楽天銀行株式会社は、口座数1,600万超(※)の日本最大級のインターネット銀行です。「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というミッションを掲げ、日本におけるFinTechのリーディングカンパニーとして存在感を増しています。
同社では、以前お客さまサポートセンターと連携してFAQページの改善を積み重ねていたものの十分な手応えが得られず、根本的な課題解決を目指してHelpfeelを導入。KPIに設定した数値が軒並み改善され、お客様が自己解決できていることがうかがえます。また、Helpfeelのカスタマーサクセスの支援を受けながら、データ分析結果をもとに施策を考え、実行する体制が整いました。
Helpfeelの導入理由や活用方法、効果について、執行役員 編成本部担当役員 編成本部長 三澤達也様、編成本部 編成部 山下果奈子様、同部 千代延知枝様に話を伺いました。
※ 記載の口座数は2024年7月末現在
インターネットバンキングだからこそ、お客様の疑問や知りたいこともWeb上でスムーズに解決したい
── はじめに、編成本部 編成部の役割と、皆さまの業務内容を教えてください。
三澤様 我々は、楽天銀行におけるWebサイトやアプリの制作・運営など、お客様とのあらゆる接点を担う部門です。お客様が取引されるインターネットバンキング画面のUI設計、UX向上等の業務も担当しています。
山下様 私と千代延は編成本部編成部のディレクションチームにおり、お客様が利用されるWebページの改善や新規サービスの立ち上げ、キャンペーンページの制作などを担当しています。
── Helpfeelを導入する前、どのような課題を抱えていましたか。
三澤様 お客様がFAQページで不明点の解決につながっているのかどうかが不明瞭だという課題がありました。お客様からの電話やチャット、メールなどでの問い合わせ内容としては、銀行口座の開設などインターネットバンキングの基本的な手続きに関するものが多くありました。
楽天銀行はインターネットバンキングですから、疑問点や知りたいことも、すぐにその場で解決したいというニーズをお持ちです。我々はぜひそのニーズに応えたいと思っていました。
── 課題を解決するために、どのような検討をしましたか。
三澤様 お客様からの問い合わせに対応するコールセンターと連携しながら、適切なFAQ記事を追加したり、お客様が検索すると思われるキーワードを辞書登録するなどの作業を繰り返していました。
個々のページに関連するFAQ記事のリンクを貼り、FAQへの導線を増やす取り組みもしていたものの、根本的な課題解決につながっているのかどうかがわかりにくく、悩みが消えることはありませんでした。
千代延様 改善作業をしながら感じていたことは、FAQページで不明点を解決できなかったとき、電話やメールで問い合わせしてくださるお客様はほんの一握りだということです。大多数のお客様は致命的な問題でない限りは問い合わせをすることなく、楽天銀行の口座のご利用から遠ざかってしまう可能性があるという危機感がありました。
そう考えると、FAQはお客様の満足度を左右する大切なポイントなので、気づいたところから改修を積み重ねていましたが、大きな改善につながっている手応えは残念ながらありませんでした。
── その後、Helpfeelを導入するまでの経緯を教えてください。
三澤様 Helpfeelを知ったのは、紹介がきっかけです。「意図予測検索」によって検索キーワードの表記揺れに対応できるため、我々が抱える課題を解決できるのではないかという期待がもてました。
また、当時はデータに基づいたFAQシステムの改善活動が十分にできていなかったため、カスタマーサクセスのサポートがあるHelpfeelを導入することで、運用体制もより良くできると思ったのです。
そこで、FAQシステムをリプレイスするかを判断するために、まずはPoC(実証実験)の位置付けでHelpfeelを導入することにしました。重要なKPIとしてno hit(ノーヒット:ユーザーがキーワード検索をした際、検索結果に表示される記事が一つもないこと)率と記事到達率を設定し、さらには検索利用率や直帰率、再検索数なども大切な指標と定めてPoCをスタートしました。
Helpfeel導入直後からKPIが改善。データに基づいて着手すべき施策を考える体制も整った
── PoCでHelpfeelを導入し、どのようなことから運用を始めましたか。
三澤様 従来のFAQシステムの記事をそのままHelpfeelへ移行して運用をスタートしました。すると、KPIの指標がすぐに向上したのです。記事到達率が10%以上改善し、no hit率は3%台にまで減らすことができ、Helpfeelの優れた機能による効果を実感しました。
その後も順調に運用が進み、PoC期間中にKPIをすべてクリアしたため、正式導入を決定しました。
── 正式導入後、今はどのようなことを意識してHelpfeelを運用されていますか。
山下様 記事到達率の向上は意識し続けている点です。さまざまなキーワードで検索されるお客様が必要な情報に辿り着けるよう、新たな記事を追加したり、既存の記事を改善したりしています。
また、検索深度(検索して表示されたページ以外に見たページ数)の改善にも注力しており、Helpfeelのカスタマーサクセスや編成部のメンバー、コールセンターの担当者と相談して運用しています。
── Helpfeelのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
千代延様 毎回の定例会で、データ分析結果をもとに施策を考える機会をいただいていることがありがたいです。
事実に基づいた改善案を提案いただけるので我々も納得感があり、スピーディーに施策に着手できます。そして翌月にはデータで検証し、改善されていることが定量的に把握できると、お客様の利便性を向上している手応えを得られるので嬉しいですね。Helpfeelを導入してから業務のやりがいが増しましたし、毎回の定例会が楽しみになっています。
また、検索数が突然増えたキーワードがあった場合など、イレギュラーな傾向が見られた際も情報共有いただけるので、その背景にある事象を考えることができています。たとえば、「NISA」というキーワードの検索数が増えた日の出来事を調べると、新NISAがメディアで大きく取り上げられたタイミングだったのです。新NISAが始まるにあたり、楽天証券と楽天銀行はどう対応するかを知りたいと思って検索したお客様が多かったのだと気づくことができました。
その際は、NISAにまつわるキーワードで検索したものの記事にヒットしていない点もご指摘いただき、改善対応を進めました。これからニーズが高まる情報のFAQ記事を先回りして改善できたことはよかったと思っています。
山下様 個々の記事の改善を進める中で多くの気づきがあり、それをもとにFAQ運用のガイドラインを作りました。このガイドライン作成でもカスタマーサクセスからアドバイスをいただき、FAQのあるべき姿を改めて考えるきっかけになったことに感謝しています。
また、定例会にはコールセンターの担当者も参加し、Helpfeelのデータに加え、問い合わせの状況もふまえて施策の意思決定をスピーディーに行う体制ができています。
正式導入後もKPIは好調を維持。丁寧な導入サポートによって業務の属人化も解消できた
── Helpfeelを導入してからの具体的な効果を教えてください。
三澤様 記事到達率やno hit率などの数値は軒並み好調をキープできており、Helpfeelによって自己解決できているお客様が多くいらっしゃることを実感しています。
── その他の点で、効果を感じていることはありますか。
三澤様 以前はFAQシステムのコンテンツ更新や管理画面の設定は特定のメンバーしか行えなかったのですが、Helpfeelの導入時にカスタマーサクセスから丁寧に操作説明をしていただいたおかげで、今は関係者全員が操作できるようになっています。Helpfeelの導入をきっかけに、業務が属人的になっていた課題も解決できました。
より多くのお客様がスムーズに利用できるサービスに進化させていきたい
── 今後、目指していきたいことをお聞かせいただけますでしょうか。
山下様 編成部はお客様と直接コミュニケーションを取ることがないため、FAQはお客様との大切な接点になります。この意識を忘れずに、記事の改善や全体的な見やすさをさらに向上し、お客様がスムーズに不明点を解決できるシステムにしていきたいと思います。
千代延様 お客様が今すぐ知りたい情報への対応も、FAQシステムで進めていきたいと考えています。たとえば、緊急メンテナンス時はお知らせのページに掲載するものの、FAQ検索で情報を得ようとするお客様もいらっしゃると想定されます。このような情報に関してはFAQでも掲載し、より多くのお客様の困りごとを素早く解決できる体制を整えていきたいと思います。
三澤様 お客様が問い合わせをする必要がないシームレスなサービス設計ができることが理想です。とは言え、お客様のご利用状況や環境等により、お客様の疑問や知りたいことも様々であるため、山下、千代延をはじめ、担当するメンバーを中心にFAQシステムの改善を継続し、お客様により良いFAQページを提供することを目指していきたいと思います。
── 最後に、同様の課題を抱えている企業様にメッセージをお願いいたします。
千代延様 我々が何より価値に感じているのは、Helpfeelのカスタマーサクセスによる手厚いサポートです。日々さまざまな業務がある中で、時にはFAQシステムの運用に十分な時間が割けないこともあります。その中でもデータ分析結果や施策のご提案をいただけると、我々も新たな気づきがありますし、質問にもスピーディーに返信してもらえるのが心強いです。
こうしたクラウドサービスは自社内で運用するものも少なくありませんが、データに基づいて施策のPDCAを回し、成果につなげることに真剣に取り組むのであれば、Helpfeelのようなサポート体制は欠かせないと思います。