況です。
最近の取り組みとして、レシートに印刷するQRコードの遷移先をFAQサイトに変更しました。店舗で商品を購入したお客様が困りごとがあった際、レシートからFAQを見ていただき、店舗スタッフに質問が集まらないようにしたいという意図です。今後はFAQの内容も、店舗でよくいただく問い合わせまでカバーできるようにしていきたいと思います。
店舗スタッフへの問い合わせの軽減のためにレシートにFAQへ遷移させるQRコードを印刷。
そして、我々が今後目指したいのは、お客様が困ってることを解決するカスタマーサポートに留まらない、カスタマーサクセスです。問い合わせや検索行動の中から、お客様のニーズやインサイトを見つけていく活動により多くのエネルギーを投資していきたいと思っています。部門としては、2024年2月末までに自己解決率を80%に伸ばし、カスタマーサクセス活動に注力していく方針を掲げています。
そのためのツールのひとつとしてHelpfeelをもっと活用し、分析結果などを社内の他チームにも共有することで、サービス向上や商品開発に生かしていきたいと考えています。
まず具体的に着手したいのは、FAQが役に立ったかを測ることです。FAQの改善に役立つだけでなく、アップセルの取り組みにも応用できると考えています。
──最後に、同様の課題を抱えている企業様にメッセージをお願いいたします。
小川様 お客様が問い合わせをしなくても欲しい情報が手に入るようになると、お客様の満足度が上がるだけでなく、会社側の業務効率や質がアップします。
私自身は、Helpfeelを導入したことによって時間の使い方が変わったと感じます。店舗マニュアルを改善するなど他の業務に着手できるようになったのは問い合わせ件数が減ったからですし、今後はさらに店舗を回って現場にヒアリングする時間をつくっていきたいと考えています。
こうしてお客様の自己解決率を上げる取り組みができると、スタッフ一人ひとりが自分の仕事の幅を広げられると思います